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「坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア」が東京 新宿で開催。キュレーターとして真鍋大度が参加

Photo by Neo Sora ©2022 Kab Inc.

2023年3月に逝去した音楽家・坂本龍一を追悼するとともに、坂本龍一がメディア・アート分野に残したはかりしれない影響について考える企画展が、2023年12月16日(土)~2024年3月10日(日)、東京 西新宿のICC(NTTインターコミュニケーション・センター)にて開催中。
坂本龍一との共同制作を行うなど親交のあったクリエイティブチーム ライゾマティクスの真鍋大度(まなべだいと)を共同キュレーターに迎え、坂本龍一が残した演奏データをもとにした作品や、親交の深い国内外のアーティストによる坂本龍一関連作品、これまでのICCでの展示などの記録によって構成し、あらためて未来に向けた坂本龍一像が提示されています。

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坂本龍一

1952年東京生まれ。東京藝術大学大学院修士課程修了。1978年『千のナイフ』でソロデビュー。同年「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」に参加。YMO散開後も音楽を中心に多方面で活動。映画『戦場のメリークリスマス』の音楽で英国アカデミー賞を、映画『ラストエンペラー』の音楽ではアカデミー作曲賞、グラミー賞最優秀オリジナル映画音楽アルバム賞ほかを受賞。数々の映画音楽を手がけるなど、作曲家としても世界的な評価を得ている。常に革新的なサウンドを追求し、2007年に山口情報芸術センター[YCAM]で委嘱制作された高谷史郎との《LIFE – fluid, invisible, inaudible...》を発表。以降、インスタレーションの発表を数多く行っている。2013年、YCAM10周年記念祭のアーティスティック・ディレクターを務め、展覧会「ART-ENVIRONMENT-LIFE」を開催。2014年には、札幌国際芸術祭のゲスト・ディレクターを務める。社会的な問題へも強い関心を持ち、森林保全と植林活動を行なう「more trees」、脱原発チャリティ・イヴェント「NO NUKES」、東日本大震災の被災地支援のための「こどもの音楽再生基金」、「東北ユースオーケストラ」など、さまざまな活動を行った。2021年、M WOODS/北京、2023年 M WOODS/成都で大規模なインスタレーションの展覧会が行われている。2023年3月28日死去。

坂本龍一 Instagram
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坂本龍一 WEB

メディア・テクノロジーの導入を積極的に行ってきた坂本龍一の活動から、未来に向けた坂本龍一像を提示

坂本龍一は、日本の電話事業100周年記念事業としてNTT東日本が1997年に設営し運営する、科学技術と文化芸術の融合をテーマとする文化施設ICCと、開館以前のプレ活動期間(1991年〜)から関わりがあり、展覧会の企画に連動したコンサートの開催(ローリー・アンダーソン展 2005年)や、ICC開館10周年、20周年記念企画展も坂本龍一(と高谷史郎)によるものであるように、ICCと深い関わりを持ってきました。

坂本龍一は、90年代初頭の黎明期よりインターネットに関心を持ち、インターネット・ライブを実施するなど、作品へのメディア・テクノロジーの導入を積極的に行ってきました。以降、1996年のメディア・アーティスト、岩井俊雄とのコラボレーションをはじめとして、2000年代以降は、カールステン・ニコライ、高谷史郎、真鍋大度、毛利悠子といったアーティストとのインスタレーション制作など、現代美術〜メディア・アートの分野でも多くの作品の制作を行っています。
2017年に開催した、ICC開館20周年記念企画展「坂本龍一 with 高谷史郎|設置音楽2 IS YOUR TIME」は台湾に巡回し、作品《IS YOUR TIME》は北京での坂本の個展にも出品されたほか、現在(2023年)は中国・成都で大規模個展「SOUND AND TIME(一音一時)」が行われています。

本展覧会では、メディア・アート分野においてもはかりしれない功績を残した坂本龍一の追悼とともに、ライゾマティクスの真鍋大度を共同キュレーターとして迎え、坂本龍一の残した演奏データをもとにした作品や、国内外のアーティストによる坂本龍一とのかかわりのある作品、これまでのICCでの展示などの記録によって構成し、坂本の活動を継承し、展開する、未来に向けた坂本龍一像を提示することを試みます。

キュレーターからのコメント

畠中実(ICC主任学芸員)

坂本龍一さんは、音楽とテクノロジーとのかかわりにとても意識的な音楽家だったと思います。それは、つねに同時代的であった、あろうとしていた、ということでもあり、かつ、テクノロジーを使った音楽表現の可能性の探求が、その反面で孕んでしまう問題にも意識的であったということでしょう。坂本さんが自身の音楽表現の方法として、インスタレーションという手段を用いるようになって、私たちはあらためて坂本さんの伝えたかったことをよく知ることができました。それは音楽をすることに自由になっていく坂本さんの姿を反映するものでもあったのだと思います。音楽の歴史の中に、あらたな音楽の歴史を聴きなおすように、物音の中にも音楽を聴き取るように、世界と対峙した坂本さんの芸術家としての姿は、多くのアーティストにインスピレーションを与えました。そんな坂本さんの本質のようなものが、坂本さんのアート作品の中にあったということを展覧会で表現したいと思います。

真鍋大度(ライゾマティクス)

坂本龍一氏の生涯にわたる創造的探求は、アーティストやミュージシャンにとって尽きることのないインスピレーションの源です。彼はシンセサイザー、インターネット、リアルタイムCGなど、時代の最先端技術を駆使し、実験的なプロジェクトを展開しました。これらの功績は、後世にも語り継がれることでしょう。

2019年より、私は龍一氏の演奏を特殊な撮影装置でアーカイブするプロジェクトを行っていました。システム開発とアート・ディレクションを担当し、この過程で彼との対話を重ねました。特に印象深かったのは、龍一氏が単にアーカイブされた内容に留まらず、それらのデータを基にしたAIの開発に関心を持っていたことです。自身の創作データを用いて新たな試みに挑む好奇心の旺盛さは、彼の創造力が絶えず新たな境地を求め、進化し続けていることの明確な証拠と言えます。

この展覧会では、遺された価値あるデータを活用し、彼の芸術的志向を未来へと受け継ぐ作品を創出することで、敬愛する「坂本龍一」へのトリビュートを表現します。

出品作家

坂本龍一
Strangeloop Studios
高谷史郎
ダムタイプ
カールステン・ニコライ
404.zero
カイル・マクドナルド
真鍋大度
毛利悠子
ライゾマティクス
李禹煥
ほか

出品予定作品

真鍋大度キュレーション

坂本龍一が楽曲を演奏した際のMIDIデータや音声データを活用して、新たな作品を独自の視点で再構築する、真鍋大度キュレーションによる展示です。 参加アーティストたちには、坂本龍一の貴重な演奏データが提供され、リミックス、リモデル、リコンストラクションなど、多様な解釈と手法を駆使して創造されたオーディオ・ビジュアルの作品群を紹介します。

坂本龍一+真鍋大度《センシング・ストリームズ-不可視、不可聴》(成都バージョン)2014/23年

坂本龍一+真鍋大度《センシング・ストリームズ-不可視、不可聴》2014年
「札幌国際芸術祭2014」展示風景
撮影:木奥恵三
提供:札幌国際芸術祭実行委員会

札幌国際芸術祭2014において、札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)およびモエレ沼公園ガラスのピラミッドに設置された、人々を包囲する通常では意識されることのない情報環境を可視化・可聴化するインタラクティブなインスタレーション作品です。アンテナによって収集された電磁波を、コントローラーで周波数を変更させながら、さまざまに刻々と変化するビジュアルとサウンドによって体験します。

真鍋大度+ライゾマティクス+カイル・マクドナルド《Generative MV》2023年

2020年にライゾマティクスが演出を手がけた、坂本龍一のオンライン・ピアノコンサート「Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 12122020」で演奏された楽曲のMVを、新たに開発されたAIを活用した映像制作手法によって制作します。
このオンライン・ピアノコンサートで、坂本龍一は周囲をグリーンバックに囲われた環境で演奏を行い、そこで収録されたアーカイブ映像を素材に、観客が入力したテキストを元にしてAIが画像を生成し、背景に合成します。

高谷史郎《Piano 20110311》2018/23年

《IS YOUR TIME》で使用されたピアノ(2018年撮影)
撮影:高谷史郎

「設置音楽2|IS YOUR TIME」展(2017年)で、新たな装置として転生した、東日本大震災の津波で被災した宮城県名取市の高校のピアノを、スキャンするように対象物を写し取る方法で撮影した作品です。
このピアノに出会い、近代を象徴する楽器を自然が物に返したと感じた坂本は、このピアノが奏でる物音の中に音楽を聴き取ることから音楽の再生を試み、高谷史郎とともに、より大きな世界を感覚する作品を作りました。

Dumb Type + Ryuichi Sakamoto《Playback 2022》2022/23年

Dumb Type + Ryuichi Sakamoto《Playback 2022》2022/23年

ダムタイプによるアナログ・レコードを使ったサウンド・インスタレーション作品《Playback》は、1989年に発表された同名作品をベースに、2018年にリモデル版として制作されました。その後2022年にミュンヘンのハウス・デア・クンストで開催されたダムタイプ展で展示された《Playback》では、坂本龍一ディレクションによる世界各地のフィールド・レコーディング音源により構成されました。このレコーディング音源は、べネチア・ビエンナーレのために制作されたダムタイプの新作《2022》にも組み入れられています。
本展では、これら16枚のレコードに坂本自身の未発表音源「Tokyo 2021」が収録された全17枚組の『Ryuichi Sakamoto | Art Box Project 2023: Dumb Type + Ryuichi Sakamoto, Playback 2022』(世界限定100セット)を展示します。会場では「Tokyo 2021」を聴くことができます。

毛利悠子《そよぎ またはエコー》2017年

毛利悠子《そよぎ またはエコー》2017年(部分)
「札幌国際芸術祭2017」展示風景
写真:佐々木育弥

《そよぎ またはエコー》は、北海道の旅からインスピレーションを得て「札幌国際芸術祭2017」で制作・発表された作品です。会場となった札幌市立大学内の空中歩廊「スカイウェイ」(設計:清家清)のダイナミックな空間を活かし、鑑賞者が会場の端から端まで移動しながら、配置されたさまざまなモノから発される電磁波、光、音やそのエコーの変化を感じとることができるようになっていました。
ヴァルター・ベンヤミンの「歴史の概念について(歴史哲学テーゼ)」からタイトルが採られた本作品のために、坂本龍一は曲を提供しました。本展では、その曲が流れていた自動演奏ピアノの部分を中心に再構成したバージョンを展示します。

李禹煥《遥かなるサウンド》2022年

李禹煥《遥かなるサウンド》2022年
クレヨン、紙
30.4×40.3cm

《遥かなるサウンド》は、坂本龍一の生前最後のオリジナル・アルバムとなった『12』のジャケットのために描き下ろされたドローイングです。ジャケットでは、李のアイデアにより、ドローイング部分のみを13度の角度に傾けて完成されています。

上映プログラム

ICC館内のシアターにて、坂本龍一が出演したパフォーマンスやコンサートの記録映像を上映。

野村萬斎+坂本龍一+高谷史郎《LIFE - WELL》2013年

野村萬斎+坂本龍一+高谷史郎《LIFE - WELL》2013年
撮影:田邊アツシ
写真提供:山口情報芸術センター[YCAM]

出演:梅若紀彰、野村萬斎、大倉源次郎、一噌隆之、亀井広忠、小寺真佐人、坂本龍一ほか
演出・構成:野村萬斎、坂本龍一、高谷史郎
映像:高谷史郎
上映協力:山口情報芸術センター [YCAM]

「After the Echo」2017年

毛利悠子《そよぎ またはエコー》2017年(部分)
「札幌国際芸術祭2017」特別イベント「After the Echo」での演奏風景
写真:佐々木育弥

出演:カミーユ・ノーメント、坂本龍一
インスタレーション:毛利悠子《そよぎ またはエコー》
企画:毛利悠子
監督:フェリペ・マルティネス
*「札幌国際芸術祭2017」関連イベント

「坂本龍一 with 高谷史郎|設置音楽2」展 IS YOUR TIME コンサート 2017年

「IS YOUR TIME コンサート」
撮影:山口真由子

出演:坂本龍一

※このほかの上映プログラムおよび上映スケジュールの最新情報は、ICCのWEBサイトで告知予定。

「坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア」情報

開催日時

2023年12月16日(土)~2024年3月10日(日)11:00〜18:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜、年末年始(12月28日〜1月4日)、ビル保守点検日(2月11日)
※月曜祝日もしくは振替休日の場合、翌日

入場料

大人 800円
大学生 600円
65歳以上、高校生以下、ICC年間パスポートを持っている人は無料

会場

NTTインターコミュニケーション・センター(ICC) ギャラリーA
〒163-1404 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階

ICC X
ICC WEB
Google Map

行き方・アクセス

<電車>京王新線 初台駅東口から徒歩で約2分

  • 【お問い合わせ先】
  • NTTインターコミュニケーション・センター
  • フリーダイヤル 0120-144199 (11:00~18:00)
  • www.ntticc.or.jp
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