後藤洋亮
会社員/フォトグラファー 東京都出身。本業である会社員としての仕事の傍ら、2016年よりSNSを主な活動の場とし、企業撮影やPR案件、執筆など幅広く活動。ストリート・風景写真を主な被写体とし、日本独特の日常感を切り取った美しい景色を世界へと発信している。
愛用カメラ:Leica M10-P、RICOH GRIII /GR IIIx
愛用レンズ:SUMMILUX 50mm f1.4 1st、SUMMICRON 35mm f2.0 6element
Q.物語が透けて見えるストリートフォトの撮り方を教えて!
A.「ここにはこんな物語があるのでは」と想像できるかどうか
「じっと誰かを待つ人の時間と、忙しなく流れる雑踏の時間の対比を表現しています。見た人が感情移入しやすいよう、足元だけを写しています」。
この世に存在する全てのものに物語は存在している
「家を出ればそこにはたくさんの被写体があふれています。近所であっても旅先であっても、いつでも写真としてアウトプットすることができます。その上で、物語を感じるストリートフォトとは、普段生活する中では見逃してしまうような、当たり前でありふれた自然な状態を切り取った写真であると考えています。偶発的に起こった目の前の光景を切り取ることで、よりリアルで物語を感じる写真になっていくのです。目の前で起きていることは全て、街の営みの中で自然に起きている事象であり、この世に存在するものには全て物語が存在しています。人や動物、草木や物など全てです。自分の解釈でいいので『こういうストーリがあるのでは?』という想像ができるかどうかで、物語性のある写真になるかどうかが決まると思っています」。
「撮りたいイメージ先行で撮影した作品です。映画やアニメのワンシーンのような画を狙いました。撮影するのに6時間くらい同じ場所で粘りました。イメージ通りに撮れた瞬間はすごくうれしかったのを覚えています」。
How to practice.
撮りまくることで、イメージと結果を近づけていく
「ストリート写真の撮影方法は、2パターンあります。1つは偶発的な光景を自身の感性のみで構えず撮影していくパターン。もう1つは、事前に撮影するストーリーを決めて、場所や時間を狙って撮影するパターンです。僕は後者からスタートしました。イメージと結果(自分が考える正解)が近づくようにとにかく撮りまくって、着眼点やロケーション選定、タイミングなどを勉強しました。撮影を繰り返すうちに、自分のイメージに近い光景に遭遇すると体が自然に動くように。そうすると、パターン1のような、自然なスナップ的な撮り方もできるようになっていきます」。
「普段は見向きもしない路地裏にも物語が隠れています。ストリートフォトは、1つひとつの瞬間を大切に拾っていくことがとても大事です」。
GENIC vol.67【撮影と表現のQ&A】後藤洋亮/Q.物語が透けて見える ストリートフォトの撮り方を教えて!
Edit:Chikako Kawamoto
GENIC vol.67
7月号の特集は「知ることは次の扉を開くこと ~撮影と表現のQ&A~」。表現において、“感覚”は大切。“自己流”も大切。でも「知る」ことは、前に進むためにすごく重要です。これまで知らずにいたことに目を向けて、“なんとなく”で過ぎてきた日々に終止符を打って。インプットから始まる、次の世界へ!
GENIC初のQ&A特集、写真家と表現者が答える81問、完全保存版です。