葵 / Age 18
葵 埼玉県出身・在住の若手写真家。高校1年の冬からカメラを始め、学校での日常を撮ったフィルム写真が話題に。昨年は友人と初の写真展を開き、米原康正氏キュレーションのグループ展にも参加。写真メディアのクリエイターやイベントカメラマンとしても活動中。
愛用カメラ:OLYMPUS PEN EE-3
❝今の自分にしか撮れない未完成の青。❞
自分にしか撮れない写真とは?
「不安定で、でも時にきらきらと輝いて見える、未完成な写真。今の自分の価値観や考えは、周りに左右されたり、自分と向き合うたびに変化して、とても不安定です。でも、大人になるにつれてきっとそれらは固定されて、自分が定着していくのだと思う。その時に見えている世界と、未完成な今の自分が見えている世界は違うはずだから」
❝忘れてしまうような些細なものに心が動いた瞬間を大事に残したい❞
高校1年生のときに、Twitterのタイムラインでフィルム写真を目にし、その翌日に見た目が気に入ったNikon FEをメルカリで即購入したという葵さん。「勢いで手にしたものの、フィルムはおろかデジタルカメラの知識もなかったので、学校の近くのキタムラに持っていって、おじさんに一から教えてもらいました」
その女子高生らしい瞬発力と感性で、Twitterから一気にブレイク。そんな葵さんの写真は、その名にふさわしく、そして青春を切り取ったものらしく、文字通り青の色彩が際立っている。「高校で水泳部に所属していたので、プールへの思い入れが強く、青の世界観がとっても好きなんです。この青の世界観にかかせない水は、ゆらゆらしていて不安定で、外から刺激を受けると一瞬でさまざまな形へと変化を遂げ、時に危うく、時にきらきらと輝いて見えます。それがまるで今の私たちの心を表しているようで、なんだか惹かれるんです」
被写体は、目の前で笑っている友達の姿だったり、放課後の廊下に差し込む夕日だったり、みんなで盛り上がる体育祭のワンシーンだったりと、日常生活で出合う本当に些細なものたち。「些細なものだからこそ忘れてしまうので、それらに心が動いた瞬間を大事に写真に残したいと思っています。写真は自分と向き合う方法のひとつ。どんな時にどんな物や事に対してどんな感情を抱いたのか、コロコロと日々変化していく感情をそのたびに残したい。そして写真は、過去と今と未来の自分を繋いでくれるものでもあります。今の自分が見ている世界を未来の自分に伝えたい。この先もずっと写真家として活動していきたいと思っています」
カメラを通して何を捉えたいと思っていますか?
「"忘れたくない""大事にとっておきたい"と思った空間や瞬間を捉えたいので、思うままに、その場その瞬間の自分の感情をフィルムに閉じ込めるような気持ちでシャッターを押しています」
GENIC VOL.54 【若き表現者が撮る世界】
GENIC VOL.54
「My Identity with Camera.写真を通して伝えたいこと」を大特集。
国内外の表現者やクリエーターたちが、レンズを通して切り取りたい世界、写真という表現を使って伝えたいこと、にたっぷり迫りました。