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プロフィール

彩智子
写真作家 / 日本画家
学生時代に日本画、デザインを学びながらモデル業を経験し、「人を魅せる」楽しさを知る。 卒業後はWEB/DTPディレクターとして企業に勤めながら、“日本の憧憬や精神性を反芻する”というテーマをもとに自撮り写真で表現するアーティスト活動に加え、その世界観を踏襲したアートディレクションや写真撮影、企業広告や着物スタイリング、ロゴやイラスト制作まで幅広く行うマルチクリエイターとして活動する。東京カメラ部10選2023。
スマホでカメラを遠隔操作&シャッターを切る!
学⽣時代に⽇本画、デザインを学びながらモデル業を経験し、「⼈を魅せる」楽しさを知った講師の彩智子さん。卒業後は画家を志望していましたが、コロナ禍の影響を受け、なかなか思うように活動できませんでした。そんな中で出会ったのが「自撮り写真」。元々好きだった和の文化や歴史を自分なりに解釈し、日本画の色彩感覚をいかした写真作品や、絵と写真を融合させたミクストメディア作品でそれらを表現しています。

彩智子さんがソニーのカメラを購入したのは4年ほど前。周りにソニー愛用者が多かったこと、自身の小さな手でも持ちやすく軽いことからソニーのカメラに決めました。実際に使用してきて、今はオートフォーカス(AF)が正確で速いことが一番のお気に入りのポイントになっています。
自撮り撮影のときは、「Creators‘ App」を活用しています。カメラとスマートフォンをアプリで繋ぎ、構図を決めたら、あとの操作は手元のスマートフォンで。ISOやシャッター速度、F値、フォーカスエリア、タイマーなどの設定もすべて、スマートフォンで行っています。

2022年3月にリリースされたスマートフォン向けアプリ「Creators’ App」。F値などの撮影設定からシャッター、画像の取り込み、編集までできる。
「私は自分の中で『こうしたい』というのが明確にあって、そこには日本神話などのバックストーリーが具体的に存在します。それをモデルさんに100%共有するのは難しい。興味のある・なしも関係しますから。だからこそ、全部自分でやってしまうんです。スマートフォンでシャッターが切れるため、自撮りにCreators‘ Appは大活躍。タイマーは5秒だと待っている間に感情が抜けていってしまうようなところがあるので、基本は2秒に設定しています。この設定も全部手元のスマートフォンで、Creators‘ Appを使ってやっています。手を入れて撮りたい時はスマートフォンをさっと小脇に抱えたり、下に畳んだタオルを置いておき、そこに落としたりすることもあります」。
フォーカスポイントの移動も、Creators‘ Appを使えば、スマートフォンのタッチ操作で行えます。また撮影画像もスマートフォンの大きな画面でプレビュー確認ができるため、F値やISOの変更もより的確かつ手軽に行えます。「自撮りの時だけでなく、手ブレが起きそうなタイミングにレリーズ代わりに使うこともできて、とても便利だと思います」。
撮ったら自動でクラウド転送

また、Creators’ Appはクラウドの役割もしており、撮影した画像を自動で転送することができます。カメラのWi-Fi設定を行い、撮影を終えてカメラの電源を切ると、その後指定のWi-Fi環境下にカメラがある時に、自動転送が開始されるという仕組みです。
「私はクラウド設定を自宅のWi-Fiにしていて、帰宅後に自動転送されるようにしています。加えてうれしいのが、Creators‘ Appは転送する画像の条件設定ができるところ。全部転送すると重くなってしまうので、私はレーティングで星5をつけたものだけを取り込むように設定しています」。

Adobe Lightroomにも自動転送!編集がグッと楽に

Creators‘ Appは、Adobe LightroomとGoogleドライブにも自動で転送することができます。移行や転送の手間がはぶけ、画像の保存や編集がしやすくなります。「Adobe Lightroomのアプリもスマホに入れておくと、スマートフォンで編集まで完了できます。そのままSNSにアップすることもでき、とても便利です」と彩智子さん。

参加者からは、「SDカードを抜いて取り込むなどの手間がなく、Adobe Lightroomまで自動で転送というのはすごくいい」、「間違って消してしまっても残っている、というのは安心感がありますね」といった声も。転送時にリサイズされてしまうこともなく、オリジナルデータを残せる点も好評でした。

レタッチを美術的観点から考える
レタッチについての座学は、画家でもある彩智子さんらしく、フランスの画家エドガー・ドガの作品「エトワール、または舞台の踊り子」を題材にして行われました。

「バレエの舞台、華やかなイメージですが、この絵は何故かちょっと怖いですよね?実は当時フランスにおいて、バレエは身分の低い人の生活のための手段であり、踊り子は世間的に侮蔑されるような職業でした。主役を下から照らす青白い光、燃えているかのような後ろの幕が怖さを演出していますが、これらは作者が意図的に表現したものと考えられており、作者が心でこの状況をどう感じているのかが、見る側にも伝わります」。
画家は見た景色をそのまま切り取ることはせず、見て感じたことを「レタッチ」して絵に落とし込んでいる——。
彩智子さんは、画家のように、見た印象、感じたことをどう表現し伝えるのか、それを考える作品の見方を「美術的観点」と定義し、「どのようにレタッチするのか」ではなく、作品の「どこを、なぜレタッチする必要があるのか」を考えることを伝えました。
「美術的観点」で見る彩智子作品
作品1:タイトル「春と眠る」

「美術的観点」から考えるレタッチポイント
・薔薇が渦巻くように咲き誇り、その流れの先に人物の顔があるため、それを強調すべく薔薇と人物を明るく、それ以外を暗くした。
・実際はもう少し明暗差が激しかったが、キラキラの木漏れ日が優しい印象になるよう、コントラスト等を調整している。
・春の陽気と人物の眠り(幸せな時間)を演出すべく明瞭度を下げてふわっとした印象に仕上げている。
作品2:タイトル「おかえり」

「美術的観点」から考えるレタッチポイント
・夏祭り・花火は元々死者への鎮魂の意味が込められているため「厳かな花火の作品」を目指した。
・光るイヤリングを自作し、クロスフィルターをつけて撮った線香花火の写真を上から合成している。
・オレンジと⻘でカラーをまとめ、黒つぶれしないギリギリの暗さにして重厚感を出した。
・顔にかかる影もあえて明るく起こさず、どんな表情であるか見る側に想像してもらう余白を作った。
Creators‘ App

ソニーのカメラとクラウドをつなげ、撮影・共有の体験を広げるスマートフォンアプリ。撮影画像の転送、リモート撮影、カメラの設定などが行えます。
名古屋でもワークショップを開催予定
2025年4月19日(土)に、αアカデミー 名古屋校にて彩智子さんによる同ワークショップを行います。
詳細は以下のページからご確認ください。