福島・会津若松は、白虎隊や新選組などの歴史の舞台となったところで、今でもレトロな街並みを残す人気の観光地です。
そんな会津若松の中心部から少し東側にある山・飯盛山に、世界で唯一の不思議な木造建築物があります。
国の重要文化財に指定されている六角三層のお堂で、正式名称は「円通三匝堂(えんつうさんそうどう)」。
外観と建物の構造がサザエに似ていることから「さざえ堂」と呼ばれています。
通称「会津さざえ堂」は、かつて飯盛山にあった正宗寺(しょうそうじ)というお寺の住職・郁堂(いくどう)が考案した建物。
当時は阿弥陀如来を本尊とし、スロープには三十三観音像が安置されていました。
この建物の特徴は、DNAと同じ「二重らせん」のスロープ構造になっていること。上りと下りが全く別の通路で一方通行になっているので、参拝者がすれ違うことがありません。
さざえ堂の二重らせんのスロープは、レオナルド・ダ・ヴィンチが設計したと伝えられている世界遺産・シャンボール城の「二重らせん階段」の構想が海を渡って日本に伝わったという説も。
しかし、世界中を見渡しても、二重らせん階段の建築物は存在しますが、スロープ状のものは他にありません。
会津さざえ堂は、ワクワク感が止まらない、渦を巻くようなスロープを歩いて上へと目指します。
このスロープは、仏教の礼法「右繞三匝(うにょうさんぞう)」に基づき、右回りに3周する構造。
急勾配なうえに、平衡感覚がなくなることがあるので足元にはご注意を。
最上部の天井には、参拝記念として貼られた千社札がびっしり。
神社仏閣の許可をもらって御朱印を頂いた上で千社札を貼る習わしでしたが、残念ながら、現在は千社札を貼るのは禁止されています。
御朱印はさざえ堂近くの売店で頂けますが、飯盛山に祀られている白虎隊のもので、さざえ堂の御朱印はありません。
そもそも栄螺堂(さざえ堂)とは、東北から関東地方にかけて、いくつも建立された仏堂の建築様式のひとつ。
武州本所五ツ目(現・東京都江東区大島)にあった羅漢寺の三匝堂(さんそうどう)が最初に建てられたさざえ堂と言われています。
会津さざえ堂が建立された江戸時代には、庶民の間で「お伊勢参り」や「西国三十三所 観音巡礼」などの巡礼ブームが。
さざえ堂はらせん構造の回廊を順路に沿って三十三観音や百観音などが配置された堂内を進むだけで巡礼が 叶うので 、葛飾北斎や歌川広重が錦絵に描くほどの人気を博しました。
さざえ堂は日本全国に現存しており、会津さざえ堂、埼玉県・成身院百体観音堂、群馬県・曹源寺さざえ堂が“日本三さざえ堂”と呼ばれていますが、DNAのような二重らせん構造を持つのは、ここ、会津さざえ堂だけです。
会津さざえ堂(円通寺三匝堂)/福島県<日本>
福島県会津若松市一箕町大字八幡滝沢155
<拝観時間>
4月〜11月 8:15~日没
12月〜3月 9:00~16:00
無休
<拝観料>
大人 400円
大学・高校生 300円
小・中学生 200円
<アクセス・行き方>
バス:ハイカラさん・あかべぇ「飯盛山下」下車、徒歩5分。
車:会津若松ICより約15分。
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