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フォトグラファーが行く、熱海。東海バス途中下車の旅 名取五葉

フォトグラファーの名取五葉に、『東海バスフリーきっぷ』を使って静岡県の熱海エリアを巡ってきてもらいました。
バスに揺られて、幼い頃の思い出を振り返りながら好きな景色を見つけて降りて。大人になった彼女が感じた熱海の魅力とは。デジタルカメラとフィルムカメラで写真におさめてきた、1泊2日のバス旅をお届けします。
(写真・テキスト・モデル 名取五葉)

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目次

思い出と共に巡る熱海

東京から約2時間。熱海に近づくにつれて、景色が変わり、思い出が鮮明によみがえってきました。
熱海といえば、年に1回、家族で旅行をしていた思い出の場所。小学生の頃、海が大好きで毎年この時期になると父の会社の保養所に泊まりにきていました。時には風邪を引いた年もあったけれど…、どうしても熱海に行きたくておでこに冷却シートを貼ってまで遊びにきていたことを思い出し、駅前で一人、思い出し笑いをしてしまいました。

大人になってからも、撮影で何度か熱海の街を歩いたことがあります。
「カメラを持つと見える景色が変わる」と感じたのも熱海の街を歩いた時でした。美しい海や花の多い街並みといった視覚的な楽しみだけではなく、潮の香りや商店街の賑わい、風にのって聞こえてくる波の音など、五感で楽しめる街なのだという発見がありました。もちろん、美味しいご飯やお酒も。大人になったな、と感じる瞬間や発見につい、嬉しくなってしまったひととき。

坂の多い熱海ですが、今回は『東海バスフリーきっぷ』で移動したので、カメラや三脚を持っていても安心して旅を楽しめました!昔の思い出と共に、新たな視点で1泊2日の熱海の旅を撮り尽くしてきましたので、ぜひお楽しみください。

行きも帰りも必ず寄ってしまう「熱海平和通り」商店街

駅前から右手に進んでいくと、坂道に沿って商店街が並んでいます。お昼前に到着したので、まずは腹ごしらえを。干物に塩辛、温泉まんじゅうに串焼き…。お土産や食べ歩きは明日の帰りまで我慢…!と固い決意と共に少しずつ坂を下っていきました。

少し進んだところで見かけた食事処を見て、直感で「マグロ丼が食べたい‼︎」と気の向くままに階段を上り店内へ入りました。
席についてすぐにマグロ丼を頼みましたが、他にも生しらすなど魅力的なメニューがたっぷり。夜は居酒屋なのかな?と店内を見回していたら、すぐにマグロ丼が出てきました。

早く食べたくてピントが合っていないマグロ丼

うぅ、一緒にビールを飲みたい…と思いつつまだ旅は始まったばかりなのだとぐっと堪えて、マグロ丼を美味しくいただきました。付け合わせの昆布や漬物もとても美味しく、最後に飲んだ温かいお味噌汁が身体を整えてくれます。

商店街の裏の路地がなんとも可愛いのです。カラフルでどこかレトロでディープなイメージ。いつか入ってみたいなぁ、なんて思いながら少し散歩をしました。

熱海のお土産といえば、干物。家族と訪れた時は必ず買っていました。父がくさやを買っていて、家族から少し嫌がられていたことを思い出しました。

駅から5分で着く「熱海サンビーチ」

「駅からこんなに近いの…!?」
熱海駅からバスに乗って約5分。もう目と鼻の先には海が広がっていました。実は、熱海駅から熱海サンビーチまでは1kmもない距離。幼い頃は知らなかったけれどそんなに近かったのかと、これまた新発見です。

見覚えのある「熱海サンビーチ」と書かれたトンネルのような小さな通路を歩いて階段を上がって、橋を渡ると懐かしい海の景色が見えてきました。海が見えた瞬間、はやる気持ちが抑えられず、すぐに砂浜に降りて小走りで波打ち際まで向かっていました。

私が訪れた時は海開き前だったので、海に入っている人は少なく、砂浜で寝転がったり階段で談笑していたりなど、ゆったりとした空間を楽しんでいる人の姿が見られました。熱海サンビーチに来たのに、海に入らないなんて...! と思っていたのに、写真を撮ったりのんびりと歩いたり波打ち際で波を見ていたりしたら、あっという間に時間が経っていました。

海の音や風、この空間は日々の忙しい気持ちや焦燥感を消し、時間を忘れてくつろがせてくれる場所なのだと、幼い頃とはまた違う表情の熱海サンビーチを静かに楽しみました。

波打ち際で遊んでいたら少し濡れてしまった足

忘れ去られた誰かのスイカボール

三脚を立てて、思い出の熱海サンビーチと一緒に1枚

熱海サンビーチ 基本データ

<住所>〒413-0012 静岡県熱海市東海岸町

<TEL>0557-86-6218

<営業時間>海開き期間中の遊泳可能時間9:00~16:00
ライトアップ毎晩日没~22:00(花火打上時間は消灯)
<駐車場>隣接市営東駐車場250台(市営P駐車料金:30分110円)

行き方・アクセス

<バス>JR熱海駅より熱海港・紅葉ヶ丘方面行きのバスにて約5分「サンビーチ」バス停から徒歩3分
JR熱海駅より湯~遊~バスにて約5分「サンビーチ」バス停から徒歩3分
<徒歩>JR熱海駅より約20分

船が見える「親水公園」スカイデッキ

サンビーチから少し歩くと船が見える素敵なデッキがあります。うねりのある遊歩道を歩きながら、船を見ることができます。鳩が多く、潮風を感じながら散歩をするのにちょうど良い場所。「スカイデッキ」は、南欧コートダジュールをイメージして作られたんだそう。

バスを待つ時間も、バス停周辺を散歩しながら景色を楽しむことができるのが、バス旅の醍醐味です。

親水公園 基本データ

<住所>〒413-0014 静岡県熱海市渚町地先
<TEL>0557-86-6218
<駐車場>市営親水公園駐車場140台(市営P駐車料金:30分110円)

行き方・アクセス

<バス>JR熱海駅より熱海港方面行きバスにて約10分「銀座」または「親水公園」バス停下車すぐ
JR熱海駅より湯~遊~バスにて約10分「銀座」または「親水公園」バス停から徒歩3分

カメラを持っているならば訪れてほしい「熱海銀座商店街」

バスに乗って銀座で降りました。熱海で見る『銀座』の文字に少し惹かれたのと、見えてくる景色が気になったので、途中下車。

熱海銀座商店街は、喫茶店やご飯屋さんなどが並んでいて歩くだけでも楽しい通りです。

商店街から少し南へ歩くと、糸川遊歩道へ繋がっていました。カメラを持っている人なら絶対シャッターを切ってしまうだろうなと...! そんな景色が広がっています。

とにかく川と花のバランスが素敵すぎます。フィルムカメラの枚数に限りがあることを忘れて、ついシャッターをたくさん切ってしまいました。

心が揺れるレトロ可愛い「ホテルニューアカオ」

海が一面に見えるお部屋

綺麗なエントランスを通り、ドキドキしながら部屋へ入ると、大きな窓の中に広がる青い海が目に飛び込んできました。おしゃれなソファーとクッション、色鮮やかな絵、大きなベッド。洗面台にも大きな鏡があって温泉があるにもかかわらず、綺麗なお風呂もついている。片っ端から置いてある物を見て、棚を開けて、一通りソワソワとしてからソファに座り、外の景色を楽しみました。鳶が近くを飛んでいて少しびっくり。

約500人が入るシックなレストラン

…。こんなレストラン見たことない。
写真で事前に確認していましたが、想像以上の広さに言葉を失うどころか、軽く歓声をあげてしまいました。視界全面に広がる真っ赤でシックな席と、大きな窓、そして窓の外に広がる絶景。

わ〜、今からこんなところで夕食ビュッフェに…。贅沢な空間すぎる。一階にはたくさんのお料理が並んでいて、何から食べようか迷ってしまうほどでした。ピアノの生演奏も始まり、一気に大人の時間になった感じ。お料理も美味しく、雰囲気もあいまって最高の時間を過ごせました。

朝食は窓の前の席に座り、外の景色を楽しみながら食事をしました。

レトロ可愛い、にぎわい横丁

にぎわい横丁と書かれた看板の下には、「カンヅメバー 缶蔵」「カラオケルーム」「ゲームコーナー」「卓球」「射的」と心躍る言葉が並んでいます。ワクワクしながら進んでいくと、なんとも可愛らしい空間が…!

射的を楽しんだり、ゲームセンターで遊んだり、缶詰バーでお酒を嗜んだり…。このレトロで可愛らしい空間でやりたいことがたくさんあって、出来ることならばあと2泊して遊び尽くしたい...! と思うほどホテルニューアカオは魅力がたっぷりでした。

旅先で仲良くなった方に撮っていただいたフィルム写真
(個人的には、ここだけで数時間は楽しめる…)

ホテルニューアカオ 基本データ

<住所>〒413-0033 静岡県熱海市熱海1993-250
<TEL>0557-83-6161
<駐車場>あり(1,000円/1泊 ※駐車後24時間まで)
公式サイトで直接お申し込みのお客様は駐車場(1,000 円/1泊)が無料

行き方・アクセス

<車>東名高速「厚木IC」から小田原厚木道路、国道135号経由で約60分
東名高速「沼津IC」または新東名高速「長泉沼津IC」から伊豆縦貫自動車道「大場・函南IC」経由で約50分
<バス>JR熱海駅より無料送迎バスで約10分
JR熱海駅より東海バスで約10分「錦ヶ浦」バス停から徒歩で約5分
JR熱海駅より湯~遊~バスにて約10分「錦ヶ浦入口」バス停から徒歩3分

2日目は雨が降っていたのですが、雨の日だからこそ楽しめる熱海の素敵な場所をご紹介します。

雨の日だからこそ入れた「喫茶 サンバード」

今まで何度行っても満席で人気なのだなと、いつも諦めていた「喫茶 サンバード」。雨の日ならどうだろうかと、昨日も訪れた熱海サンビーチでバスを降りて向かってみると、なんと窓際の角の席に案内していただけました。初めてのサンバードに感動です。

外の雨音を聞きながら、プリンとバナナジュースを注文。可愛らしいプリンが先にきたので、記念撮影にいそしみます。食べるのがもったいないほど綺麗…。

バナナジュースがきて、雨が少し落ち着くまでゆっくりと。喫茶 サンバードでのひと時を楽しみました。

喫茶 サンバード 基本データ

<住所>〒413-0012 静岡県熱海市東海岸町2-15
<TEL>0557-81-3667
<営業時間>9:00〜15:00
<休業日>水・木曜日

行き方・アクセス

<徒歩>JR熱海駅より約10分
<バス>JR熱海駅より熱海港・紅葉ヶ丘方面行きバスにて約5分「サンビーチ」バス停から徒歩3分
JR熱海駅より湯~遊~バスにて約5分「サンビーチ」バス停から徒歩3分

疲れている時こそ行ってほしい「來宮神社」

來宮神社に行くのは2回目。大好きな場所です。最初に訪れた際は、恥ずかしながらなんと読むのだろう…?と思いましたが、「キノミヤジンジャ」と読みます。

來宮神社と言えば、なんと言っても奥にあるご神木「大楠」です。樹齢2千百年を超えた巨樹は、見ているだけでパワーをもらえます。

大きな赤い鳥居

少し気が早まって、いきなりご神木の話をしてしまいましたが!まずは大きな赤い鳥居の前で一礼をしてから入って行きます。この日は雨が降っていたのですが、頭上にある竹林が雨から守ってくれていました。

そうそう、お酒をやめたいけどやめられない、という方がいたらぜひ見に行ってほしいのですが、來宮神社は酒断の神としても信仰されていて多くの方が禁酒を誓いに訪れるそうです。私には必要ありませんでしたが...! 気になる方はぜひ見に行ってください。

荘厳な御本殿

御本殿の右には、おみくじが並んでいて参拝後に恋みくじをひいてみました。他にも、境内にカフェが併設されていて、雨の日でもゆっくりのんびりと楽しめる來宮神社を満喫し、最後に記念写真を撮って旅を終えました。

万葉集恋みくじ、中吉でした

スタンドがあったので旅の最後に1枚パシャリ
楽しかったー!!

來宮神社 基本データ

<住所>〒413-0034 静岡県熱海市西山町43-1
<TEL>0557-82-2241
<営業時間>9:00~17:00(ご祈祷の受付は16:30まで)
<駐車場>あり(有料)

行き方・アクセス

<電車>JR来宮駅下車徒歩で約5分
<バス>JR熱海駅より湯~遊~バスにて約36分「大湯間歇泉」バス停から徒歩10分

一人でも楽しめる街、熱海

今回東海バスで旅した熱海は、一人でも楽しめるスポットやスナップ撮影をしたくなるような場所が多く、思い出を振り返りながらめいっぱい楽しむことができました。1泊2日じゃ全然足りないくらい…。大人になったな、なんて思いながら巡った熱海旅でしたが、帰る時は幼い頃と同じで帰りたくないな、という思いにかられ、名残惜しさを感じながら帰宅しました。歩くだけで楽しい街、熱海。花が街中に咲いていて、レトロな商店街、海も近く風が涼しく気持ちが良いエリア。そんな熱海を最大限に楽しむためには、『東海バスフリーきっぷ』が便利です。行きたいところが多い熱海ですが、坂が多く歩くとなると移動が大変。ましてやカメラを持っていくとなるとなおさら。フリーきっぷなら、1日東海バスが乗り放題なので行きたい場所を楽に回れるし、車窓からの景色を楽しみながら、気になる場所でサッと降りて気軽に立ち寄ることもできます。ぜひ、『東海バスフリーきっぷ』を使って熱海旅をお楽しみください。

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名取五葉

フリーモデル/フォトグラファー
2000年生まれ、東京出身、くせっ毛。
撮る/写る/話すことを仕事として活動中。
年に一度のペースでフィルム写真家の久保谷遥と「2人展」を開催中。
愛用カメラ:FUJIFILM X-T4
愛用レンズ:SIGMA18-50mm F2.8 DC DN, フジノンレンズ XF 56mmF1.2 R WR

名取五葉 Instagram
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