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【#エモーショナルな日々:1 】イ ノ ウ エ

いつもの風景も、カメラを通して見ると二度と戻らない日々だと気が付く。なぜか懐かしく感じる道、過ぎ去ってしまう一瞬の表情、はためく制服のスカート。なんだか泣きたくなるような、胸が苦しくなるような、そんな瞬間を写しとる4名のフォトグラファーにフォーカスします。
1人目は、どこか懐かしい風景を切り取る、イ ノ ウ エさんです。

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イ ノ ウ エ

大学生/フォトグラファー 2000年生まれ、千葉県出身。現在早稲田大学在学中。大学のオンライン化をきっかけに本格的に写真を始める。誰もが見たことがあるような温かい街の日常写真をSNSで発信している。
愛用カメラ:Sony α 7 Ⅲ
愛用レンズ:AUTO YASHINON-DX 50mm F1.7

等身大の、街の日常

その街の息遣いやリズム感まで写しとる“日常の記録係”になりたい。

「散歩中に。雑多な場所でしたが、並んでいるもののリズム感と、遠近感によって物の位置を理解しやすい構図で撮影しました。シャドウに緑を入れ、全体的に寒色調に仕上げ、爽やかな昼間の写真に」。

イ ノ ウ エさんの写真は街並みを”記録”するような作品が印象的。「被写体は些細な道や街並みなど、地味なものばかり。ですが、馴染みあるものだからこそ、写真にすると優しく心に染みてくる温かさがあると思います。その街に流れる息遣いやリズム感を、飾らず等身大に撮ることを大事にしています。以前、標識を撮るのに光の入れ方を考えてうろうろしていたら年配の方に不審がられてしまったのですが、その後写真談義になり最後にはツーショットを撮って帰ったことも(笑)。珍しい出来事は誰かが記録しているかもしれませんが、本当の意味での日常は当たり前ゆえに記録されていないので、自分がその街の”本当の日常の記録係”の一端を担うことができたらと考えています」。

「沈みゆく夕日の光が、街を優しく包み込んでいる様子を表現しました。川が遠くに伸びていくような遠近感を出しつつ、夕日の光が入るよう構図にこだわりました。オールドレンズを使って、フレアやゴーストをあえて生かしています」。

「通学路という誰もが馴染みのある道に、いい感じに柔らかい光が差し込んでいる時間。奥に向かっていくような、パースの効いた構図に」。

優しく心に染みてくる、温かさや安心感を写したい

レタッチにもこだわりが。「現代のレンズは写り過ぎてしまうため、あえて解像度を落とし、温かさを感じられるよう暖色を所々に入れています」。実は、撮影時に”エモーショナル”だと感じる光景と出会うことはあまり多くないのだそう。「撮影時よりも、現像やレタッチをする段階で”ああこの場所味があるなあ”と思うことが多いです。写真は、見ている世界をより大切に感じられるものだと思います」。

「初夏の昼間、日に照らされた八百屋さん。全体的に緑色を入れフィルムライクにし、日に照らされた感じを強調するため、ハイライト部分の抜けをよくしています。千葉の九十九里という街には、古き良き商店街が多く残っています」。

「高架下に続く低くなった道に、光が差し込んでいる哀愁漂うワンシーン。信号・カーブミラー・交通表示が狭い空間に密集しているのが珍しく、ついシャッターボタンを押していました」。

「雑多ながら、それぞれの被写体のカラフルでポップな見た目が可愛くて。スッキリ見せるために斜めから狙い、左に向かって綺麗に並んでいくリズム感を意識」。

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GENIC VOL.60 【エモーショナルな日々】

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特集は「とある私の日常写真」。
当たり前のようでかけがえがなく、同じ瞬間は二度とないからこそ留めておきたい日常を、表現者たちはどう切り取るのか。フォトグラファーが、クリエイターが、私たちが、それぞれの視点で捉えた日常写真と表現、そしてその想いに迫ります。

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