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プロフィール
吉川然
学生 2002年生まれ、京都府出身・在住。プロカメラマンの父の影響で7歳から写真を撮り始める。2021年にリコーイメージングスクエア東京にて自身初の個展「さがしもの」を開催。その後も様々な展示を行っている。2021年にMレーベルより自身初の写真集となる『Water.』、2023年にG/P+abpより2冊目の写真集『燦然』を刊行。
愛用カメラ:Sony α6100
愛用レンズ:E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS
きれいだね
誰かの決めた『きれい』に縛られず、自分の心の声に従ってシャッターを切りたい。
「母によると、僕が生まれて最初に発した言葉は『きれい』だったそうです。『きれい』と言って指差した先にあったのはタチアオイという雑草の花。雑草でもきれいなものはきれいです。僕らしい写真という言葉に戸惑い悩むことが増えた今も、あの頃のように『きれい』だという自分の心の声に従いたい。誰かの決めた『きれい』に縛られず、『きれいだね』とあるがままにシャッターを切りたいと思います。我こそは“然”ですから」。
幼少期にカメラと出会い、中学生の時に写真の深みに気付いた
「父親がフォトグラファーで、物心ついた時には身の回りにカメラがありました。4~5歳の頃でしょうか。お古の重たいフィルムの入っていないNikonのカメラで、カメラマンごっこをして遊んでいた記憶があります。初めて写真を撮ったカメラは、SonyのCyber-shot。2台とも、まだ家にあります。写真を好きになったきっかけは親が褒めて喜んでくれたことですが、中学生の時にミュージシャンの吉田省念さんの『桃源郷』というアルバムのジャケット写真を撮らせていただいたことで、より写真の深みに気付きました。自分の写真が初めて作品として形になったアルバムと対面した時に味わった、言い表せないような気持ちは忘れられません」。
写真は、僕を構成するカケラの一片。僕が僕でいるために、撮り続ける
写真を撮れない日々が続くと、写真を撮りに行く夢を見る
「今では僕の写真を好きになってくれる人が親のほかにもだんだん増えていき、僕が僕であり続けるために写真を撮っています。写真はほとんど独学だったので、一度基礎から学んでおきたいと思い、写真を学べる学科がある大学に入学しました。今年は卒業の年ですが、僕は体が弱くて在学中に3度入院しており、体に無理なく卒業制作に取り組むために制作期間中別の授業を減らすという選択をしたため、もうしばらく大学に居座ります。最近は特に調子が良くないのですが、写真を撮れない日々が続くと写真を撮りに行く夢を見ることがあります。写真を思うように撮らせてくれない自分の身体を嫌いになることはありますが、写真自体を嫌いになることはありません。写真は僕にとって、世界の共有であり、自分のネガをポジに変換したようなものであり、自分の心の写し鏡のようなもの。もはや好きとか嫌いではなく、写真は僕を構成するカケラの一片です」。
GENIC vol.75 【PHOTOGRAPHY IS LIFE. 私が写真を好きな理由】
Edit:Satoko Takeda
GENIC vol.75
2025年7月号のテーマは「I love photography ただ、写真が好きで」。
写真は移ろいゆく季節に目を向けることを教えてくれた。
写真は心の奥にしまい込んでいた自分の感情に気づかせてくれた。
写真は自分らしく生きていいよと励ましてくれた。
写真はかけがえのない仲間と巡り会わせてくれた。
写真は素晴らしい世界の見方を示してくれた。
写真から、たくさんのものをもらってきた。
だから、好きな理由はひとつじゃない。