淵上裕太
フォトグラファー
1987年、岐阜県生まれ。2014年名古屋ビジュアルアーツ写真学科卒業。六本木スタジオを経て独立。
2016年より上野界隈に集まる人々を撮影した〈 路上 〉シリーズを継続的に発表。上野を背景に人物を正面から捉えた写真は、被写体との間に独特の距離感を生み出す。主な展覧会に、上野に集う人々を捉えた「路上〜私の心を奪うために〜」(TOTEM POLE PHOTO GALLERY、東京、2016年)、「2021年度ヤング・ポートフォリオ サテライト展」(Place M、2022年)など。主な写真集に『路上 1』(2017年、私家版)、『路上 2』(STAIRS PRESS、2018年)、『上野公園』(塩竈フォトフェスティバル、2023年10月20日刊行)。塩竈フォトフェスティバル 2022ポートフォリオレヴュー・写真大賞受賞。
淵上裕太からGENIC読者へのメッセージ
GENIC WEBをご覧の皆様、淵上裕太と申します。
現在、禅フォトギャラリー様で上野公園で声をかけて撮影したモノクロポートレートシリーズを展示しています。
同時開催中の「見るまえに跳べ 日本の新進作家 vol.20」東京都写真美術館【2023.10.27(金)—2024.1.21(日)】に出展されている、カラー写真とは違い光を見て撮影しているのがすごくわかる写真たちです。
私にとって、2つの会場で一つの展示作品としてのイメージがあります。ぜひ、両方合わせてご覧いただけると幸いです。
寒い日々が続きますが、ぜひよろしくお願いします。
禅フォトギャラリーでは、東京都写真美術館で展示されている写真を購入することも可能です。気になる方はぜひギャラリー常駐のスタッフまでお問い合わせください。
淵上裕太
人々がこの場所で美しく生きている、という記録
展示作品は、2015年から2019年まで淵上裕太が上野公園を歩き、モノクロフィルムで撮影した写真です。
上野に初めて訪れたのは2015年の夏だったと思います。東京に上京して間もない頃、気になる場所を訪れて、隅から隅まで歩き、人に声をかけてポートレート写真を撮影していました。その時は、人以外にシャッターを切ることがなかったので、撮影する場所はどこでも良いと考えていました。その頃、東京という場所で自分の撮りたい対象が多くいる場所を見つけるのが難しかったように思います。
上野駅を降りて、初めて感じたのは「しょんべんくさい」という印象で、生きている匂いがしました。これは私が東京で初めて感じたものでした。駅前には数人のホームレスが寝転がっていました。私はいつものように隅々まで1日歩き、夕日が落ちてきた頃に偶然上野公園の不忍池を見つけました。その光景には圧倒され、枯れた茶色に染まる池は死を感じさせました。それ以降、上野公園は私の東京で一番好きな場所となり、撮影する場所になりました。
淵上裕太
モノクロ写真は私にとって一番好きなもので、色がないことで長時間見ていられ、写真に静けさや哀愁が漂います。私の写真が人間が何者であるかや生きる意味などを伝えることは難しいですが、人々がこの場所で美しく生きているという事実を記録し続けたいと思っています。人間は非常に醜く、同時に美しい存在です。さまざまな人がいて、強く強く生きています。それだけで非常に美しく、私の心を引き寄せ離しません。
淵上裕太
ぜひ、同時期に東京都写真美術館で開催されている「見るまえに跳べ 日本の新進作家 Vol.20」展(2024年1月21日まで開催)に出品中の最新のカラーシリーズ「上野公園」とあわせてご覧ください。
淵上裕太写真展「上野公園」情報
開催日時
2023年12月1日(金)〜12月23日(土)12:00~19:00
休廊日:日、月、祝祭日
入場料
無料
会場
ZEN FOTO GALLERY(禅フォトギャラリー)
〒106-0032 東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル208号室
行き方・アクセス
<電車>都営地下鉄大江戸線・東京メトロ日比谷線「六本木駅」3番出口から徒歩で1分
写真集「上野公園」情報
2023年10月20日 初版発行
著者:淵上裕太
Size:H242mm x W210mm
Page:88 pages
Binding: Softcover
デザイン:町口景
編集:菊田樹子
翻訳:ジョン・サイパル
発行:塩竈フォトフェスティバル
印刷:株式会社誠晃印刷
価格:3,500円(税込)
- 【お問い合わせ先】
- 写真展:ZEN FOTO GALLERY
- zen-foto.jp
- 写真集:「上野公園」販売サイト
- https://fuchikamiyuta.stores.jp/