石山アンジュ
社会活動家/1989年生まれ、神奈川県出身。実家がシェアハウスを経営し、10代の頃から多拠点生活を経験。シェアリングエコノミーの普及に従事し、政府委員も多数務める。著書「シェアライフ-新しい社会の新しい生き方」(出版社:クロスメディア・パブリッシング)が発売中。
愛用カメラ:Sony α7
古民家と大都会の対極生活
シェアライフを経てたどり着いたデュアルライフ
シェアリングエコノミー活動家である石山さんは、大分県豊後大野市と東京でデュアルライフを送っている。
「いわゆる限界集落と言われている農村の古民家と、渋谷のシェアハウスという、かなり極端な2拠点を行き来しています。横浜出身で親戚もすべて首都圏なので、“僕の夏休み”的な田舎暮らしに憧れがありました。大自然と人間中心世界の対極を行き来することで、生態系の尊さや都市の便利さなど、いい意味でも悪い意味でも“気づき”があります」。
2つの世界を生きつつ、それらが交差する瞬間を楽しんでいる
「2つの世界を生きつつ、それらが交差する瞬間を楽しんでいる感覚です。変化の多い今の時代では、1つのものに依存するのではなく、複数の居場所やコミュニティを持つことが豊かさだと思っているので、デュアルライフという選択をしています。旅をしながら世界中に知り合いが増えていくように、暮らす土地で出会って、一緒にごはんを食べて、友達になって、家族のように心を寄せてくれる人とのつながりが増えていくことに醍醐味を感じています」。
Q.大分に住む決め手は?
A.人と地域を好きになった
「渋谷のシェアハウスで出会ったパートナーが、そもそも大分と渋谷の2拠点生活をしていたことがきっかけ。それで行ってみたら、ど田舎の森の中に人間がちょっとだけ住んでる感じ。朝起きたら家の前にトマトが置いてあるような集落のあたたかいつながりはもちろん、Uターンでスモールビジネスをしている若い世代もけっこういて、刺激ももらえます」。
Q.どんな家に住んでますか?
A.家賃2万円の古民家
「15年くらい空き家だった築90年の古民家で、畑3つと倉と離れの部屋がついて家賃2万円。とはいえ瓦屋根の改修に100万円、ぼっとん便所に浄化槽を設置するのに60万円、など維持費や改築費が大変! 空き家だった古民家だからこそ、コストが高い部分もあります」。
Q.デュアルライフの問題点は?
A.制度を整えることが必要
「シェアエコノミーの広がりとリモートワークの浸透で、多くの人がデュアルライフを選択できる風潮になっています。これからの課題は、子育て世代にとってはデュアルスクールの制度化が必要。また、選挙や住民税の問題もあります。私は行政に関わる仕事もさせていただいているので、そういった制度化も検討していきたいです」。
Q.今後の予定は?
A.2拠点生活の受け入れ側になる
「都会の人が2拠点生活をする際の受け入れ側になったり、リモートワークできる場所にある古民家を改修したりする予定です。デュアルライフを送る際、もともとの拠点での仕事をリモートワークする選択肢ももちろんあるけど、地域のコミュニティに入るためには、そこで何かビジネスをすることも重要だと思います」。
GENIC VOL.57 【旅するように暮らすデュアルライフ&移住ライフ】
Edit:Satoko Takeda
GENIC VOL.57
テーマは「100人の旅という表現」。
表現者たちのオンリーワンな旅スタイルや、撮欲も満たすひとり旅、旅するように暮らす多拠点生活など、様々な旅する人とその想いに迫ります。