目次
- ファイナリスト
- 彭祥杰(シアンジエ・ペン)(中国)
- The Rise of Queer Underground Party Culture in China
- アイヴァー・プリケット(アイルランド)
- War on the Nile – Fragmented Sudan
- フレデリック・リュッガー(ドイツ)
- I Am a Stranger in This Country
- アナスタシア・テイラー=リンド(イギリス)
- 5K from the Frontline
- ジョディ・ウィンドヴォーゲル(南アフリカ)
- Express Delivery
- 詹友斌(ジャン・ヨウビン)(中国)
- Migrant Workers in China’s Assembly Line
- 2025年度ライカ・オスカー・バルナックアワード 情報
- おすすめ記事
ファイナリスト
彭祥杰(シアンジエ・ペン)(中国)

Peng Xiangjie (China)/© Michela Forte
写真家 1961年、中国西安市閩梁区生まれ。独学で写真を学び、1990年代初頭から写真活動を始めた。サブカルチャーに焦点を当て、ドキュメンタリーとコンセプチュアルの両方の手法で作品を撮影している。これまで、Document China Photo Agencyの写真家、古倉現代イメージギャラリー(古倉現代芸術機構)とアジアパイオニア写真家プログラム(大理国際写真祭)のコンサルタントを務める。作品は中国、インド、マレーシア、オーストラリア、ヨーロッパ各地で展示されている。
The Rise of Queer Underground Party Culture in China
中国人写真家 彭祥杰は、2017年から中国のさまざまな都市でLGBTQ+コミュニティを撮影してきました。モノクローム撮影によるポートレート写真には、オープンな環境で独自のアイデンティティを存分に謳歌できる「自由な場」が写し出されています。モノクローム写真のシリーズは、クラブやパーティー、コンテストといった、LGBTQ+コミュニティへの国家規制が続くなかで文化的なムーブメントとなった現場で撮影されたものです。国が徐々に国際的な影響を受け入れ始めるなか自由はアンダーグラウンドで確かに広がっています。



アイヴァー・プリケット(アイルランド)

Ivor Prickett (Ireland)/© Masiar Pasquali
報道写真家 1983年生まれ。アイルランド出身、現在はロンドンを中心に活動をしている。2020年、Pulitzer Prize(ピューリッツァー賞)写真報道部門のファイナリスト(NYTチームの一員)。
War on the Nile – Fragmented Sudan
世界の注目が届かぬところで、スーダンでは2年以上にわたり苛烈な内戦が続いています。11万人を超える人々が避難生活を強いられ、死者の数は15万にのぼります。アイルランド人写真家 アイヴァー・プリケットは『The New York Times』誌の取材のため、昨年、戦火で荒廃する国を訪れました。プリケットによる記録は、世界最大級の人道的危機のひとつとされるスーダンの悲惨な実態を伝えています。そこには、国で繰り広げられる悲劇の数々だけでなく、絶望の中にある避難民たちの現実も切り撮られています。



フレデリック・リュッガー(ドイツ)

Frederik Rüegger (Germany)/© Damian Pfattner
写真家 ドイツ出身。2012年にニューヨークへ移住し、5年以上にわたりモデルとして活動。その間、ドキュメンタリー調の写真スタイルを確立。ケルンでスポーツ科学の学士号を取得後、2019年から2025年までベルリンの東クロイツシューレで写真を学ぶ。『I Am a Stranger in This Country』は最終学年の卒業論文で、ケーラー出版社から書籍として出版された。
I Am a Stranger in This Country
イギリスとアイルランドのトラベラー(移動型民族コミュニティ)の人々と2年にわたって生活を共にしました。彼らの伝統的な暮らしは、時代とともにますます維持することが困難になっています。英国のEU離脱とナショナリズムの高まりにより、移動型民族コミュニティに対する排斥と差別はますます強まり、またソーシャルメディアによって流布される誤情報と悪意的コメントが彼らの自由を脅かしています。写真は、自身の文化の解放が許される最後の場である馬市の様子を捉えたものです。



アナスタシア・テイラー=リンド(イギリス)

Anastasia Taylor-Lind (England)/© Julia Kochetova
フォトジャーナリスト、詩人 1981年生まれ。ダマスカス、ベイルート、キエフ、ニューヨーク市に住んでおり、現在はロンドンに拠点を置いている。2023年には、ウクライナ東部での長期にわたる取材活動が評価され、キヤノン女性フォトジャーナリスト賞を受賞。
5K from the Frontline
イギリス人写真家 アナスタシア・テイラー=リンドは、ジャーナリストのアリサ・ソポワと共に、10年にわたりウクライナの戦争を取材してきました。彼女が主に記録してきたのは、東部ドンバス地域に暮らす人々の運命です。2014年に戦争が始まった同地域は、特に動乱が激しく、破壊的な状態に陥っています。強いメッセージ性を持つこの長期プロジェクトは、軍事的な暴力と脅威にさらされながら毎日を生き抜くとはどういうことかを、世界にダイレクトに訴えることを目的としています。



ジョディ・ウィンドヴォーゲル(南アフリカ)

Jodi Windvogel(south africa)
ドキュメンタリー写真家、映画監督 1992年、南アフリカ共和国生まれ。アフリカン・フォトジャーナリズム・データベース(APJD)とWomen Photographのメンバー。南アフリカにおける女性殺害に関するプロジェクトで富士フイルムGFXチャレンジ・グラント2023を受賞。
Express Delivery
南アフリカ共和国出身の写真家 ジョディ・ウィンドフォーゲルによる写真シリーズは、ケープタウンの住宅プロジェクト「シシー・グール・ハウス」を取り上げています。元病院だったシシー・グール・ハウスは、2017年、都市計画に対する抗議として始まった社会活動「Reclaim the City(リクレイム・ザ・シティ)」によって占拠され、住宅危機に直面した2000人以上の人々が暮らす避難の場へと変貌しました。このシリーズは、アパルトヘイト時代から排他的な都市計画や社会的不平等に対抗して築かれたコミュニティの姿を描き出しています。しかし、その暮らしも昨年の強制退去によって終わりを迎えました。



詹友斌(ジャン・ヨウビン)(中国)

Youbing Zhan(China)/© Wang Jin Xing
ドキュメンタリー写真家 1990年代に出稼ぎ労働者として東莞の工場で働き始める。2000年に工場のボスから頼まれて撮影を始めたのがきっかけで撮影を開始。その後自らカメラを購入し、写真家としてキャリアを積んでいる。
Migrant Workers in China’s Assembly Line
成長を続ける中国の経済は、300万人を超える出稼ぎ労働者によって支えられています。彼らはより豊かな地域で働くために地方から都市部へとやって来ます。人口100万人を超える都市・東莞(ドンガン)では、住民の70%以上がこうした出稼ぎ労働者です。詹友斌は、自身も出稼ぎ労働者として30年にわたり現場に身を置きながら、独学で写真を学び、彼らの過酷な労働と限られた自由を記録し続けてきました。選出された作品に収められた写真の多くは過去2年以内に撮影されたものですが、なかには16年前のものも含まれています。



2025年度ライカ・オスカー・バルナックアワード 情報
・ウェブサイトでは、コンテストの概要が閲覧可能。
・過去の審査員と推薦者のインタビューも掲載されています。