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プロフィール
AUXOUT
フォトグラファー / ビデオグラファー アメリカの大学で音楽を学び、帰国後レコーディングエンジニアに。その後、国内外ブランドの広告クリエイティブに携わり、現在は映像クリエイターとして活動中。
この価格でこのスペック。ZRに“新しい動画時代”の幕開けを感じた
正直、そろそろNikonからより動画に特化したカメラが出るだろうと予想はしていました。しかし、実際に発表内容を見たときは、その期待をはるかに超える仕様に「そうきたかぁ」と思わず声が出るほど驚きました。まさに、Nikonの“新しい動画時代”の幕開けを感じましたね。
そして、発表直後に即予約。このスペックのシネマカメラが30万円を切る価格で手に入るというのは衝撃的で、購入を迷う理由がありませんでした。プロユースにも十分対応できる性能をこの価格帯で実現したこと自体、業界的にも大きな意味を持つと思います。
4インチバリアングル式画像モニターが叶える撮影の自由度
ZRを手にして、まず衝撃を受けたのは、4インチという大型の画像モニターでした。ミラーレスカメラの画像モニターといえば3インチが当たり前、という固定概念があったので、初見のインパクトが非常に大きかったです。撮影時の視認性が格段に向上し、外部モニターなしでも安心して構図やフォーカスを確認できるのは、現場での即応性にも直結するポイントです。それに、最近少し老眼気味なので(笑)、大画面は本当に助かります。
僕は「日常を作品として撮る」ことをテーマの一つにしているので、カメラには常に持ち歩ける軽快さを求めています。ただ、作品としてのクオリティーも妥協したくない。ZRは、その両立を可能にしてくれました。
これまでにない自由度を得られる、R3D NE内部収録
ZRは、R3D NEの内部収録に対応していることも、大きな魅力です。R3D NEは、アメリカのシネマカメラメーカーであるRED社のカラーサイエンスを実現するために、Nikonのカメラ向けに設計されたRAWフォーマット。撮影後に色や明るさを調整しても映像が崩れにくく、ハイキー(明るめ)やローキー(暗め)に振っても、映画のような自然なトーンを保てます。REDらしい色再現性とNikon独自の質感描写のバランスが非常に良く、これまでにない自由度を感じました。実際に日常のワンシーンをR3D NEで撮影してみたところ、光の柔らかさや階調の深さに思わず息を呑みました。
グレーディングを不要にするRED監修イメージングレシピ
Nikonのクラウドサービス「Nikon Imaging Cloud」には、RED監修のイメージングレシピが9種類用意されています。その中でも、個人的に一番気に入っているのが「CineBiasOffset」。ハイライトが非常に柔らかく、シャドウの質感も豊かで、全体的に落ち着いたムードを作り出してくれます。まさに自分が理想とする“ムーディーなトーン”で、正直「これでもうグレーディングいらないんじゃないか」と思うほどで、完成度がとても高いレシピだと感じています。
ZRがあれば次のステージへチャレンジできる
ZRは、「シネマティック」ではなく「本物のシネマクオリティー」を目指せるカメラです。
R3D NEを扱えることで、撮影後の自由度が飛躍的に上がり、作品の完成度を突き詰めることができます。これまで感覚的にしか表現できなかった“空気感”や“光のニュアンス”を、技術的に再現できるツールだと感じています。ZRがあれば次のステージへチャレンジできるーーそう思わせてくれる1台です。これからZRで、陰影の美しいポートレートや家族の記録映像を、より印象的に残していきたいと思っています。
ZRは、動画をメインに撮るすべての方におすすめできます。シネマクオリティーを追わなくても、ミラーレスカメラと比べて撮影のしやすさや表現の幅の広さは圧倒的。VlogやYouTubeのコンテンツ制作でも確実にクオリティーアップが狙えます。
撮影のポイントは、RAWまたはLogで撮影して広いダイナミックレンジを確保すること。光と影のコントラストを意識し、人物の顔に自然な陰影ができるアングルを探して撮ることで、よりドラマチックでムードのある映像に仕上がります。ぜひ一度試してください。
AUXOUTさんによるZRレビュー動画
Nikon ZRは何が最高なのか? 誰が手にすべきか? 注意点は?1ヶ月使ってみた感想
AUXOUTさんの心を鷲掴みにしたシネマカメラ「ZR」
Nikonの新しいRAW動画形式「R3D NE」を撮影できる、フルサイズセンサー搭載のシネマカメラ。映画のような映像表現を可能にする、階調の豊かさが特徴。約630g※という軽量設計でありながら、高解像度の映像でのモニタリング、高機能な録音、RAW動画の内部収録など、多彩な機能を1台でこなせるのも魅力。
※バッテリーおよびメモリーカードを含む、ボディーキャップ、デジタルアクセサリーシューカバーを除く。