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【いと、おいしくて。 #5】細谷謙介

四角いバターのホットケーキに、デパートで食べたとんかつ、飴色の床と、深煎りコーヒー。昔ながらのものって、なんだかグッとくる。それがおいしいものなら、なおさらいい。5人のクリエイターに、愛すべきレトロなおいしいものを見せていただきました。
#5は、ロマンティックな一瞬を切り取る写真家、細谷謙介さんの創り出すおいしい世界を紹介します。

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細谷謙介

写真家 群馬県出身。東京を拠点に活動中。洗練されていながらも、 どこかノスタルジックな写真は、多くの人から支持されている。
愛用カメラ:PENTAX67II、Nikon F3、Canon EOS 55、Canon EOS 5D Mark IVなど。
愛用レンズ:SMC PENTAX67 90mmF2.8,EF50mm F1.4 USM。

グッド・タイムス

「夏の昼下がりにレストランで食べたカツカレーライス。窓からテーブルに差し込む光でカレーが神々しく見えました」。

「数年前、有楽町で。夏の暑い日、休憩しながら食べたソフトクリームはおいしかった」。

テクニックにこだわりすぎるより、その場の空気を大切にしたい

どこかノスタルジックな食べ物の写真が印象的な細谷さん。「喫茶店や町中華のような懐かしい雰囲気のお店が好きなだけで、特にレトロなものを撮ろうと思っているわけではないんです。そういうお店では時々、店主が自分で写真を撮って作ったような、手作り感満載のメニュー表に出くわしたりしますよね。コンパクトカメラで撮ったような料理の写真に、なんとも言えない愛くるしさを感じるんです」。

このカットは、そんな“愛でたくなる写真”を裏テーマにして撮影されたシリーズの中の一枚。「このシリーズでは、 撮っている食べ物やドリンクはすべて手作り。何を作るか考え、それに合いそうな器と背景紙を買って、材料も買い揃えていざ作ったら、盛り付けササッと撮っています。ライティングなど細かいこともあまり気にしません。テクニックを使っておいしそうな写真を撮りたいのではないから」。

お店の手作りメニューのような、 愛くるしさを感じる写真が撮りたい

外での食事を撮影する時も、考え込まずに撮ることが多いそう。「座った位置からそのまま、食べる時の視点で撮ることが多いです。写真以前に好きな物を楽しみたいので、自由に、いい時間が流れてるなあと思って撮っています」。

「夏休みに近所の喫茶店で食べたピザトースト。パンがふわふわでチーズが程よくトロッとしてて最高です。奥の窓から入り込む光でピザトーストが美しく見えました」。

「日暮里の喫茶店で。貫禄あるナポリタンを前に“いいなあ......”と思いながら撮ったのを覚えています。食事にまつわることを体験していると、“ああ生きてるな”と感じる時があります」。

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GENIC VOL.58 【いと、おいしくて。】
Edit:Yoko Abe

GENIC VOL.58

テーマは「おいしい写真」。
口福を感じる料理やスイーツとの出会い、オリジナリティ溢れるフードの創作、こんなシーンには二度とお目にかかれないかもと思った瞬間。様々な表現者たちが繰り広げる “おいしい” の世界を召し上がれ。

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