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和田誠の映画との深い結びつきに光を当てる展覧会「和田誠 映画の仕事」が国立アーカイブで開催

和田誠 映画の仕事

常に“映画ファン”を自称し、本業のみならず4本の長編映画を監督するに至った、日本を代表するグラフィックデザイナーでイラストレーターの和田誠。膨大な仕事の中から初めて映画だけにテーマを絞った展覧会「和田誠 映画の仕事」が、日本で唯一の国立映画専門機関である国立映画アーカイブで、2023年12月12日(火)~2024年3月24日(日)に開催されます。映画監督・和田誠についてのゲストを招いたトークショーも実施。和田誠の限りない映画愛を感じ取れる絶好の機会です。

  • 開催期間:2023.12.12 ~ 2024.3.24

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和田誠 プロフィール

1936年生まれ。グラフィックデザイナー、イラストレーター。
59年多摩美術大学卒業、ライトパブリシティに入社。68年からフリー。77年より「週刊文春」の表紙を担当して現在に至る。74年、講談社出版文化賞ブックデザイン部門受賞。84年、映画「麻雀放浪記」を初監督。現在まで4本の監督作品がある。89年ブルーリボン賞、94年菊池寛賞、97年毎日デザイン賞、15年日本漫画家協会賞特別賞ほか、受賞多数。出版した書籍は200冊を超える。

和田誠 Instagram
和田誠 WEB

和田誠にとって、映画は人生の友であり創造の泉

膨大な業績の中から映画だけにテーマを絞った初の展示

約60年の多岐にわたる仕事のうち、映画にテーマを絞り、映画を「知った・描いた・語った・集めた・撮った」という5つの切り口によって振り返る初の展示です。

手がけた映画ポスターや装丁した映画書が勢ぞろい

若き日の「日活名画座」ポスターから劇場公開用・映画祭などのポスターまで、そして俳優・監督などのイラストレーションを生かしつつ、装丁を手がけた映画書の数々が楽しめます。

《監督・和田誠》に再注目!

『麻雀放浪記』『快盗ルビイ』『怖がる人々』『真夜中まで』の4つの優れた長篇娯楽作品を放ち、異業種監督でありながらスタッフにも慕われたという映画監督としての和田誠に改めて注目します。

映画フィルムやポスターのコレクションを公開

アメリカ映画を愛した和田誠の情熱は、映画フィルムやポスターのコレクションにも向かいました。国立映画アーカイブが受領することになったコレクションの一端も公開されます。

監督作の映画音楽やお気に入りの映画の曲が聴ける

4つの監督作品で使われた音楽・主題歌のほか、和田誠が生涯愛したアメリカ映画の名曲の数々を聴ける音楽展示コーナーも。

展覧会の構成

1. 映画を知った~映画館通いに励んだ少年時代とポスター作りへの志

和田誠作「国立近代美術館『アメリカ映画史講座 チャップリンの歩み』」ポスター (1959年) 国立映画アーカイブ所蔵

中学時代にアメリカ映画に夢中になった和田誠は、高校生になるとヨーロッパ映画や日本映画への関心も深め、それと同時に、国立近代美術館で催された「世界のポスター」展(1953年)を訪れた経験から「ポスターを作る人になりたい」という望みを育みます。そして多摩美術大学に在学中、映画『夜のマルグリット』の手描きポスターで当時若手デザイナーの登竜門だった日宣美賞の受賞を果たしました。

2. 映画を描いた~映画ポスターへの挑戦、そして華麗な映画人イラストレーション

和田誠画『巴里のアメリカ人』(2011年) 画像提供:和田誠事務所

大学卒業後、広告制作会社ライトパブリシティに入社した和田誠はデザイナーとして活躍を始めますが、その傍ら、東京新宿の「日活名画座」のためにポスターを無償で制作するようになります。以降半世紀以上にわたり、映画ポスター、映画書の装丁・挿画などを手がけ、国内外の俳優・監督・映画スタッフから評論家に至るまで、映画人の似顔絵を数えきれないほど手がけることになりました。

3. 映画を語った~「お楽しみはこれからだ」――終わらない映画談義と映画書の数々

和田誠著『お楽しみはこれからだ (Part 1)』(1975年) 国立映画アーカイブ所蔵

映画のさまざまなシーンについて抜群の記憶力を持っていた和田誠は、1973年から「キネマ旬報」で連載「お楽しみはこれからだ」を開始し、軽妙なタッチで映画の名セリフやシーンの魅力を語り尽くしました。その後も映画にまつわる数々の著作を残しましたが、さらに山田宏一や三谷幸喜などとの対談本でも終わらない映画談義に花を咲かせ、読者を大いに楽しませました。

4. 映画を集めた~仕事場は映画館だった――和田誠の映画&ポスターコレクション

和田誠旧蔵『キス・ミー・ケイト』(1953年、ジョージ・シドニー監督) アメリカ版ポスター 国立映画アーカイブ所蔵

和田誠事務所フィルム収蔵庫 撮影:吉田宏子

映画をめぐるさまざまな活動の中で、比較的知られてこなかったのが映画フィルムやポスターなどの収集。収集したフィルムは300本以上に及び、またアメリカ映画のオリジナル版ポスターのコレクションも長年続け、ときには自身の監督作品のセットを飾りました。さらに映画関連の洋書やスチル写真など、イラストレーション制作の参考となる資料も豊富に所有していました。

5. 映画を撮った~アニメーションへの情熱、そして劇映画監督としての道のり

『麻雀放浪記』(1984年、和田誠監督) 絵コンテ[複製] 個人蔵 (澤井信一郎氏旧蔵)

アニメーション『MURDER!』(1964年)で評価されていた和田誠は、プロデューサー角川春樹との出会いを通じて、初めての劇場用長篇映画『麻雀放浪記』(1984年)を作ることになります。同作品はその堂々たる完成度で多くの賞を受賞しましたが、その後も『快盗ルビイ』(1988年)、『怖がる人々』(1994年)、『真夜中まで』(2001年公開)と多彩な長篇作品を残しています。

展覧会「和田誠 映画の仕事」(Makoto Wada: Works on Film)情報

開催日時

2023年12月12日(火)~2024年3月24日(日) 11:00~18:30(入室は18時まで)
※1月26日(金)、2月23日(金)は20:00まで延長(入室は19:30まで)

入場料

大人 250円
大学生 130円
65歳以上、高校生以下および18歳未満、障害者手帳をお持ちの方(付添者は原則1名まで)、国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズ 無料
※常設の「日本映画の歴史」の入場料を含む

会場

国立映画アーカイブ 展示室(7階)
〒104-0031 東京都中央区京橋 3-7-6

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行き方・アクセス

<電車>
東京メトロ銀座線「京橋駅」出口1から徒歩で1分
都営地下鉄浅草線「宝町駅」出口A4から徒歩で1分
東京メトロ有楽町線「銀座一丁目駅」出口7から徒歩で5分
JR山手線、京浜東北線他「東京駅」八重洲南口から徒歩で10分

トークイベント――《監督・和田誠》を忘れない!

展覧会「和田誠 映画の仕事」会期中、ゲストをお招きしてトークイベントを開催。申込不要、参加無料なので、ぜひご参加ください。
※展示室内で開催のトークは、観覧券が必要です。

監督・和田誠の素顔

日時:2024年1月20日(土)
場所:展示室ロビー(7階) 
講師:関口裕子(「キネマ旬報」元編集長)

和田誠作品の映画美術

日時:2024年2月10日(土)
場所:展示室ロビー(7階)
講師:小澤秀高(『麻雀放浪記』美術助手、『怖がる人々』美術監督)

企画の見どころと展示品解説

日時:2024年3月16日(土)
場所:展示室内(7階)
講師:岡田秀則(国立映画アーカイブ主任研究員)

関連上映企画

上映企画「NFAJコレクション 2024 冬」において、展覧会に関連した作品が上映されます。

企画名:NFAJコレクション 2024 冬
会期:2024年1月19日(金)~2月4日(日)
※金・土・日曜のみ
会場:国立映画アーカイブ 小ホール(地下1階)

和田誠監督作『麻雀放浪記』(1984年)、『快盗ルビイ』(1988年)、『怪盗ジゴマ 音楽篇』(1988年)、参加作『恋の大冒険』(1970年、羽仁進監督)などの上映が予定されています。

  • 【お問い合わせ先】
  • 国立映画アーカイブ
  • 050-5541-8600(ハローダイヤル)

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