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【“好き”を極める表現:7】mita

好きだからシャッターを切り続け、好きだから自分らしい表現を追求し続ける。そんな“好き”を極めた7人の表現者たちが辿り着いた独自の世界観にフォーカス。見る人の心を動かすトキメキを宿した作品とその想いに迫りました。
第7回は、独自の視点で、まるでSF映画のように街を切り取る、mitaさんです。

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mita

会社員 静岡県出身。2020年夏頃から写真を撮り始め、Twitterを中心に投稿をスタート。東京の街を中心に、都市風景、建築、スナップを主に撮影。
愛用カメラ:Canon EOS R6
愛用レンズ:LAOWA 9mm F5.6 W-Dreamer、RF24-105mm F4-7.1 IS STM、RF100-400mm F5.6-8 IS USM

街に潜む近未来的空間を探して

東京・渋谷。「鏡の効果で、複数のエレベーターが同時に写る不思議な一枚。現像時に上下を反転させることで、より不思議な空間に」。

東京・神田錦町。「螺旋状の建築物と、その中にあった植物。無機質な空間に一つの生命体を入れ、『荒廃した世界に生き残った生命』のキャプションで投稿」。

東京・四谷三丁目駅構内。「天井の配管の迫力が圧巻で、配管好きには有名なスポット。超広角のローアングルで、点字ブロックを視線誘導に使用しながら撮影」。

人間の目では見ることができないような空間美を追求

「今回の写真は、東京の街を中心に日常光景の中で近未来を感じる空間を切り取ったもの。学生時代に都市工学を専攻し、街の景観や建築物のデザインに興味がありました。初めての一眼レフ撮影は、大学研究室の資料作成用の建築写真。建築物を撮ることは、私にとって写真撮影の原点です。とはいえ、今私が撮っているものは“建築写真”ではありません。一般的な建築写真は歪みがなく、水平垂直が綺麗に整えられた建築の証明写真のようなものだと考えていますが、私の写真では建築を魅力的に見せるために、歪みや水平垂直にとらわれず、美しいと思う切り取り方を大切にしています。
こだわりは、主に超広角レンズを使用することで、人間の目では見ることができない空間美を撮ること。また、看板や広告が写り込まないよう配慮して、非日常の世界観を追求しています。建築物単体で、建築美や構造美が伝わるような構図を見つけたときに、喜びを感じます。持論を述べると建築物は単体でも被写体として成立しますが、人が写り込むと一瞬で背景になる不思議な存在です。人間の視覚概念の図と地の概念では、地になる部分です。しかし、人を入れた構図の方が魅力的に思えたら、理想的な形で人が入るまで待って撮ります。建築の美しさを生かした舞台背景のようなイメージで、人を役者と見立ててストーリーがある写真が撮れると、嬉しくなります。街の中にあるものはすべて被写体だと思っていますが、撮影時間よりも構図を考えている時間の方が長いです」。

神奈川・神奈川工科大学構内のKAIT広場。「建築物の面白さと切り取り方の工夫で、異空間から見える空が非現実的に感じる」。

東京・府中。「とあるマンションの渡り廊下越しに見える、朝焼けのグラデーション。『夜明けの空を渡る』のキャプションで投稿」。

東京・新橋。「あるビルの非常階段を見上げて撮影。視線を変えると、街中でも不思議な光景に出会えた」。

東京・銀座。「天井の幾何学模様が印象的な、銀座の地下空間。中央奥に人を入れることで、奥行き感を意識」。

街は常に成長・進化し続けていく、まるで生き物のような存在

「私が建築物を撮る理由は、街の成長を記録すること。東京を中心に写真を撮っていると、街は常に成長・進化し続けていく、まるで生き物のような存在だと感じることがあります。同じ被写体であっても撮影方法や現像、SNSでの投稿を含めた展示方法など、写真は撮る人の表現によって印象が変わります。見慣れた街の景色も視点や見方を変えるだけで、もっと面白い光景になることを伝えたいです」。

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GENIC vol.66【“好き”を極める表現】
Edit:Satoko Takeda

GENIC vol.66

GENIC4月号のテーマは「撮らずにはいられない」。
撮らずにはいられないものがある。なぜ? 答えはきっと単純。それが好きで好きで好きだから。“好き”という気持ちは、あたたかくて、美しくて、力強い。だからその写真は、誰かのことも前向きにできるパワーを持っています。こぼれる愛を大切に、自分らしい表現を。

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