写真総点数545枚、全560頁!一本の電話から始まった作品集「Portrait」
2021年の3月頃、編集部に操上和美事務所から電話が入った。操上は写真の世界で最も畏敬の念を抱かれる最高峰の存在。要件は「30代最後の、今の自分を撮ってほしい」と綾野剛に切望された操上からの、一緒にやりませんか、という声がけだった。この時、1982年1月26日生まれの綾野は39歳。1936年1月19日生まれの操上は85歳を迎えていた。ちなみに今作の発売予定日は、綾野の誕生日から決められている。
綾野は驚くほど毎回、違った空気をまとって現れた。ある時は1ヵ月で筋肉だけで体重を10kg増やし、ある時は水すら飲むのを制限して華奢な身体の男になっていた。人間の身体はここまで変えられるのかと僕らは心底驚いた。『Portrait』はまさに肖像作品集という意味合いそのもの。100年先でも、100年前でも、違和感がない、時代が映らない作品となり、クリエイションとしては最高峰のものとなった。
(『Portrait』の撮影を記録したプロダクション・ノートより、一部抜粋)
著者インタビュー
綾野 剛「創作の原点に立ち返る」
「操上さんのスタジオに初めてお邪魔した時、とある男性の写真に出会ったんです。その肖像写真はなんというか“写っている”のではなく、ただそこに“存在”していました。そしていつ撮られた写真なのか全く分からなかったんです。なぜなら時間が、時代が写っていなかったんです。ふとある言葉を思い出しました。役者を始めた頃『写るのではない。ただそこに居ればいい』。僕自身の創作の原点だったと思い出しました。物語もなくフィクションも存在しない削がれたところから表現を学んでいく。ポートレートという世界に身を投じることによって原点に立ち返れました。操上さんとの挑戦という名の決闘の日々は、作品と自身と他者と向き合うことの大切さを改めて教えて頂きました」。
操上和美「圧倒的な顔の重量感、その顔を通して綾野剛の全体を探る」
「30代最後の、40歳までの今の自分を撮ってほしい、と言うことでした。そこで1ヵ月に一度、情景も何も排除して、定点観測のように顔だけを撮り続けた。コートを着た彼が車から降りてスタジオに入ってきて、マスクを着けた、そのままスッとカメラの前に立つ、というようなこともあった。その時々の役柄や、私生活を通じて顔も身体もどんどん変化する、その変化のプロセスが面白い。顔だけに集中することで、どれだけ全体を出せるか、深みに入れるか。ある種、実験的でもありました。撮影中に突然、彼が涙を流したことがありました。私はそれに反応して、静かにシャッターを切り続けました。そういう風に感情の起伏がある人間としての綾野剛。彼がなぜ泣いたかとか、もちろん知りませんし聞きません。しかし、とても印象深かった」。
「Portrait」
9,900円(税込)
仕様:A4変型判/重さ約1.2kg/ソフトカバー/写真はすべてモノクロ
ページ数:全560ページ
予約締め切り:2022年11月7日(月)
発売日:2023年1月26日(木)
※完全受注生産商品
オリジナル特典など
<通常特典>
すべての購入者に特製ポストカードをプレゼント(撮影風景動画 QR コード付き)。
販売店:Amazon、楽天ブックスなど、ネット書店および全国書店
<限定特典>
綾野剛モバイル(会員限定)より購入すると綾野剛の直筆サインが付きます。
綾野剛 プロフィール
1982年岐阜県生まれ。2003年ドラマ『仮面ライダー555』で俳優デビュー。’11年NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』で一躍注目を集める。その後もドラマ『最高の離婚』『八重の桜』『空飛ぶ広報室』と出演作が立て続けに話題となり、第22回橋田賞新人賞を受賞。また映画『横道世之介』『夏の終り』で第37回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。’14年には主演映画『そこのみにて光輝く』で、第88回キネマ旬報ベスト・テン、第36回ヨコハマ映画祭、第69回毎日映画コンクール、第24回日本映画批評家大賞、第29回高崎映画祭などの主演男優賞を受賞した。2022年に主演を務めたTBS日曜劇場『オールドルーキー』も話題に。
操上和美 プロフィール
1936年北海道富良野生まれ。主な写真集に『ALTERNATES』『泳ぐ人』『陽と骨』『KAZUMI KURIGAMI PHOTOGRAPHS-CRUSH』『POSSESSION 首藤康之』『NORTHERN』『Diary 1970-2005』『陽と骨Ⅱ』『PORTRAIT』『SELF PORTRAIT』『DEDICATED』、そして2020年、ロバート・フランクに捧げた『April』など。主な個展に「KAZUMI KURIGAMI PHOTOGRAPHS-CRUSH」(原美術館)、「操上和美 時のポートレイト ノスタルジックな存在になりかけた時間。」(東京都写真美術館)、「PORTRAIT」(Gallery 916)、「Lonesome Day Blues」(キヤノンギャラリーS)など。
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