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写真による視覚的ドキュメントと空間的なイメージの奥行きから構成される独自のインスタレーションで、第17回「shiseido art egg」に入選した林田真季 展が、東京 銀座の資生堂ギャラリーで開催。

撮影:加藤健

資生堂が新進アーティストを応援する公募プログラム「shiseido art egg(シセイドウアートエッグ)」。第17回は、一般企業に勤める傍ら作品制作を開始し、現在も企業勤務とバランスをとりながら創作活動を続けている林田真季氏が入選しました。同氏は東京 銀座の資生堂ギャラリーで2024年1月30日(火)~3月3日(日)に個展「Water & Mountains:エコロジーと社会をめぐるワンダーランド」を開催。
写真による視覚的ドキュメントと空間的なイメージの奥行きから構成される独自のインスタレーションは、観る人を新たな考察へと誘います。
同氏からGENIC読者に向けたメッセージとともに紹介します。

  • 開催期間:2024.1.30 ~ 2024.3.3

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林田真季

1984年 大阪府生まれ。ビジュアルアーティスト。
写真というメディアとその様々な形態に興味を持ち、デジタルとアナログ両方のプロセスを試しながら、社会を反映する現代アートとしての写真に挑戦する。
2007年 関西学院大学総合政策学部卒業、2022-2023年 ロンドン芸術大学ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーション MA Photography 在学中。東京都拠点。
2020年シンガポール国際写真フェスティバルのDummy Book Awardでグランプリ受賞後、2023年にはアルル国際写真フェスティバルでのLUMA Rencontres Dummy Book Awardのファイナリストとして選出。シンガポール国際写真フェスティバル(2016年)、FORMAT国際写真フェスティバル(2019年)、KYOTOGRAPHIE国際写真祭KG+SELECT(2021年)など、国内外で作品を発表している。

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「意図せざる結果」の法則にアプローチ

第17回「shiseido art egg」の審査のポイントは、独自の視点で今日の世界を見つめ、時代が抱える不安や困難に真摯に向き合い、そこから新しい価値観や美意識を表現しているか。入賞アーティスト 林田真季は現実社会をテーマにあらたなアートとしての写真の可能性を探求しています。現在着目しているのは、人間による利己的な行動が予期せぬ結果をもたらすという「意図せざる結果」の法則です。

Maki Hayashida_Water Wonderland_©Maki Hayashida=Water Wonderland

イギリス沿岸部のごみ埋立地の現在の姿を捉えた大判の写真は、撮影場所の持つ具体性や時間性を排除するために、ゼラチン・シルバー・プリント(モノクロ写真)に手彩色が施されています。

リサーチに労と時間を費やし、資料や情報を作品に仕上げていくプロジェクト型のアプローチをとる林田真季が現在取り組んでいるテーマは、イギリス沿岸部の過去のごみ埋立地の姿や、一般ごみを処理する自治体管轄のごみ処理施設はシステム的に成功しながらも、日本各地で発生している大規模不法投棄事案の問題。

林田真季はこの問題について、ごみの不法投棄そのものではなく、取り巻く社会構造自体に関心を持ちました。これらの問題が、ドキュメンタリーの手法だと鑑賞者の深層に届かないと感じたこともあり、アートの手法で表現することを選択しています。

撮影:加藤健

Maki Hayashida_Re-collection Ⅴ #7_©Maki Hayashida=Water Wonderland

Maki Hayashida_Re-collection Ⅱ #5_©Maki Hayashida=Water Wonderland

撮影:加藤健

展示室奥の投棄されたガラスびんを撮影した作品群は、宝石のように美しいガラスの破片を、アクリルやライトボックス、天井から吊るされたシアー素材の布へのプリントなどの展示で透明感を際立たせています。

撮影:加藤健

今回の展覧会のために制作された東京23区内の全21の清掃工場の煙突を撮影した写真は、ごみの焼却灰灰を混ぜたインクを使ってプリントすることを考えたが、灰は危険物で有害なため持ち出せない(言い換えれば廃棄物管理が徹底されている)ことから、スチール製のプレート作品とし、制作過程において意図せずできた汚れや錆もそのまま残しています。

林田真季さんからGENIC読者へのメッセージ

撮影:加藤健

休日に海外や地方へ旅するなかで、30歳の時に五島列島の小値賀を訪れたことをきっかけに、里山ファンに。それまではアメリカが憧れでしたが、国内にも非日常が感じられる場所があると気付いたそう。日本の里山の暮らしの豊かさに学ぶことがたくさんあり、もっと広く伝えたい、と想いでSNSに投稿を開始。本格的に写真表現に取り組むようになり、イギリス ロンドンの大学院へ留学。現在も企業勤務とバランスをとりながら創作活動を続け、世界に向けて発信している林田真季さんから、GENIC読者へメッセージをいただきました。

18歳のときに交換留学したアメリカの高校では選択制で写真のカリキュラムがありました。写真の初歩的なことはそこで学びましたが、大学も美術系ではなく、特別なアート教育は受けたことがありませんでした。
会社勤めをして、休みの日に旅をして、写真を撮って。ただ年々目標を立て、会社勤めと創作活動の比率を変えてきました。

作品の制作を始めた当初は、創作活動の時間が足りないと感じることもありましたが、現在は企業勤務と創作活動の両方があるからこそ、バランスが取れていると考えています。
企業で働いている経験や社会と繋がっていることが、回り回って作品に反映されている。そういう意味では、一つ一つの経験を大切にしていきたいとあらためて思います。

イギリス大学院の教授から言われた「表現活動においてはやりたくないことは考えなくてよい」という言葉は心の支えになっています。楽しくないと続かない。やりたいことを突き詰めていくようにしたいと思っています。

林田真季

第17回「shiseido art egg」入選アーティスト林田真季展 情報

開催日時

2024年1月30日(火)~3月3日(日)
火~土 11:00~19:00
日曜・祝祭日 11:00~18:00
休館日 月曜※月曜日が祝祭日の場合も休館

入場料

無料

会場

資生堂ギャラリー
〒104-0061 東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階

資生堂ギャラリー Instagram
資生堂ギャラリー X
資生堂ギャラリー WEB
Google Map

行き方・アクセス

<電車>
東京メトロ銀座線・丸の内線・日比谷線「銀座線」A2出口から徒歩で4分
東京メトロ銀座線「新橋駅」1番出口から徒歩で4分
JR山手線「新橋駅」銀座口から徒歩で5分

来場プレゼント:第17回「shiseido art egg」スタンプラリー

「shiseido art egg」は、資生堂が新進アーティストを応援する公募プログラムで、選出された3名のアーティストが、資生堂ギャラリーを舞台にそれぞれ個展をつくりあげ、各展覧会後に3名の中から1名にshiseido art egg賞が授与されます。
第17回「shiseido art egg」の3名の入賞者の個展すべてを鑑賞すると、特製ステッカーがもらえます。

※デザインは変更となる場合があります

会期:
第1期展 林田真季 展 2024年1月30日(火)~3月3日(日)
第2期展 野村在 展 2024年3月12日(火)~4月14日(日)
第3期展 岩崎宏俊 展 2024年4月23日(火)~5月26日(日)

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