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【#ミニマルに切り取る日常:2 】金本 凜太朗

ミニマル写真とは、必要な情報を最小限に絞り画面構成して切り取った写真のこと。いつも目にする建物や風景も、視点を変えるだけで、アートに早変わり。ミニマル写真を愛し、撮り続ける6名のフォトグラファーに、シンプルだからこそ重要な切り取り方、見慣れた日常の中から脱出する表現方法について伺います。
今回は、写真家の金本凜太朗さんです。

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金本 凜太朗

写真家 1998年生まれ、広島県出身。2020年、フリーランスとして東京を拠点に本格的に活動を開始。Webや雑誌などさまざまなジャンルで撮影を行うほか、作品集の制作や写真展も開催。作家としても精力的に活動している。
愛用カメラ: Nikon D750/D600、SIGMA fp L
愛用レンズ:TAMRON 28-300mm F/3.5-6.3 Di VC PZD、SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Artなど

足し算と引き算で再構築した世界

現実だとわかるような要素を入れ込むのがマイルール

河川敷で子供たちがサッカーをしているシーンを撮影。
「斜めに橋の手すりの前ボケを入れて奥行きを出したのがポイント。色の要素がバランスよく散らばるように意識し、審判の水色を差し色に。ユニフォームの色彩がミニチュアのように見える好きな風景です」。

人物を入れたミニマル写真が特徴の金本さん。Instagramの影響で、スクエアに気持ち良く収まるように意識してトリミングしていたのが、ミニマルにハマったきっかけだったそう。
「ミニマルは『最小限』という意味ですが、情報量の多い視界の一範囲を、写真の限られた比率内で、自分が心地良いと思う配置に再構築すると解釈しています。よく僕の写真をデザインや絵みたいと表現していただくんですが、確かに、デザインしたり絵を描いたりする行為に似ているのかもしれません」。

海辺に佇む飼い主と犬。「青いネットと、ネット越しに青みがかった人と犬を真ん中に配置して、砂浜の黄色味と海の青さを対比させました。ドラマが想像できるような、犬と飼い主のひとときを切り取りました」。

コミュニケーションが存在しない主観で作り上げる演出写真

「人が入ったミニマル写真をよく撮る理由は、なんでもない景色でも、人が入ることでまったく違う印象になることが多いから。直線・曲線・色・配置・人の動きなど全体のバランスを見つつ、この要素は入れるべきか否かと、足し算引き算を繰り返しながら構図を決めています。また、過度なトリミングをしなくていいように、望遠ズームレンズの使用はマストです。レタッチは本来の色を損なわない程度に、撮影時に感じた印象的な色や空気感を再現するよう意識しています」。

「水族館の壁に描かれたイルカのイラストに、よく見ると子供がキスをしているんです。大きなスケール感の中にポツンと立つ子供の行動のかわいらしさが際立つ構図に」。

大学野球の校歌斉唱のシーン。
「きれいな光が差すグラウンドの空間性を見せつつ、横並びの選手たちの連続性を取り込みました。選手が後ろ向きに並んだ無機質さが不思議な写真に」。

新鮮な気持ちで常に世界を見ていたい

「青い壁、自転車に乗った人、電柱がレイヤーになった瞬間を狙いました。差し色に黄色のビニール袋。あえて電柱で顔を隠したのは、変わった構図の写真になると思ったから。青い壁でなければ撮っていなかったかもしれません」。

「NYのワールドトレードセンター駅で、往来する人たちを撮影。集団の中にいても個性が際立つ、NYに暮らす人々を俯瞰で」。

金本 凜太朗(@torintaro) Instagram
Rintaro(@rintaro_rintaro_rintaro) Instagram
金本 凜太朗 Twitter

GENIC VOL.60 【ミニマルに切り取る日常】
Edit:Izumi Hashimoto

GENIC VOL.60

特集は「とある私の日常写真」。
当たり前のようでかけがえがなく、同じ瞬間は二度とないからこそ留めておきたい日常を、表現者たちはどう切り取るのか。フォトグラファーが、クリエイターが、私たちが、それぞれの視点で捉えた日常写真と表現、そしてその想いに迫ります。

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