プロフィール

頭山ゆう紀
1983年千葉県生まれ。東京ビジュアルアーツ写真学科卒業。生と死、時間や気配など目に見えないものを写真に捉える。自室の暗室でプリント作業をし、時間をかけて写真と向き合うことで時間の束や空気の粒子を立体的に表現する。主な出版物に『境界線13』(赤々舎 2008)、『さすらい』(abp 2008)、『THE HINOKI Yuhki Touyama 2016-2017』(THE HINOKI 2017)、『超国家主義-煩悶する青年とナショナリズム』(中島岳志 著、頭山ゆう紀 写真/筑摩書房 2018)がある。
展示作品の一部をご紹介

『残された風景』は頭山が祖母の介護の合間に撮影した風景写真と、祖母に寄り添うような目線のモノクロ写真で構成されたシリーズです。頭山は幼い頃から頻繁に祖母に会いに行き、「お喋り好きでお洒落、何よりも理解力のある人だった」という祖母とは「一般的な祖母と孫との関係とは違う、もっと身近な関係だったように思う」(『残された風景』テキストより)と述べています。
2020年9月、末期の癌と診断された祖母の在宅介護を頭山は自ら引き受け、これまでお世話になった恩返しがしたいと献身的に尽くしますが、次第に思うようにいかない介護や終末医療の現実に直面することとなります。そんな日々のわずかな時間に写真を撮ることで、救われたり気持ちを切り替えることができたと頭山は語ります。本展の核となるモノクロ写真は、祖母が亡くなる一ヶ月ほど前から撮影されたものです。この撮影は、頭山が介護を続ける毎日のつらさに家を飛び出したある時、ロバート・アダムスの写真集「This day」を見たことがきっかけでした。日常風景を新たな視点で捉えた作品にあらためて感銘を受け、家から一歩も出られず幻覚も見るようになっていた祖母に少しでも寄り添いたいという思いで、窓からの風景を撮ることとなります。ここでの撮影は他者へのケアの役割を担っているといえるかもしれません。
写真というミディアムを用いて他者の死や不在について問う作品は、歴史的にも数多く存在します。本作もその系譜に連なり、亡くなった祖母との対話を試みるように編まれていますが、祖母の姿は登場しません。頭山が見ていた日々の風景と、祖母の目線を想像しながら見つめた風景の写真ばかりが並びます。それは介護をする・されるという近い距離で暮らす二人が、実際には異なる時間を過ごし別のものを見ていたこと、また、祖母にカメラを向けることができなかったという頭山のまだ顕在化しない意識が感じられます。そして写されなかったことでより強く感じられる「不在」は頭山と祖母の間だけではなく、より大きく、普遍的なテーマへと広がりを見せることを予感させます。
── POETIC SCAPE WEBサイトより




ギャラリートーク 頭山ゆう紀×小林美香 情報 (満席)
開催日時
2025年2月8日(土)18:00〜19:30
会場
POETIC SCAPE
〒153-0061 東京都目黒区中目黒4-4-10 1F
定員
20名 ※要予約
参加費
1,000円(トーク終了後ミニパーティ開催)
頭山ゆう紀 写真展「残された風景」情報
開催日時
2025年1月11日(土)〜2月23日(日) 13:00〜18:00
休廊:月・火・祝 (2月23日祝日 は特別営業)
※2月8日(日)はイベントのため17:30まで
入場料
無料
会場
POETIC SCAPE

POETIC SCAPE
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行き方・アクセス
<電車>
東急電鉄東横線・東京メトロ日比谷線「中目黒駅」から徒歩で11分