【龍崎翔子のクリップボード Vol.18】ニューエイジの産後ケア

龍崎翔子<連載コラム>

龍崎翔子<連載コラム>第1・第3木曜日更新
23歳にして5つのホテルを経営する
ホテルプロデューサー龍崎翔子が
ホテルの構想へ着地するまでを公開!

【龍崎翔子のクリップボード Vol.18】ニューエイジの産後ケア

CAFUNEという言葉が好きだ。日本語には翻訳できない概念で、ポルトガル語で「愛する人の髪に優しく指を通す仕草」のことらしい。いつか、「HOTEL CAFUNE」と名付けたいホテルのアイディアがある。


私は今23歳なのだけれど、近い将来に自分が妊娠・出産し母になる可能性があることを考えたとき、今までの「私」が、「母」という社会から与えられた役割の中に閉じ込められてしまうのではないかという恐怖感がある。


自分の時間を持つことだったり、仕事に全力で取り組むことだったり、美しさを追求して自由にファッションを楽しむことだったり。私が子供を産むときには、今しているそんな当たり前の生活を失わずに、身体的にも精神的にもチルでヘルシーでいたいと思っている。


日本はいつしか、子供を産むときは親に頼るか自力で頑張るかの2択しかなくなってしまった。家族を頼りやすかったり、パートナーが献身的な場合はそれでも上手くいくかもしれないが、そのどちらにも当てはまらない人は決して少なくないと思う。

中国、韓国、台湾などの東アジア諸地域では、「産後院」と呼ばれる産後ケア施設が一般的に普及している。産後、数週間から一ヶ月近くかけて、上げ膳据え膳で栄養食を食べ、身の回りの世話を全てしてもらい、赤ちゃんの子育て指導を受けたり、よもぎ蒸しをしたり、骨盤矯正をしたりと、精神面・健康面・美容面で産婦を支えるサービスが社会に受け入れられている。


日本でももちろん産後ケアをできる施設はあるが、数が限られている他、消費者目線で見て魅力的な空間となっている施設は正直そんなに多くない。

だから、生活空間として魅力的でありながら、育児に戸惑ったり、夜泣きに起こされたり、家族の世話をしたり、趣味やファッションを諦めて自分を犠牲にしたりしなくて済むような産後ケアホテルを作りたいと思っている。


ホテルと病院(hospital)は、「手厚いもてなし」という意味のラテン語hospesを語源に持つと言われている。献身や自己犠牲が美徳とされる社会ではあるけれど、「ご自愛」をエンパワメントするサービスを広げていきたい。

【龍崎翔子のクリップボード】バックナンバー

Vol.17 最果ての旅のオアシス

Vol.16 猫のいる旅館

龍崎翔子

2015年、大学1年生の頃に母とL&G GLOBAL BUSINESS, Inc.を立ち上げる。「ソーシャルホテル」をコンセプトに、北海道・富良野に『petit-hotel #MELON』をはじめとし、大阪・弁天町に『HOTEL SHE, OSAKA』、北海道・層雲峡で『HOTEL KUMOI』など、全国で計5軒をプロデュース。京都・九条にある『HOTEL SHE, KYOTO』はコンセプトを一新し、3月21日にリニューアルオープン。

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