プロフィール

SAKI OTSUKA
写真家/画家/美術家 東京都出身。
幼少期から絵を描き、2006年より画家としてのキャリアをスタート。2011年より写真を撮り始め、写真家としての活動を開始。作品を自分の分身と捉え、セルフポートレートを中心に撮影する。女性をテーマにした作品も多数発表している。
愛用カメラ:RICOH GR III、Nikon COOLPIX A1000
ステートメント

この展示は、性犯罪被害者として生きてきた私の人生の痛みと再生の物語です。
私は自分の性犯罪被害を告白をしていますが、告白をしたからといって心の傷が治ったというわけではありません。ですが、心は再生の段階にあると感じています。私のトラウマの再演は一生続くと思いますが、もうそのことを怖がることはありません。自分の選択や行動がトラウマの再演だと認識できるからです。
私の経験は個人的なものですが、私だけのこととは思っていません。この経験は全ての女性、または男性に共通する経験であり痛みです。私はこの作品の思いや性暴力の現実が多くの方に届くことを願っています。
自分のトラウマの再演をテーマに制作するのは今回できっと最後です。
これは再生のための最終章です。
展示作品の一部と解説

本展は、SAKI OTSUKA本人の実体験として、性被害によって失われた「自分自身」を取り戻すため、“あの日”のトラウマの再演を繰り返してきた作家自身による記録・回顧であり、「挑戦」を意味しています。魂の再生を語るインスタレーション作品をはじめ、写真表現、動画作品など、多様な作品で女性として生きるリアルを訴える展覧会となります。
SAKI OTSUKAは、自身が10代の頃に受けた性犯罪被害の後、自分自身の内側を失い、まるで自分が死んでしまった感覚を抱えながら生きてきました。無意識のうちに自身の体験した恐怖を追いかけ、それを乗り越えようとする行動は、新たな被害を生む可能性も孕んでいましたが、それでも彼女は再演を選び続けました。自身の記憶を塗り替えるための試み以外に、自分を守る術がなかったためです。
本展で展示される作品は、そうした過程の中で生まれたものであり、「再現」ではなく「再生」に向けた試みです。自身の中で一度死んでしまった「私」と再び出会うための、痛切で静かな行為です。私たちが暮らすこの社会は、秩序と平和を重んじる場所である一方、日常的に性暴力が横行し、特に女性の尊厳が見過ごされるという矛盾を常に抱えています。性被害は、個人の問題にとどまらず、社会の構造が浮き彫りにされる領域でもあります。
タイトルである「Taking Back Myself」とは、日本語で「失われた私を取り戻すこと」を意味しています。本展が性暴力が未だ存在する現実と、それに抗いながら挑戦し続けるアーティスト自身の声に、静かに耳を傾ける場となることを願っています。
GALLERY ETHERは、作品を通じて表現される作家の「生の声」が、私たちと同じようにあなたの心に響き、あなた自身も私たちと共に作家や他の性的暴力被害者をサポートしていただけることを信じています。
── GALLERY ETHER WEBサイトより
SAKI OTSUKA 個展「Taking Back Myself」情報
開催日時
2025年7月12日(土)~8月2日(土) 12:00~19:00
要予約:日曜、月曜、祝日
入場料
無料
会場

GALLERY ETHER
- 〒106-0031 東京都港区西麻布3丁目24−19 三王商会西麻布ビル 1F-B1F
- Google Map
行き方・アクセス
<電車>
東京メトロ日比谷線「六本木駅」1c出口、広尾駅3番出口から徒歩で10分