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Frame by Frame 加藤シゲアキが積み重ねた写真愛 加藤シゲアキ(NEWS)

写真にハマった理由は「あの頃、自分を表現する方法を探していたから」。グループ活動をしながらも、個人的に行き詰まっていたとき、シャッターを切ることを重ねた。夢中になって見つけた自分らしさ、小説家になったからこそ写真に求めるもの、デジタルカメラを好きになれたという最近のこと。GENIC本誌に6ページの特集で掲載している、加藤シゲアキ自身がさまざまな旅先で撮った写真と本人語り。今回はその一部をご紹介します。その他の作品は、GENIC本誌、vol.75 2025年7月号にてご覧ください。

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目次

プロフィール

加藤シゲアキ(NEWS)

アーティスト/俳優/作家/写真家 1987年生まれ、広島県出身。青山学院大学法学部卒業。NEWSのメンバーとして活動しながら、作家として小説やエッセイも執筆。写真・カメラをライフワークとし、自身のエッセイなどにも写真作品を収録している。能登半島復興支援のための10人の作家によるチャリティ短編集『あえのがたり』(講談社、2024)を発起して話題に。近年の小説作品に、『なれのはて』(講談社、2023)、『ミアキス・シンフォニー』(マガジンハウス、2025)。映像作品に、監督・主演を務めた短編映画「SUNA」(2025)、舞台作品に、主演を務めた「エドモン~『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男~再演」(2025)など。
愛用カメラ:Hasselblad 500C/M 50周年記念GOLD限定モデル、SIGMA fp L、LEICA minilux
愛用レンズ:Planar 80mm F2.8

Frame by Frame 加藤シゲアキが積み重ねた写真愛

同じ場所、同じ時間に撮っても、 同じ写真は存在しない。だから、写真に飽きる理由がない。

「NYを歩きながら撮ったスナップで、このときは特に色が気になるたびにカメラを向けていた。日常よりも、旅行とか遠出した現場とか、空間が変わった時に写真を撮るのが好き。小説って自分が知っていることしか書けないから、基本的に自分を切り取っている感覚で、日常に近いところからヒントを得たりすることが多い。だから、写真ではそれをしたくない、という想いがあって、部屋の中とか日常を撮らないのは、その理由が大きいかな。写真はあくまでも、仕事ではなく趣味という感覚で、重要なのはリフレッシュ感。日常とは違う所に行くと自然と撮りたい、って気持ちが湧いてくる」。

一眼レフってよく聞くけど、それってなんだ?

「カメラのスタートは、中学の時の“写ルンです”。第二次ブーム的な時期だった。それで修学旅行の時か何かに“写ルンです”を買って、36枚使い切らなきゃいけないから、学校でも持ち歩いたりして。すごくたくさん撮っていたわけじゃないけど、いつもバッグに入れていて、その頃はまだ、記録みたいな感覚で撮ってた。本格的に撮り出したのは、一眼レフを手に入れてから。撮られる側としてカメラに接することが多かったから、知りたくなった。『一眼レフってよく聞くけど、それってなんだ?』って、カメラマンの小林ばくさんに聞いたら、フィルムの一眼レフカメラをくれた。でも、絞りとシャッタースピードと感度の関係とか最初はまったくわかってないから、ボケるし、暗いし、全然上手く撮れない。難しいからこそ面白くて、撮りながらだんだんのめり込んでいった」。

写真にハマったのは、あの頃、自分を表現する方法を探していたから。

「写真にハマった理由のひとつとして、自分を表現する方法を探していたから、というのがある。グループ活動をしながらも個人的に行き詰まっていて、自分を探していた頃があって。今でこそ小説を書いているけど、小説とか絵はすごく時間がかかる。写真はその瞬間だけでいいから、表現の入り口としてとても広くて簡単に思えた。すごくカジュアルなアートだな、と」。

自分の写真は“ぽい”だけで本物じゃない。何が違うのか、わからないから熱中した

「基本的なことを覚えてあとは直感に委ねてシャッターを切れば、なんだかそれっぽく撮れる。でも、撮っていくうちに、自分の写真は“ぽい”だけで本物じゃないってことに気づいた。世界にはすごい写真がたくさんあるのに、何が違うんだろう?って。それがわからなくていろいろ試していたら、どんどん熱中していった。特に夢中になったきっかけは、中判カメラとの出会い。大学生の時に、ローライフレックスを手に入れて撮った最初の写真が、すごく良かった。初めて、ちゃんと写真が撮れたって思えた。そこで、自分の好きな写真、自分のスタイルみたいなものを見つけた気がする」。

面白くないと思っていたデジタルカメラが、写真が好きという想いを再確認させてくれた

「ずっとフィルムが好きで20年以上撮ってきたけど、最近、デジタルの良さにも気づけた。フィルムはその場で確認できない緊張感がやっぱり好きだし、デジタルは綺麗に撮れすぎるところもあって、『面白くない』って思ってた。でも、5年くらい前に、撮りたいものもなければ、新しい撮り方も思いつかない、というスランプに陥って。自分のセンスの限界のようなものを感じて、写真が楽しくなくなった。それで、カメラを買い替えたり、いろいろ模索をする中で、久々にデジタルで撮ってみたら新しい自分に出会えた。デジタルの進化がすごくて、“面白くないデジタル"から完全に時代が変わって、いろいろなものが見えた感じ。そして、やっぱり写真が好き、という気持ちを再確認できた。デジタルはやっぱり現像が面白い。フィルムだとどうしてもラボに頼るところが出てくるから。今はよく、デジタルで撮っていて、自分らしい現像を楽しんでいる」。

カメラは“もう一つの目”。気づかなかったものが見えてくる

「自分が撮った写真を誰かに見せたいとは、あまり思わない。自分の満足のために、自分を見つめるために撮っている感じだから。写真というのは、レンズを通して切り取った四角い瞬間。同じ場所の同じ時間というのは二度とない。カメラは同じでも、同じ写真は存在しない。だから、写真に飽きる理由がない。カメラは自分にとっては、“もう一つの目"のようなもの。カメラを通して出来上がった写真と、自分の記憶の画は、色も視野も違うから別物だという感覚。だから自分の目と違う“カメラ"という目を通すと、気づかなかったいろいろなものが見えてくる」。

写真を撮ると、心が浄化される。だから、自分のために撮り続ける。

「実は“もう一つの目"で見たほうが、真に迫っていたりもする。これは理屈ではなく、感覚。だから、ピュアな想いからカメラを構えることが多くて、写真を撮ることで気持ちの区切りがついて、心が浄化されている気がする」。

GENIC vol.75【Frame by Frame 加藤シゲアキが積み重ねた写真愛】

GENIC vol.75

2025年7月号のテーマは「I love photography ただ、写真が好きで」。

写真は移ろいゆく季節に目を向けることを教えてくれた。
写真は心の奥にしまい込んでいた自分の感情に気づかせてくれた。
写真は自分らしく生きていいよと励ましてくれた。
写真はかけがえのない仲間と巡り会わせてくれた。
写真は素晴らしい世界の見方を示してくれた。

写真から、たくさんのものをもらってきた。
だから、好きな理由はひとつじゃない。

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