石田真澄
写真家 1998年生まれ、埼玉県出身。2017年5月自身初の個展「GINGER ALE」を開催。2018年に初作品集『light years - 光年-』、2019年に2冊目の作品集『everything will flow』をTISSUE PAPERSより刊行。雑誌や広告などで活動。Webサイト「SPINNER by SPIRAL」にて、iPhoneで撮影した写真でひと月を追いかける「utakata」(https://spinner.fun/category/utakata/)を連載中。
愛用カメラ:Nikon、CONTAX、コンパクトカメラを使い分け。
おいしい記憶/記録
「友人の八木莉可子ちゃんと遊んだ時。八木ちゃんとは仕事がきっかけで仲良くなりました。朝の光が似合う人だと思う」。
アイスの写真には、食べた時のことがみんな記録されている
「ソフトクリームは旅行先やパーキングエリアで食べるものだと思っているところがあって、撮るのがすごく好きです。これは高尾山に友達と行って、登り終わったあとに食べたソフトクリーム。夕日がさしていて、アイスだけに光が当たるように地面に向けて撮ったら神々しい感じになりました」。
「夏に、友達の家へ行った時。近所でアイスを買って、半分こにして食べました」。
「友達と御殿場アウトレットへ行った時のもの。行きのパーキングエリアで、ソフトクリームを食べている時の影を撮りました」。
「同じ日に東京へ帰る時に寄ったパーキングエリアでもソフトクリーム(笑)。アイスの写真は、その時どこで誰と食べたかひと目でわかるところが面白い」。
食べている時は、気持ちが率直。だから撮りたくなる
石田さんが写真に興味を持ったのは、意外にも携帯電話がきっかけだったそう。
「中学に入っていわゆるガラケーを買ってもらい、ついていたカメラで通学中や友達と遊んだ時など、何かしら毎日撮るようになったんです。そのうちに写真が好きだと思うようになって。中2の誕生日にLUMIXのミラーレス一眼を買ってもらい、それから自分のカメラを持つようになりました」。
現在は全ての作品をフィルムで撮っているのだそう。
「元々、撮ることと雑誌と広告が好きだったので、はじめはカメラ自体にあまり興味がなくて。撮る時は、光に惹かれてシャッターボタンを押すことが多いです。夜の電灯やネオンも好きですが、やはり一番は太陽の光。晴れた日はよく撮ります」。
「その時話していた他愛のないエピソードも思い浮かぶから、食べかけの写真も好きです。これはアイスランドへ旅行に行った時の朝食。外国らしいクラッカーにパン。友達のお皿を撮りました」。
撮影する際に、石田さんの中には被写体に対して光のイメージがあるのだという。
「私には光の中に撮る対象が存在してくれていればいい、というところがあって。それが太陽の光、朝の光なのか、夕日の中なのか…は、撮る対象によってで、”この人は夕日のほうが綺麗だな”とか”電灯の下のほうがいいな”という漠然としたイメージがあるんです」。食べている時の写真もよく撮るのだそう。「食べている時って、無防備だし、気持ちが率直というか。おいしい瞬間や、友達と喋っていて楽しい瞬間って、その感情が気持ちの先頭に来ているような気がして。そういう時は撮られているっていう感覚もないし、例えば道端で撮られるよりも前向きで気楽な表情を撮れる気がします。だから、撮ろうと思っているわけではないのに、撮りたくなる瞬間が多いですね」。
その時に一緒だった人と、どんなことを話していたか、思い浮かぶような写真が好き
「みんなで中華を食べたあと。写真を見て、その前後に何をやっていたか、何を喋っていたか思い浮かぶようなものがいい写真だなと思います」。
「これもアイスランド旅行の時の一枚。帰りにスイスに寄ったのですが、その時テイクアウトしてホテルでいちごのケーキを食べました。物価が高い割に食事がいまいちだったアイスランドに比べて、スイスは価格も良心的でおいしいものが多かったです」。
「ロイヤルホストへパフェを食べに行った時。食べている時はぱっと撮れるコンパクトカメラを使うことが多いです」。
INFO
『light years - 光年-』
出版社:TISSUE PAPERS
高校在学時に「現役女子校生写真家」として見出された石田さんの初写真集。クラス替え一度もなしの中高一貫女子校に通っていた頃の、日々のきらめきを焼きつけた一冊。
『everything will flow』
出版社:TISSUE PAPERS
2018年にアイスランドで撮影した写真を中心に、流れゆく光や水が、残しては消え去る刹那の輝きを淡々と捉えた第二作品集。
GENIC VOL.58 【表現者たちが撮るおいしい写真】
Edit:Yoko Abe
GENIC VOL.58
テーマは「おいしい写真」。
口福を感じる料理やスイーツとの出会い、オリジナリティ溢れるフードの創作、こんなシーンには二度とお目にかかれないかもと思った瞬間。様々な表現者たちが繰り広げる “おいしい” の世界を召し上がれ。