megtronik
フォトグラファー 埼玉県出身、東京都在住。自然の中に遊びに行くことが多く、思い出をきれいに残したくて一眼レフを購入。それをきっかけに写真を始め、色や質感にこだわり、フィルムカメラで作品を撮るようになる。 自然を楽しみながら景色や植物を含めた撮影をすることが好き。
愛用カメラ:PENTAX LX、OLYMPUS PEN-FT
愛用レンズ:Super Takumar 55mm F2、G.Zuiko Auto-S 40mm F1.4
Q.フィルムをあえて感光させるってどういうこと?やり方も教えて!
A.現像してみないとわからない偶然性を楽しめる表現のひとつ
「鳥がこれから向かうであろう方向にスペースを空け、流れが出るように撮影しました。強い感光がスピード感を演出してくれました」。
本当に一瞬、本当に光が入ったか疑うくらい少しだけフィルムカバーを開けるのがポイント
「感光とは、フィルムに光が当たって化学変化を起こしてしまった状態のことですが、これをあえて表現として楽しむこともできます。やり方は、1本撮り終わった後、最後までフィルムを巻き取らずにベロを少し出したままにし、そのフィルムを再びカメラに装填して、レンズキャップをつけたまま真っ黒の画面を撮影。途中でフィルムカバーを開けるのを繰り返し、1本分撮り終わったら普通に巻き取って現像します。真っ黒の画面の多重露光をしていることになるのですが、光を入れていないので元の写真が薄くなることはありません。フィルムカバーを開けすぎると光が入りすぎてすべてが消えてしまうので、本当に一瞬、1〜2mmを0.5秒くらい、本当に光が入ったか疑うくらい少しだけ開けるのがコツ。開けるタイミングは、フィルム1枚分巻き上げてからでもいいし、巻き上げの途中で一旦止めて開けて閉めてから続きを巻き上げるなど、好きなタイミングでOKです」。
「強い感光の効果で“終わり感”が出ました。ここだけ地面が砂丘っぽくない、異世界とか世界の果てのような雰囲気だったので、背景に抜けが出ないように、空を写さずに撮影しています」。
「昼間の明るい時間に開ければ、赤やオレンジ、暗い時間だとブルーや白っぽく(こちらは加減が難しいです)、光が強いと濃く、柔らかいとぼんやりとした感光になります。強い感光は動きや瞬間が強調され、柔らかい感光は昔の記憶のような曖昧さが出ると思っています。感光はリスクも大きいので、最初は数箇所だけ感光させてみて、どれくらいカバーを開けたらどれくらいの感光が入るのか試してみてください」。
「たまたま通りかかった道なのですが、木漏れ日がとてもきれいだったので撮影。感光の間隔を調整し、両端を感光させると紙が古くなってボロボロになったようで味がある仕上りに」。
GENIC vol.67【撮影と表現のQ&A】megtronik/Q.フィルムをあえて感光させるってどういうこと?やり方も教えて!
Edit:Izumi Hashimoto
GENIC vol.67
7月号の特集は「知ることは次の扉を開くこと ~撮影と表現のQ&A~」。表現において、“感覚”は大切。“自己流”も大切。でも「知る」ことは、前に進むためにすごく重要です。これまで知らずにいたことに目を向けて、“なんとなく”で過ぎてきた日々に終止符を打って。インプットから始まる、次の世界へ!
GENIC初のQ&A特集、写真家と表現者が答える81問、完全保存版です。