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写真家・川内倫子の大規模個展「川内倫子:M/E 球体の上 無限の連なり」と「川内倫子と滋賀」が滋賀県立美術館にて開催

写真家・川内倫子の国内の美術館で6年ぶりとなる大規模個展「川内倫子:M/E 球体の上 無限の連なり」が、滋賀県立美術館にて2023年1月21日(土)~3月26日(日)まで開催。
川内倫子がこれまで発表したシリーズを織り交ぜつつ、地球との繋がりをテーマとする新しいシリーズの「M/E」に、コロナ禍における日常を撮影した新作群を楽しむことができます。
企画展に合わせて5月7日(日)まで開催中の常設展「川内倫子と滋賀」の情報もお届けします。

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淡い光と色調が印象的な川内倫子の作品を堪能できる写真展

川内倫子《無題》(シリーズ〈M/E〉より) 2020

写真家、川内倫子は1972 年に滋賀県で生まれ、2001 年のデビュー以降、今日まで精力的に活動してきました。柔らかい光をはらんだ独特の淡い色調を特徴とし、人間や動物、あらゆる生命がもつ神秘や輝き、儚さ、力強さが写された作品は、国内外で高く評価されています。

川内倫子《無題》(シリーズ〈M/E〉より) 2019

展覧会タイトルでもある〈M/E〉は、同展のメインとなる新作のシリーズです。〈M/E〉とは、「母(Mother)」、「地球(Earth)」の頭文字であり、続けて読むと「母なる大地(Mother Earth)」、そして「私(Me)」でもあります。アイスランドの火山や流氷の姿や北海道の雪景色と、コロナ禍で撮影された日常の風景とは、一見するとかけ離れた無関係のものに思えますが、どちらもわたしたちの住む地球の上でおこっており、川内倫子の写真はそこにある繋がりを意識させます。
「川内倫子:M/E 球体の上 無限の連なり」展は、人間の命の営みや自然との関係についてあらためて問い直す機会となることでしょう。

川内倫子《無題》(シリーズ〈4%〉より) 2012

身体を移動し、撮影したものと向き合うという行為でしか得られないものがある。
それはなぜいまここに生かされているのか、という答えのない問いに少しでも近づくための、自分にとって有効な手段だ。
そんな生活を続けて30年以上が経ち、改めて現在の自分の立ち位置を確かめたくなった。
地域や国というくくりではなく、ひとつの星の上に在るということを。
20年前に一度だけ訪れたアイスランドに2019年の夏に再訪したことで、それは叶えられた。
地球の息吹を感じる間欠泉や、人間の持つ時間を遥かに超える氷河を目の当たりにすることで、自分の存在が照らされたようだった。
とりわけ休火山の内部に入ったときの体験が強く印象に残っている。
上を見上げると火口の入り口から光が差し込んでいて、その形は女性器を想像させた。じっと見ていると自分が地球に包まれている胎児のような気がしてきて、いままでに感じたことのない、この星との繋がりを感じた。
もっとその繋がりを確かめたくて、冬の再訪を計画したが、コロナ禍で叶わなくなったこともあり、昨冬は北海道へ何度か通った。そこには厳しい寒さのなかでしか見えないものがあり、自分の身体が小さくて弱いものなのだと思い出した。

母なる大地、[Mother Earth]の頭文字をとると[M/E].
そのふた文字を書き出すと、肉眼で全体を見ることのできない極めて大きなものから、個に繋がり、それは火口の内部で体験した、地球と自分自身が反転して一体化したような不思議な感覚を想起させた。

川内倫子

川内倫子《無題》(シリーズ〈M/E〉より) 2019

故郷の滋賀でははじめての大規模個展

「川内倫子:M/E 球体の上 無限の連なり」展は、国内では6年ぶり、そして故郷である滋賀でははじめてとなる大規模個展です。この10年の活動に焦点を当て、未発表作品を織り交ぜながら川内倫子の作品の本質に迫ります。

川内倫子《無題》(シリーズ〈M/E〉より) 2020

国内外で活躍する注目の作家

川内倫子は、デビュー作で写真界の芥川賞とも称される木村伊兵衛写真賞を受賞。2022年11月には、国際的な写真賞であるSony World Photography Award 2023特別功労賞を日本人ではじめて受賞するなど、国内外で高い評価を受けています。

川内倫子《無題》(シリーズ〈An interlinking〉より) 2015

写真にとどまらない表現

川内倫子は、写真にとどまらず、これまでも映像作品の発表や文章の執筆を行ってきました。「川内倫子:M/E 球体の上 無限の連なり」展でも、写真に加え、映像作品やインスタレーションなど多彩な表現が展示されます。

川内倫子《無題》(シリーズ〈An interlinking〉より) 2012

建築家 中山英之による会場デザイン

「川内倫子:M/E 球体の上 無限の連なり」展は、中山英之建築設計事務所が会場デザインを手がけています。川内倫子の「自分が作品を制作する際に感じた感覚や経験を、展示空間において観賞者と共有したい」という想いに応えた空間が作り上げられています。

川内倫子《無題》(シリーズ〈An interlinking〉より) 2014

常設展でも特集展示「川内倫子と滋賀」を開催

企画展「川内倫子:M/E 球体の上 無限の連なり」の開催に合わせ、川内倫子の作品の中でも特に滋賀との関わりの深いものを特集展示する「川内倫子と滋賀」も開催。特集展示では、川内倫子が撮り続けた甲賀市の福祉施設「やまなみ工房」の作家たちの作品も、川内倫子の作品と同じ空間に展示されます。

川内倫子《無題》(シリーズ〈光と影〉より) 2011

企画展「川内倫子:M/E 球体の上 無限の連なり」 情報

川内倫子《無題》(シリーズ〈4%〉より) 2011

開催日時

2023年1月21日(土)~3月26日(日)9:30~17:00
※入場は16:30まで
休館日:月曜日

観覧料

一般 1,300円(1,100円)
高大生 900円(700円)
小中生 700円(500円)
※( )内は20名以上の団体料金
※同時開催中の常設展も観覧可能
※障害者割引 無料
※年間パス(滋賀県美メンバーズ) 年額2,400円(一般)
※企画展のチケットで同時開催中の常設展も鑑賞可能

会場

滋賀県立美術館 展示室3
〒520-2122 滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1

滋賀県立美術館 HP
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行き方・アクセス

<電車・バス>JR「瀬田駅」から帝産バス「県立図書館・美術館前」または「文化ゾーン前」で下車、徒歩約5分

関連イベント

[学芸員によるギャラリートーク]
2023年1月29日(日)、3月5日(日)※当日先着順

[講演会 光と闇の連なりをめぐって]
2023年2月12日(日)※事前申込制
講師:篠原雅武(哲学者、京都大学特定准教授)

[たいけんびじゅつかん(子ども向けワークショップ)]
2023年2月26日(日)※事前申込制

[滋賀県美メンバーズ限定イベント「川内倫子 スペシャル・ギャラリートーク」]
2023年1月21日(土)※申込受付終了
解説者:川内倫子、滋賀県立美術館担当学芸員

※それぞれのイベントは都合により、内容・日時等が変更になる場合があります。
イベントの詳細や最新情報は滋賀県立美術館HP等で確認してください。

特集展示「川内倫子と滋賀」 情報

川内倫子《無題》(シリーズ〈やまなみ〉より) 2018

開催日時

2023年1月11日(水)〜5月7日(日)9:30~17:00
※入館は16:30まで
休館日 毎週月曜日

会場

滋賀県立美術館 展示室2

観覧料

一般 540円
高校・大学生 320円
※常設展のチケットで展示室1、小倉遊亀コーナー、展示室2を観覧可
※中学生以下、県内居住の65歳以上、身体障害者手帳をお持ちの方は無料
※毎週日曜日は「木の家専門店 谷口工務店フリーサンデー」のため、常設展示は無料

川内倫子 プロフィール

写真家。1972年滋賀県に生まれる。2002年『うたたね』『花火』(リトルモア刊)の2冊で第27回木村伊兵衛写真賞を受賞。著作は他に『AILA』(2005年)、『the eyes, the ears,』『Cui Cui』(共に2005年)、『Illuminance』(2011年、改訂版2021年)、『あめつち』(2013年)などがある。2009年にICP(International Center of Photography)主催の第25回インフィニティ賞芸術部門受賞、2013年に芸術選奨文部科学大臣新人賞(2012年度)を受賞。主な国内での個展は、「Cui Cui」(2008年・ヴァンジ彫刻庭園美術館)、「照度 あめつち 影を見る」(2012年・東京都写真美術館)、「川が私を受け入れてくれた」(2016年・熊本市現代美術館)ほか多数。近刊に写真集『Des oiseaux』『Illuminance: The Tenth Anniversary Edition』『やまなみ』『橙が実るまで』(田尻久子との共著)がある。

川内倫子 Instagram
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