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【独自の作風で素肌を表現 This is My World:7】haru wagnus

自分なりのテーマを持って「素肌」を撮影するフォトグラファーたち。どんな経緯で、どんなものに惹かれ、自らの表現に辿り着いたのか?たくさんの想いをのせて作品を創り上げる、彼らの「マイワールド」へ足を踏み入れてみて。
7人目は、空想と現実が交差したような世界へ誘う、haru wagnusさんです。

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haru wagnus

写真家、WAGNUS.CEO、プロダクトデザイナー、ミュージシャン 埼玉県出身。人物・ファッション・トラベル・アート写真を得意とし、数多くの広告撮影を行う。2020年には、Samsung GalaxyのWorld Photography Dayにて世界の7名のフォトグラファーに任命される。自身が運営するファッションブランド「4 Silent Birds」では、シーズン毎にカメラストラップを発売。HP:www.4silentbirds.com
愛用カメラ:Leica M11、Sony α7R III、Hasselblad 500C/M
愛用レンズ:Leica APO-SUMMICRON M f2/35mm ASPH、Leica Summilux 50mm f1.4 1st、Voigtlander APO-LANTHAR 50mm F2 VM

曖昧で“記憶の断片”のような美しさ

「西陽が差し込んできた部屋で、赤いチュールの中に閉じ込めた心の内側を表現するために、唇から首元をメインに、美しさと内包する感情を表現。PENTAX SPF というフィルムカメラで撮影したのですが、この写真の前に写真を一枚撮影し、少し裏蓋を開けて感光させ、そして半巻きくらいフィルムを巻き戻すことで多重露光になるように調整し、この写真の構図に重ねて撮影しました」。

「少し下から狙うことで子供視点に。普段見ない角度の肌感の美しさを探して撮影。水で濡れた首から胸元に水滴や砂がついた綺麗な肌、そして花柄チュール越しに見える隠れた表情から、見る側に想像する要素を与えています」。

記憶の中や夢の中で出会った女性の不確かな美しさを撮りたい

「被写体の所作や自然体な瞬間瞬間を、一種傍観しているような感覚で撮ることが好きです。その人の持つ手や足、身体の動きや表情、肌感から美しさを感じて、それを自分なりのアートとして描きたくて、素肌感のある写真も撮り始めました。作品として撮影するときは、あまり鮮明に描くことなく記憶の中や夢の中で出会った女性の素肌を思い出すかのような、不確かな美しさを撮りたいと思っています。そのため、素肌をメインに撮影するときは1940年代の古いレンズを使用したり、フィルム写真でレンズを開放気味にしてハイライトが滲み出るようにしたりして撮るようにしています」。
そう話すようにharuさんが撮る素肌写真は、エロスやフェティシズムを感じる作品とは一線を画している。

「テーマは“衝動の余韻”です。アートは衝動。男女間の恋愛にも似ています。衝動として押し花を背中へ張り、衝動的に写真をたくさん撮影した後に、その余韻(残響)の中で情緒ある一枚を撮影しました」。

「夏の明るさはまるで人生の一瞬のフラッシュバックのような”記憶感”があります。光をダイレクトに当てることで、影も生きてくる。現実のような非現実のような、そんな曖昧さを表現したポートレート」。

音楽から感じる音の質感、残響感、こだわりなどが常に自分の写真に影響している

インスピレーションの源とは?
「私は元々、写真よりも音楽を長年やっていて、今も仕事にもしているように常に音楽とともに生活をしています。好きなアーティストを見つけたらどっぷりと聴き込み、それがそのとき撮影した写真の作風にも影響を及ぼしていることが多々あります。最近のオススメはアメリカのバンド『Grizzly Bear』。名前とは裏腹に、美しいメロディーと情緒感、60年代ロックテイストのあるサイケデリックなサウンドが魅力です。そういう音楽から感じる音の質感、残響感、こだわりなどが常に自分の写真に影響しています」。

「商品撮影。綺麗な肌に更に美白になるというリキッドファンデーションを一筋塗り、花とその影によって商品に焦点を当てた一枚」。

「人生で初めてのヌード撮影。1940年代の古いレンズを使い、セクシャルではなく自然の中でアートにヌードを撮影することで、自己表現の解放とモデルのハイトーンな音のような心の情景を、記憶の断片のように表現した写真です」。

haru wagnus Instagram
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GENIC vol.62【独自の作風で素肌を表現 This is My World】
Edit:Yoko Tadano

GENIC vol.62

テーマは「素肌と素顔を写す」。
人の美しさを大切に写しとった「素肌」と「素顔」の世界をお届けします。「性」ではなく「生」を感じる、神秘的で美しい森に迷い込んでしまったような写真たちと、そこにある撮り手の想いに迫ります。

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