Chihiro
プロトラベラー。1991年生まれ。モデルとして活動後、アパレル関連の仕事をしながら、モデル事務所でマネージメントなどに携わる。2017年、プロトラベラーに就任。街並みを散策しながら、かわいいモノ・ヒト・文化に触れる旅行スタイルが好きで、カフェ巡りとチルライフを愛す博多っ子。2022年8月に双子を出産。
RICOH GR III Diary Edition
専用アクセサリー類をセットにした「GR III Diary Edition Special Limited kit」を2023年1月に発売。イメージコントロールに「ネガフィルム調」が新たに搭載された、日常に溶け込みやすいメタリックウォームグレーのボディカラーが上品な、全世界2,000台の限定モデル。片手にすっぽりと入るコンパクトサイズのボディに、高解像度・高コントラストでシャープな写りが美しいGRレンズと、精緻な描写力を実現するAPS-Cサイズの大型イメージセンサーを搭載。焦点距離18.3mm(35mm判換算 約28mm)で、レンズの明るさを示すF値はF2.8~F16。タッチパネルでの操作もでき、撮影のレスポンスに長けた特別モデルです。「RICOH GR III Diary Edition」単体モデルを2023年春に発売予定。
(「ネガフィルム調」はすべてのGR III/IIIxシリーズにおいても、最新ファームウェアにアップデートすることで利用可能です。)
※本記事では、意図せず高いISO感度設定のまま撮影された作品がありますが、コラム主旨に則りそのまま掲載しています。
Column.1 日常にあふれる幸せ。バレンタイン前日の贈り物
PM9:00、双子の子どもたちを寝かしつけていると、仕事を終えた夫が帰宅した。手に凛とした1輪のカラーを持って。「はい、バレンタイン」と渡された。この日は2月13日。予期していなかったこともあり、嬉しさがこみ上げる。今年は結婚して初めて夫と迎えるバレンタインでもあった。
特別な日でなくとも、夫はお土産や贈り物を手に帰ってくることがある。大きなものではないけれど、小さな思いやりにあふれた日常は、とても幸せだと思う。育児にも協力的で、私のことも気にかけてくれている。子どもたちが寝静まった後、映画を見たりおしゃべりしたりする夫婦の時間は宝物だ。
翌日、日の光の中でもらったカラーを撮ろうと思った。カラーはシンプルな花なので、あまり飾らずに白い背景で、露出を上げて明るさを出し、花にピントを合わせて立体感が出るように意識した。
Column.2 瞬間をとにかく撮る。子どもたちの表情や仕草
双子の子どもたちは、生後6カ月を過ぎ、最近になって「横にだれかいるな」と互いを認識するようになってきた。横に並ばせると顔を見合ったり、相手の手や髪の毛にふれたり、泣いているのを見て笑い出したり。これも成長だと、見ていて微笑ましい。
寝返りの練習をさせようと思い二人をうつぶせに並べると、子どもたちは互いを見合って手を重ねた。偶然かもしれないけれど、重なった手がかわいくて、急いでカメラを手に写真を撮った。
子どもの見せる表情や仕草はいつも一瞬で、それは二人そろってのことであれば尚のこと。だからこの時も、カメラの設定をする暇もなく、重なった手を急いで撮った。ピントがボケてしまったが、何だかそれもリアルで好きだと感じた。
生後6カ月になって、おしゃべりも増え、二人の変化や成長をすごく実感するようになった。そういう今しかない瞬間を、こぼさず撮れていけたら嬉しい。
Column.3 約1年ぶりの旅の仕事、初めて子どもたちと寝ない夜
最近、観光地を巡る1泊2日の仕事があった。日頃から母と夫が育児に協力してくれているので、子どもたちのことは安心して任せることができた。それよりも、久しぶりの旅の仕事に、感覚を取り戻すことができるのかどうか、ドキドキしながらの出発だった。
旅の写真は撮影枚数が多い。初日の撮影が終わり、その日に泊まる旅館に着いて1日を振り返る。撮らなければいけないところはしっかり撮れたと思い、ほっとして、やっと心にゆとりが生まれた。旅館は立派で、館内も広く、部屋には露天風呂があった。
子どもが生まれてから、子どもたちと寝ない夜はこの日が初めてだった。子どもといると、子どもたちの準備もあって慌ただしく、自分のことは二の次になりがちだ。それがこの日は、久しぶりにのんびりできた。浴衣を着ると気分が上がり、写真を撮った。鏡越しに撮影した1枚は、背景がきれいにぼけて気に入った。
翌日、撮影を終えて家へと帰る途中、仕事モードから母モードへと戻っていく自分を感じる。仕事中は思わなかったのに、家路へと向かう電車に揺られながら「早く子どもたちの顔が見たい」と強く思う自分がいた。
Column.4 好きな日常風景・日常の時間を、そのままに
天気のいい日に、散歩で訪れることが多い近所の河川敷。幅が広い双子用のベビーカーだとエントランスが狭くて入れない公園も多い中、河川敷はゆとりがあり、スロープもあって、条件的にもありがたい場所だ。
光はまだ十分にあるけれどやわらかい空気が流れる夕方の時間帯が好きで、この日も夕方に子どもたちを連れて散歩に出た。
夕方は子どもたちの“黄昏泣き”タイムでもあるが、ベビーカーに乗せて散歩をすると落ち着いて、すやすや眠ってくれることが多い。私は河川敷に着くと、ベンチに座ってぼーっとしながら景色を見る。そんな日常を残したくて、アングルや構図、全体にピントを合わせることなどあれこれと注文をつけながら、一緒に行っていた姉にシャッターを切ってもらった。
帰宅すれば、子どもたちをお風呂に入れ、ミルクをあげ、寝かしつけるという、目まぐるしい日常が待っている。河川敷でぼんやり過ごす時間は、夜の戦闘モードに向けて英気を養う大切なひと時なのだ。
Column.5 車内で切り替わる、母モードと仕事モード
3、4年前から勤めているアパレルショップでの仕事は、妊娠中も出産後も、続けている。ずっと家にいるとストレスがたまってしまうタイプなので、月に1~2度、子どもが生まれてからも働かせてもらっている。
育児中はいつもひとつにまとめている髪を、仕事だったこの日はおろして家を出た。少し早めに着くと、駐車場に停めた車の中でメイクを直したり携帯をチェックしたりする。母モードから仕事モードへと、自然と切り替わっていく時間だ。
メイクをチェックをしようと、運転席のサンバイザーにあるミラーを覗き込んだ。単焦点レンズのGRだと写る範囲は被写体との距離で決まるが、この時は車の中の鏡との距離がちょうどよく感じられ、撮影をしてみようと思った。
32歳にもなると、だんだん隠したいところが多くなってくる。その点、GRにピントが合い、奥に写る自分はほわっと表現されている感じが気に入った。満足して車を出て、仕事場へと向かった。
Column.6 「今日もお疲れさん!」就寝前のコーヒータイム
双子との1日は、目まぐるしい。ミルクをあげ、オムツを替え、泣けばあやし、散歩に行き、お風呂に入れ、隙間時間に自分の食事や家事を済ませていく。それでも比較的寝てくれる子たちなのもあり、最近は自分も慣れてきたと感じている。ただ、そうも言っていられない1日の“メインイベント”が、夜の寝かしつけだ。
毎日20~21時頃に子どもたちを連れて寝室へ行くが、二人はちっとも寝ない。2時間くらい余裕で起きていることもあれば、その間ずっと泣いていることさえある。二人同時に泣き出された日には、こっちもそっちも落ち着かせようと焦り、大わらわ。泣き叫ぶ二人に、耳線つけてギブアップできたら…!と思ってしまうことも、正直度々だ。
そんな毎日の中で、子どもたちを寝かせた後に、コーヒーを飲むのが至福のひと時となっている。この日も壮絶な寝かしつけを終えたばかりだった。くたくたの状態で袋からコーヒーパックを取り出すと、「ENJOY COFFEE」の文字が目に飛び込んでくる。癒された瞬間だった。
フォントもかわいくて、文字を近い距離から撮りたいと思い、マクロモードで撮影した。背景のボケ感が強く、写真に奥行きや立体感がよく出た。
Column.7 甥っ子の姿に思い描く 子どもたちとの未来
天気がよく、みんなの休みが重なった日、急遽ドライブがてら糸島へと向かった。最近はおしゃれな店やカフェも増えて、人気観光地としてにぎわう糸島だけれど、福岡に住んでいる私は幼い頃から今もずっと、ただ海を見たくて糸島に行く。波がある日はサーファーたちも多く、砂浜にある階段に腰をかけて、ぼーっと眺めるのが好きだ。
この日は、姉と、3歳の甥っ子も一緒だった。砂浜で追いかけっこをしたり高い高いをしたり、甥っ子と思い切り一緒に遊んだ。楽しくて、その時間を写真に残したいと思った。下からのアングルで動きを出してもらうようお願いしながら、姉にシャッターを切ってもらう。
私の子どもたちも、早く甥っ子の年齢になってほしいと思った。海で遊んだり、美味しいものを一緒に食べたり、いろんな経験を一緒にしたい。あなたの好きなものは何で、私が好きなものは何か、言葉でコミュニケーションをとれる日が待ち遠しいと思った。
私は、子どもにとって絶対的に味方になってあげる“友達”になりたい。親だとどこか支配的な感じがしてしまうが、友達であれば親しき仲にも礼儀ありだ。その子の意見を尊重できる、そういう子育てをしたいと思っている。
この時は、RICOH GR III Diary Editionに新搭載された、イメージコントロールの「ネガフィルム調」で撮ってみた。ハイライト部分にも色がのりつつ、影との濃淡を優しいイメージに仕上げてくれた。全体的に柔らかい雰囲気の写真になったことで、この瞬間の想いまで写し出されているように感じられた。
私が思う、RICOH GR III Diary Editionの魅力
いつもポケットに
荷物の少ない私にとって、GRのサイズ感は日常使いにぴったり。外に出かける時は必ず持ち出し、ポケットに入れて持ち歩いていました。その上で、びっくりするのが起動の速さです。電源ボタンを押してから1秒も待たずに撮れるので、撮りたい瞬間を逃しません。ふと訪れた撮りたい瞬間に、ポケットからサッと取り出し、すぐに撮影できる。最近のカメラは機能が多すぎて使いこなすことが難しいと感じますが、その点もGRはシンプルでわかりやすく、日常を撮る助けとなってくれました。
また、夜の暗い室内で子どもたちを撮ることも多いのですが、実は今回、その設定のまま翌日も撮影してしまうことが度々ありました。気づいた時は「しまった!ISO感度が高すぎた」と顔面蒼白になる思いでしたが、画像を確認するとノイズもそこまで気にならず、日常の大好きな瞬間をしっかり残してくれていたことに安心しました。GRにはノイズリダクションというノイズを軽減する機能があり、それもよく働いていてくれたのだと思います。
そのことも含め、GRの画質の素晴らしさには本当に驚かされました。今までコンパクトデジタルカメラを使ったことがなかったこともあり、使う前は画質への心配があったのですが、GRで撮った写真を見ると、むしろより細かなところまでしっかり写し出されている。ボケの具合も、写真のトーンも好みで、加工しなくてもいいほど味のある写真が撮れました。また、画像設定とエフェクトを統合した仕上がり調整機能「イメージコントロール」を使えば、日常の写真を簡単にかっこいい写真にできます。「ネガフィルム調」「HDR調」など12種あり、個人的にはモノクロの色味が「モノトーン」「ソフトモノトーン」「ハードモノトーン」「ハイコントラスト白黒」と4パターンあるのが好きでした。カメラに慣れていない人には、イメージコントロールを使って写真を撮ってみることをおすすめしたいです。
いつでも手軽に持ち運べて、撮りたい時にすぐ撮れる。そして撮った写真はそのまま味わいになるのがGR。変に作り込むこともせず、ためらわずにその瞬間を撮ることができるから、雰囲気や被写体の表情、そしてその時の気持ちまでリアルに写し出してくれるカメラだと思いました。
RICOH GR III Diary Edition 製品情報
RICOH GR III Diary Edition Special Limited Kit
オープン価格※完売
※「RICOH GR III Diary Edition」単体モデルを2023年4月21日に発売予定