tomei/透明愛好家
クリエイター 東京都出身。透明なものをこよなく愛し、自ら作ったり集めたりしたものを、SNSで発表し話題を呼ぶ。以後、SNSを中心に、書籍や雑誌などで活動中。2021年よりフリーランス。
愛用カメラ:CanonとSonyを使い分け。
食べる透明標本
様々なものが 絡み合って生まれる「おいしい」。 その瞬間を写真に
「夜空のゼリーケーキ」
七夕の星降る時期に。眠らない夜の街の中で、満天の星を見たいと願って作りました。特にスイーツを撮影する時には、被写体に存在感が生まれるので透明や白のお皿を使うことが多いです。
スイーツをはじめ、透明な食べ物や飲み物を撮り続けているtomeiさん。撮ることと同様、食べることも自身にとって大切だそう。
「食べることが大好きです。息を吸うのと同じように人間にとって欠かせない行為ですが、肺へおくる酸素を作ることは難しくても、食べ物は誰しも作れる機会があるんですよね。それも自分だけじゃなく、誰かへもおくることができる。食べることは、自分とそして誰かをも満たすことのできる、呼吸のようなものだと思います」。
「あじさいゼリー」
梅雨明けのある日、おうちの中でも季節を感じたくて作りました。自宅内のスタジオは、天候や季節よって光や影の入り方が異なります。日々変わり続ける天気と一緒に、写真の構図を考えています。
自作の透明スイーツは、季節が感じられる食材や題材を用いることが多い。
「"おいしい”というのは見た目、素材、味、人、記憶など様々なものが絡み合って生まれる言葉。私はその瞬間を、写真で切り取りたいんです。それに、"おいしい”瞬間を写真に撮ることは、撮影し終わったあとに食べるという楽しみが待っているところも魅力です」。
心に寄り添うような、おいしい写真を
写真は自分の心そのものを写す、と言うtomeiさん。
「だからカメラや被写体と向き合うことは、自分自身と向き合うこと。私は、いつも"水のように透明でありたい”と思っていて。私の撮った写真が、見てくださった方に寄り添うようなものになったらいいなと思っています」。
「透明ドーナツゼリー」
初夏のある日、身近なドーナツが透明になったらと遊び心が湧いて作ってみました。周りをシンプルな色合いでまとめると、被写体と周りとのバランスが取れ写真にもまとまりが生まれると思います。
「栗をとじこめた寒天」
季節の食材を標本のようにとじこめてみたくて、栗を四角い寒天の中にとじこめました。自分にとって一番美しいと思う構図、その感覚的な気持ちを汲み取ることを大切にしています。
「オーロラクリームソーダ」
実は、生まれてからオーロラを1度も見たことがないのです。いつか見たい景色に想いを馳せて。あえて後ろから光を通すことで、ソーダがキラキラと輝いて、透明がより引き立つ仕上がりに。
Information
GENIC VOL.58 【わたしが創る おいしい世界】
Edit:Yoko Abe
GENIC VOL.58
テーマは「おいしい写真」。
口福を感じる料理やスイーツとの出会い、オリジナリティ溢れるフードの創作、こんなシーンには二度とお目にかかれないかもと思った瞬間。様々な表現者たちが繰り広げる “おいしい” の世界を召し上がれ。