八木香保里が中判のフィルムカメラで撮影した10年を振り返ることができる写真展
カメラを腰の高さに持ち、正方形のファインダーを上から覗く。中判のフィルムカメラを初めて手にした年、生家へ帰るとバケツに庭の花があるのを見つけ写真を撮りました。
体をこわしているときも心が追い込まれているときも、母の育てる花を見ると、行き過ぎた道を戻り、戻りすぎた道を行き、安堵し、凡庸な自分になっていくことが分かりました。
いつしか花へも花でないものへもレンズを向けるようになり、その度「忘れないように」と写真に残していきました。
初めての撮影から十年、その年月を作品とともに振り返ります。
写真を撮りはじめてから今までで一番展示をして観ていただいているのが実家の庭を撮影したもの、特に庭の花のバケツの写真やその後を気にかけてくださる方がいらっしゃいます。
年に一、二度帰る時にそれがあれば撮りますが、バケツの花自体が無い年もあるので枚数自体は多くありません。「この光景に出逢った今、撮っておかなければ」と強く心を動かされるのは、次にいつこのような光景に出逢えるのか分からないからという気持ちがあるからなのでは、と考えています。
「写真」という見える形にして残しておきたい。とても単純な想いから端を発し、中判のフィルムカメラで撮影を続けた十年。この年月を写真展で振り返ります。
八木家の庭へ遊びに行くような、おしゃべりしに行くような、そんな気持ちで気軽に足を運んでいただけたら嬉しいです。
八木香保里
八木香保里 写真展「家の光」情報
開催日時
2023年4月15日(土)~ 4月23日(日)
11:00 ~18:00(最終日は16時閉場)
会期中無休
会場
Nadar(ナダール) 京都大山崎
〒618-0071 京都府乙訓郡大山崎町大山崎鏡田45-28
行き方・アクセス
<電車>JR西日本「山崎駅」より徒歩で約14分
阪急電鉄京都本線「大山崎駅」より徒歩で約12分
トークショー
写真展「家の光」の会期中に、トークショーを開催。
八木香保里が展示作品のことを語る、貴重で贅沢な時間を楽しんでください。
開催日時
2023年4月22日(土)16:00~18:00
※予約不要
※トークショー後は懇親会を予定
参加費
無料
八木香保里 プロフィール
1974年 京都府京都市生まれ。生活の場に出合う身近な景色や人物、動植物などに被写体を絞り撮影。主に自身の生活圏内で撮影することから、実際に生活している東京都品川区や実家のある京都市内を写した作品を多く制作している。
写真の見えるかたちを考える「四月と三月」(2016年より近一志氏と共作)、横浜御苗場 2019 レビュアー賞(ジム・キャスパー選)、The Editors' Photo Award ZOOMS JAPAN ファイナリスト(2017年・2020年)、KPAキョウトフォトアワード・アワード部門 優秀賞(鈴木崇・選)など。