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【撮影と表現のQ&A】武井宏員/Q.美しいブレ写真の撮り方を教えて

さまざまな写真家、フォトグラファー、クリエイターが登場するQ&A企画。
「知ることは次の扉を開くこと」。
写真家、映像作家、経営者と多岐にわたり活躍する武井宏員さんに質問です。

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武井宏員

写真家/実業家 大阪生まれ、アメリカ育ち。NYでスタジオを立ち上げ、ファッションやポートレートを中心に活動を開始。東京に移住後、2018年に写真家プラットフォームCURBONを設立。現在も経営者でありながら、写真家や映像作家として活動中。2022年にはKADOKAWAから初書籍となる写真本を上梓。
愛用カメラ:Leica M10P、 Sony α7 IV/FX6、RED KOMODO 6K、CONTAX G2、Canon Autoboy

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Q.美しいブレ写真の撮り方を教えて

A.捉えたい瞬間、創り上げたい表現やアートを写真に宿す

「この時はモデルにも動いてもらって、より非現実な世界に近づけたいと思いながらシャッターを切りました」。

「個人的には“記憶”を軸にした写真を撮る時に、ブレさせることが多いです。記憶はとても曖昧なものなので、ブレている写真はその表現方法として最適だと思っています。私が写真を撮る際には、かなり感情に左右されることに最近気がつきました。自分の感情や、写る側の感情。感情を大切にしたいと思うからこそ、ブレている写真の方がその場の空気感や、その時の“感情”を強調できると思っています」。

「赤と青の組み合わせが大好きで、それ以外のものをすべて除いて色味にフォーカスを当てたいと思って撮影」。

ブレを選ぶ勇気を持つ

「写真を始めた当時は、ボケたりブレたりした写真は瞬時に失敗作としていました。写真展の準備で自分の写真を改めて見返す機会を得た時、自分でも驚くほど、ボケやブレ写真にも美しい瞬間が写っていることに気が付きました。一度視点を変えて見つめ直してみると、驚きの瞬間に出会えるはずです。今まで撮りためてきた写真たちをもう一度見返してあげるのもいいかもしれません」。

ブレを撮る瞬間を見極める

「私がブレを撮りたい時に使う方法が2つあります。1つはデジタルカメラで意図的にシャッタースピードを遅くして、ブラしながら撮る方法。何かしらの理由でブレた写真を撮りたい、とシャッターを切る瞬間に思った時にこの手法を使います。自分の感情をより強調したい時や、その写真を曖昧にして余白を生み出したい時などが多いです。もう1つは、ブレやすいフィルムカメラや、壊れているフィルムカメラをあえて使う手法です。自分でも意図していない、そしてコントロールができない偶発性との掛け算で、思いがけない瞬間が生まれたりします」。

「OLYMPUS PEN EE-2はとても軽くてかなりブレやすいので、カメラを少し雑に扱いながら撮っています」。

シャッタースピードの設定やフォーカス外しで欲しい表現を探す

「写真を意図的にブレさせる時は、大体1/15~1/30のシャッタースピードで撮ります。レンズの焦点距離が長かったり、カメラ自体が重い場合、1/60などに設定することもあります。また、AFをMFに切り替えて、あえてピントを緩くする場合もあります。どちらも表現的には写真がボケて曖昧になるのですが、シャッタースピードでブレさせる写真と、フォーカスを外してボカす写真では、写りや表現は異なります。フィルムカメラの場合はシャッタースピードを操れないことも多く、その際は単純にシャッターを切る瞬間にカメラを左右や上下に動かしながら撮影することもあります」。

GENIC vol.67【撮影と表現のQ&A】武井宏員/Q.美しいブレ写真の撮り方を教えて
Edit:Satoko Takeda

GENIC vol.67

7月号の特集は「知ることは次の扉を開くこと ~撮影と表現のQ&A~」。表現において、“感覚”は大切。“自己流”も大切。でも「知る」ことは、前に進むためにすごく重要です。これまで知らずにいたことに目を向けて、“なんとなく”で過ぎてきた日々に終止符を打って。インプットから始まる、次の世界へ!
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