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プロフィール
あべあさみ
フォトグラファー 1995年生まれ、東京都・池袋出身。ファッションメディア『Droptokyo』のフォトグラファー、編集者として活動したのち、2022年6月よりフリーランスとして活動を開始。女性を中心にモデル、アイドル、アーティスト、俳優、声優などのポートレートやライブ撮影、アイドルグッズなども撮影する。幅広いコネクションを活かし、フォトグラファーに留まらずキャスティングなども行う。
愛用カメラ:Canon EOS R5、FUJIFILM X-T30、Konica BiG mini F
町中華と女の子
My Identity Through My Theme
町中華と女の子
「Instagramの10枚のスライドの最後に載せるのが店前カット。満腹で満足げな表情とお店の外観、町の雰囲気も少し感じられていい締めになります。個人的にはお花と自動販売機があるお店が好き」。
“(誰かに)見せたい”というより “(自分が)見たい”ものを撮るぞ、という気持ち
「声優でアーティストの斉藤朱夏ちゃんがいい笑顔でした。後ろのポスターと服のカラーがリンクしていい味を出しているのも好きです」。
「『町中華と女の子』のシリーズ作品を撮り始めたきっかけは、ぼんやりとひとつのテーマでパーソナルワークがしたいと思ったから。そこで、続けられること=自分の好きなこと、と考えてまず浮かんだのが“女の子を撮ること”“食べること”でした。幸いにも芸能活動をしている女友達が多かったので、一緒にご飯に行って撮ればいいじゃん! 町中華で女の子がご飯食べていたら可愛いだろうな。“(誰かに)見せたい”というより“(自分が)見たい”ものを撮るぞ、という気持ちで始めました」。
普段の顔こそこの作品の醍醐味
「可愛い女の子とサラリーマンのおじさまの背中が写っているのがお気に入り。お店選びをするときに、あまり若い方がいなさそうなところをこだわって選んでいます」。
メインは食事をすること。撮影はついでというスタンスで
「食事のラインアップや味はもちろん、内装にも個性が溢れていて、それを強く感じるのがメニュー看板です。この店はカテゴリーが分かれていて面白い」。
「カッコつけて言うと違和感と親近感の共存、本音を言うとご飯をもりもり食べている女の子が見たい。あくまでもメインは食事で撮影はついでにね、というスタンスです。その方がより自然な姿が撮れるので、いつも『気にしないで食べてね、勝手に撮るから』と伝えています。写真の技術や良し悪しというよりも、見た人が『どういう話をしながら撮ったんだろう?きっと仲がいいんだろうな』といった背景を感じられる作品になっていたらいいなと思います。この作品にはKonica BiG mini Fがマストアイテム。一度壊れてしまったときには、必死に同じものを中古で探しました。フィルムカメラはものによって質感が変わってしまうので、シリーズのトーンを統一させるためにこのカメラじゃないとダメなんです。さらにBiG mini Fは単焦点でレンズが明るいので、町中華の店内の薄暗さにもフラッシュなしで対応できる。もちろん現像も、お店によってそれぞれの色があるので、決まったお店でお願いするのもこだわりです」。
他の人には出せない“親しみやすさ”みたいなものを表現したい
「このテーマでは、あまりカメラ目線の写真は撮っていません。目の前のご飯に夢中になる姿が可愛いし、撮影感を出したくなくて。いい意味でキメていない、普段の顔こそこの作品の醍醐味だと思っています」。
「食べかけのご飯を撮るのも好き。ストーリー性も感じられるし、なによりその人の餃子のタレの好み、食べる順番、チャーハンの最後の一口の米粒の掬い方など、個性がすごく出ます。本当に面白いと思っているんですが、このマニアックさが伝わっているかどうか(笑)。伝わっていたらうれしいです」。
GENIC vol.71【My World, My Essence 私の写真世界】
Edit:Izumi Hashimoto
GENIC vol.71
2024年7月号の特集は「私の写真世界」。
写真は生き様が反映されるアート。何を感じ、何を受け取って生きてきたのか。写真に投影されるのは、自分自身です。自分らしさとはいったい何なのか?その回答が見つかる「作品」特集。私の写真世界へようこそ。