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「ノルウェー」光と静寂が交わる、地の果ての楽園 酒井雄世|連載「旅を愛するフォトグラファーが“心に刻んだ異国の地”」第4回

数えきれない旅の記憶の中で、なぜか心に深く残る場所があります。それはきっと、風景の美しさだけでなく、その土地に流れる気配や人々との触れ合いが、自分の感覚と響きあったから。旅を重ねる4人のフォトグラファーが、忘れがたい異国の地を語ります。全4回の連載、最終回は世界中の壮大な景色をドラマティックに切り取る、医師で写真家の酒井雄世さんが旅したノルウェーのロフォーテン諸島です。

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プロフィール

酒井雄世

医師/写真家 1997年生まれ、茨城県出身、大阪府在住。学生時代より旅先での撮影を続け、自然の造形や光の移ろいの中にある静かな美しさをテーマに活動している。
愛用カメラ:Nikon Z7II
愛用レンズ:NIKKOR Z 14-30mm f/4 S、24-120mm f/4 S

光と静寂が交わる、地の果ての楽園

旅を重ねるうち「見る」ことより「記録する」ことに夢中になっていた。でもロフォーテンではただ立ち尽くす時間が心地よかった

「ロルブー(漁師小屋)とフィヨルドが織りなす風景。淡い光に包まれた海と雪山の中で、小屋の灯りがほのかににじむ。時間や光の変化によって風景が静かに表情を変える、その繊細な移ろいの中に、ロフォーテンらしい美しさを感じました」。

「新婚旅行で訪れた際の一枚。おおらかで、凛々しく、そして美しい。私が妻に惹かれたのも、この地に惹かれたのも、同じ理由なのかもしれません」。

「ある晴れた日の港町。この日は空気が澄み渡り、山や海の輪郭がはっきりと浮かび上がっていました。柔らかさの中に確固たる存在感を見せる、ロフォーテンのもうひとつの表情です」。

「何度も空振りを繰り返しながら待ち続けた夜に、念願の“オーロラ爆発”が訪れました。空一面に広がる光が、雪山や水面を照らし出し、自然の優美さを全身で感じました。まるで宇宙からの贈り物のようで、忘れられない瞬間」。

「宿での一日の終わり。外の凜とした空気と対照的な部屋の温もり。窓の向こうの光が、部屋の中をゆっくりと包み込み、ロフォーテンで過ごした時間をそっと思い出させてくれました」。

まるで天が呼吸しているかのように移り変わる空に自然の神秘を感じずにはいられない

「ノルウェーにあるロフォーテン諸島にはこれまでに2度訪れていて、最初は新婚旅行でした。“世界で最も美しい場所”のひとつだと言われるこの地を、自分の目で見てみたかったからです。実際に訪れてみると、想像を超える美しさに『本当に楽園だ』と感じました。そこには言葉にならない“生きている美しさ”があって、ただただ圧倒されました。昨年行った世界一周の旅でも多くの美しい場所に出会ったけれど、ロフォーテン諸島ほど『また帰りたい』と思えた場所はありません。というより、いずれは住んでみたい、季節の移ろいの中に身を置いて、ゆっくりと景色を堪能したい場所です。魅力は、まず何よりも光の豊かさ。淡い朝焼けから深い群青の夜へと移り変わり、夜には空にオーロラが舞う。まるで天が呼吸しているかのように、静かに揺らめくその姿に、自然の神秘を感じずにはいられません。特に1月下旬の訪問がおすすめです。太陽の高度が一日中低く、朝から夕方までずっとマジックアワーのような光に包まれます。そして、自然と人の暮らしが織りなす色彩の美しさ。雪山の白と海の青を背景に、ロルブーというカラフルな漁師小屋が並ぶ風景は、まるで絵画のよう。さらに“静寂の中にある力強さ”があります。切り立ったフィヨルドの山々と、静かに広がる海。その間に立つと、大地と海の鼓動がゆっくりと身体に沁み込んでくるような感覚になります。写真を撮る人には、まずはただ歩いてほしいです。どこを切り取っても絵になる場所だけれど、心がゆっくりと満たされていくのを感じるはず。旅を重ねるうち、いつの間にか『見る』ことよりも『記録する』ことに夢中になっていましたが、ロフォーテンではただ立ち尽くす時間が心地よく、撮らなくても、世界はちゃんと美しい。その当たり前のことを、思い出させてくれました。旅とは自分の生き方そのものです。自分に立ち返り、美しい景色の中で、自分の感覚や軸が少しずつ確かになっていきます。だから僕にとって旅は、自分を見つめ直す時間。きっと一生旅をしています」。

GENIC vol.77【旅を愛するフォトグラファーが“心に刻んだ異国の地”】
Edit:Megumi Toyosawa

GENIC vol.77

2026年1月号のテーマは「写真家が選んだ、最高の旅先」
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その答えは、As you like. お好きなように、自分らしく。ルートを持たない余白たっぷりの旅でも。行先を詰め込んだ時間割びっしりな旅でも。
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