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石川卓磨の個展「悲劇と色彩」が東京 目白で開催。 “写真“というメディアの持つ特性を再考する。

石川卓磨 悲劇と色彩 2023 インクジェットプリント 各50.8×33.8cm(2点組)

美術家 石川卓磨の個展「悲劇と色彩」が東京 目白のTALION GALLERY(タリオンギャラリー)にて2024年3月2日(土)~3月24日(日)に開催。
コロナ禍での行動や意識の変容から、あらためて生活と制作の関係を見直し“写真“というメディアについて再考します。

  • 開催期間:2024.3.2 ~ 2024.3.24

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石川卓磨

1979年千葉県生まれ 武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵コース卒業
主な個展に、「世界と孤独vol.2 石川卓磨」(2012年、東京)、「教えと伝わり」(2016年、東京)、高橋耕平企画:ALLNIGHT HAPS 2017 後期「接触の運用」(2017年、京都)、「小説の中の私」(2019年、東京)など。

石川卓磨 X
石川卓磨 WEB

社会的なナラティブと結びつく作品シリーズ

「それを故郷とせよ」TALION GALLERY(東京)での展示風景 2022 撮影: 木奥恵三

これまで、写真や映像における事実と虚構、記録と表現の狭間にある、メディアそのものが孕む批評性を捉えながら制作し、作品化してきた石川卓馬。映画や古典絵画の成り立ちを想起させる写真や、近年はとくに連続写真を映像の一コマのフレームとして繋いだ映像作品などを発表、新型コロナウィルスのパンデミックが発生した2020年以降、その制作を写真作品へと回帰させています。コロナ禍での行動や意識の変容によって、あらためて生活と制作の関係を見直したといい、「写真」というメディアの持つ、持続的な時間や思考を断片化する覚書のような特性が、どのような作用を自身にもたらすのか、あるいは美術においてどのように有効となるかを再考しています。
本展は「悲劇と色彩」と題され、個人的な生活圏にある被写体を用いたイメージを扱いながら、その視覚作用や寓意の組み立てによって、社会的なナラティブと結びつく新たな作品シリーズを主軸に構成されてます。

石川卓磨 悲劇と色彩 2023 インクジェットプリント 各50.8×33.8cm(2点組)

石川卓磨 埋められたものは抜き取られる 2022 インクジェットプリント 25.4×20.3cm

「イメージとは本質的に非現実的である。この点にこそイメージの力はある。つまり、内容に実体を与えることに対する抵抗においてである。受肉とは肉を与えることであって、身体を与えることではない。受肉において物は不在なのだ。」— マリ=ジョゼ・モンザン


悲劇はそれぞれに固有の色彩を持っている。それらは、暗いモノクロームとは限らない。苛烈さが悲劇に彩度を与えることがあり、甘ったるいキャンディーカラーの中に冷たい悲劇が存在することもある。モノクロームに感じる方が稀かもしれない。どんなに美しい風景の中にも悲劇が存在するように、また、悲劇には人間の実存が含まれているように、それぞれに個別の色彩を持っている。


新型コロナウイルスのパンデミックによって、世界はひっくり返ったように麻痺し、多くの人が毎日亡くなり、行動や外出を制限され、暗く閉ざされていた。あの時期に、もうこれ以上深刻になることは耐えられない、と思った瞬間がある。だから色彩は必要だった。悲劇に色彩を与えることは、世界の深刻さを感受することであり、同時にその世界から逃避することでもある。
そしてもう一度、写真作品の制作に戻ろうと思った。芸術としての写真は、すでに見放されたように取り残された場所にある。そのことは、呼吸するように制作できる条件になっていた。


世界はゴシップから深刻なニュースまで、悲劇で溢れかえっている。新たな戦争や災害、差別から引き起こされる事件などが毎日SNSのタイムラインに流れてくる。ぼくの写真は世界のニュースを伝えてはいないし、何らかの行動を促してもいない。制作者としての自分は、何かの当事者になることはないし、どこかに赴くこともない。それは被害者ではなく、特権であることだ。ただ、世界中のニュースや、それと切り離すことのできないアテンション・エコノミーは、制作に明らかな影響を与えている。だから、心の中にさまざまなニュースが飛び込んでくる日常の中で、写真制作を媒介として感じる自分の受動性を観察することにした。


悲劇と色彩の問題は、バーネット・ニューマンやマーク・ロスコなどの抽象表現主義の画家たちが主題とした。特にロスコと色彩について想像する。けれどもぼくの作品は、彼らのような崇高や英雄的な身振りとは程遠い。ぼくの受動性は、多動的で軽くて小さい。

石川卓磨

石川卓磨「教えと伝わり」ALION GALLERY(東京)での展示風景 2016 撮影:椎木静寧

石川卓磨 国境を越える 2015 映像 6min

石川卓磨 個展「悲劇と色彩」情報

開催日時

2024年3月2日(土)〜3月24日(日)11:00 〜 19:00
休廊日:月曜、火曜、祝日

入場料

無料

会場

TALION GALLERY(タリオンギャラリー)
〒171-0031 東京都豊島区目白2-2-1 B1

TALION GALLERY Instagram
TALION GALLERY X
TALION GALLERY WEB
Google Map

行き方・アクセス

<電車>
JR山手線「目白駅」から徒歩で6分
東京メトロ副都心線「雑司ヶ谷駅」から徒歩で2分

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