ソール・ライター プロフィール
1923年、米ペンシルベニア州ピッツバーグに、代々ユダヤ教の宗教的指導者であるラビの一族に生まれる。著名な学者でもあった父のもと、ソールは後継者として嘱望され勉学に勤しむが、アートへ想いが募り、父から勘当されニューヨークへ。絵画でアーティストを志しながら、生計のために商業写真を始め、50年代後半から20年にわたりファッション雑誌で活躍。ファッション写真でも異彩を放ちつつも、やがて忘れられた存在となっていた。2006年、プライベートで身近なマンハッタンの景色を撮った『Early Color』がシュタイデル社から刊行されるや一躍世界中に知られるようになる。再評価が高まるなか2013年ニューヨークで死去。
現在は、ソールの生前からの友人でギャラリストのマーギット・アーブがソール・ライター財団を創設しソールが遺した膨大な写真や資料のアーカイブを推進し、展覧会や出版を通じてソールを後世に伝える活動を展開している。
生誕100年を記念して刊行された作品集。代表作から未発表作品まで約350点収録
ソール・ライターが2013年に亡くなってから10年。アトリエに無造作に遺されていた膨大な数の写真や遺品の整理がソール・ライター財団により進められ、近年次々とソールの人間像に迫る貴重資料が発見されています。
ソール・ライターは、ファッション写真で活躍していた1970年代以降、忘れられた存在に。2006年『Early Color』がシュタイデル社から刊行されると、何気ない日常を特別な景色へと変えたその表現が見る者の心を捕らえ、一躍世界に知られるようになりました。しかしながら、ソールの人生は本人が多くを語らなかったこともあり、秘密のベールに包まれたままでした。
「あなたには、見えているものもあれば、見過ごしているものもあるのだ」
誰の目の前にもある景色を、永遠の美にかえた奇跡の軌跡。
第1章「Beginnings」では、ソールの人間像に迫るべく、発見された資料を駆使し、代々続くユダヤ教の指導者という家系に生まれながら、運命に逆らい勘当され、ニューヨークでアーティストを目指したソールが写真と出会うまでの半生を、家族のアルバム写真、初期作品、学生証などの遺品とともに綴られています。
第2章「On the Street」、第3章「Fashion」では、ソールの筆跡が残るコンタクトシート、代表作のアザーカット、ファッション誌で採用されなかったボツカットなど、ふつう目にすることができない関連資料により、ソールの思索の軌跡を追体験できます。
第4章「Paintings」は、写真家となってからも生涯絵を描くことを続けていたソールの絵画作品を通じて、ソールにとっての表現の意味を検証。
第5章「Intimate Views」では、没後にアトリエの隅から発見された1000枚に及ぶ「親密なヌード」の紙焼きを通じて、生前ヌード写真集が刊行されなかった理由、ソールが生涯逃れられなかった父との関係、アイデンティティとの葛藤を考えます。
作品集集『ソール・ライター Saul Leiter The Centennial Retrospective』情報
初版分は予約が殺到し、3月完成予定の重版となった特別な作品集です。手に入れたい方は、お早めに青幻舎の公式サイトをご確認ください。
ソール・ライター Saul Leiter The Centennial Retrospective
著者:ソール・ライター、マーギット・アーブ
マイケル・パリーロ
翻訳:清水玲奈
製本:上製
判型:大型本(310×260mm)
総頁:352頁
定価:9,680円(税込)
ISBN:978-4-86152-921-4 C 0072
[目次]
はじめに
─ マイケル・パリーロ(ソール・ライター財団ディレクター)
I. Beginnings
ソール・ライターの知られざる世界
─ アダム・ハリソン・レヴィ(作家・インタビュアー)
II. On the Street
閉じられた世界 奇才ソール・ライターを知る鍵
─ マイケル・グリーンバーグ(作家)
III. Fashion
雨粒に濡れた窓 ソール・ライターのファッション写真
─ ルー・ストッパード(作家・キュレーター)
IV. Paintings
小さく描いて 大きく満ちる
─ 平松麻(画家)
V. Intimate Views
秘密を守る
─ マーギット・アーブ(ソール・ライター財団ディレクター)
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