コンテンポラリー・アートの中で生成される自然と人間のエネルギーの循環や対話の可能性
ほんのつかの間の時間、惑星に停泊するものたちの間のエネルギーの循環や共鳴、そして希望をそれぞれの作品から感じる、アートとエコロジーのダイアローグ。
二コラ・フロック(Nicolas Flocʼh)
世界各地の海や河川に自ら潜りながら、水面下の景観と生息環境とその生態系の撮影を続けている二コラ・フロック。カランク国立公園の委託事業である《Invisible(インヴィジブル)》(2016~2021)や緑と青の色調を水から取り出した《La couleur de l’eau(水の色)》(2018~2020)など、通常は目にすることのない地球環境や人間活動の領域を科学的に、またコンセプチュアルな手法で記録する代表シリーズが紹介されます。
ニコラ・フロック
写真家、ビジュアル・アーティスト 1970年フランス レンヌ生まれ
パリを拠点に活動。自然光下で水中の風景を撮影したモノクロームのドキュメンタリー写真で知られる。自然環境の移ろいの過程において、流れ、消失、再生が果たす本質的な役割を問い続けている。
ケイト・ニュービー(Kate Newby)
現居住地であるテキサスと、栃木県益子町でセラミック制作を実施。協働する複数の手によって生み出される作品は、ささやかな日常の集積や風土を含み、増殖するかのように空間を占拠し、鑑賞者の身体に親密な触覚をもたらします。
ケイト・ニュービー
1979年 ニュージーランド オークランド アオテアロア生まれ。アメリカ テキサスのフローレスビルを拠点に活動。
さまざまなアクションを通じて場との関係性を構築するサイト・スペシフィックなプロジェクトを実践。日常的な伝え方や物を用いて多様な状況をつくり、現代美術の展示・鑑賞・収蔵の新しいあり方に挑戦する
保良雄(Takeshi Yasura)
作者は鉱石や水といった物質の状態変化に着眼し、相関する時間軸を浮かび上がらせる畑作業、例えば種子を蒔く、耕す、採取する、植え替えるなどを日々営んでいます。本展では、地球太古の時間と都市の地政学を持ち込むことで、優劣や格差を潜在的に生み出してもいるエコロジー思想に批判を込めたアプローチを展開します。
保良雄
1984年、滋賀県日本生まれ。パリと千葉を拠点に活動。
テクノロジー、生物、無生物、人間といったさまざまなアクターを縦軸ではなく横軸で捉え、存在を存在そのものとして認めることを制作の目的としている。
ケイト・ニュービーと保良雄は、関連プログラムである「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」展(森美術館、2024年3月31日まで)にも出展。東京の中にあるふたつの地点やアーティストの活動拠点となる地域との繋がりから、エコロジーのネットワークを立ち上げます。
ラファエル・ザルカ(Raphaël Zarka)
美術史を再訪しつつ、過去の作品の流用と再利用に見出される可能性を、エネルギーが新たな回路へ接続するプロセスとして解釈し、建築やアートの生態系を拡張。《Riding Modern Art(ライディング・モダンアート)》(2007~2016)は幾何学的なパブリックアート作品に潜在する動きのダイナミズムが、スケートボーダーによって可視化されるさまを写真に納めたシリーズで、東京日仏学院においても作品展「ライディング ・ モダンアート 」 ラファエル ・ ザルカ展が開催(2024年2月17日~4月21日)。
ラファエル・ザルカ
1977年フランス モンペリエ生まれ。パリを拠点に活動。
幾何学的形態の変遷について、芸術や科学技術のみならず、スケートボードといったポップ・カルチャーの側面から、学際的に探求するザルカの活動は、彫刻や写真、ドローイングから執筆まで多岐にわたる。
「エコロジー:循環をめぐるダイアローグ2 つかの間の停泊者」展 情報
開催日時
2024年2月16日(金)~5月31日(金)11:00~19:00 ※最終入場18:30
休館日:3月27日(水)、4月3日(水)※基本、銀座店の営業に準ずる
入場料
無料
会場
銀座メゾンエルメス フォーラム 8・9階
〒104-0061 東京都中央区銀座5-4-1
行き方・アクセス
<電車>
東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線「銀座駅」B7出口直結
JR山手線・京浜東北線「有楽町駅」日比谷口から徒歩で7分
- 【お問い合わせ先】
- 銀座メゾンエルメス
- 主催:エルメス財団
- 後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ