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誰よりもオーストラリアワインに詳しい石田千秋さんが案内する「西オーストラリアのワイナリーの旅」

オーストラリア大陸の3分の1近くを占める雄大な自然を持ち、数々の多彩な観光スポットがある西オーストラリア州。生産量は少ないながらも、品質がトップクラスのワインの産地としても知られています。
今回は、オーストラリアワイン専門のワインインポーターとして活躍している石田千秋さんの「西オーストラリアのワイナリーの旅」をご紹介します。
石田千秋さんがミシュラン三ツ星レストランのシェフソムリエをはじめ、都心部の高級スーパーチェーンのお酒のバイヤーたち5名を連れだって訪れた素敵なワイナリーの数々。西オーストラリアワインの魅力をぜひ追体験してみてください。

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5年ぶりとなる、西オーストラリアのワイナリーツアー

今年5月に行った、ミシュラン三ツ星レストランのシェフソムリエでソムリエコンクール日本一にも輝いた方と、都心部の高級スーパーチェーンのお酒のバイヤーを含めた5名の、小さいけれど濃いグループの西オーストラリアへの旅。

この旅を追体験する前に、覚えておいていただきたいポイントがひとつあります。
ちょっと乱暴な言い方ですが、ワインの良しあしは果実味と酸のバランスにより決まるということです。そして、それらは気候と土壌により作られるのです。

行きの機内にて、ソムリエから「西オーストラリアのワインは素晴らしいのは知っているけれど、オーストラリアはこれといったお料理がないですよね」と尋ねられました。

オーストラリアワインを長年扱ってきている中で、いつもいつもぶつかる壁です。

お料理とのマリアージュは、ワインの観点からは切っても切り離せられません。
しかし…オーストラリア料理と呼べるものが見つかりません。”いえいえ、オーストラリアは多民族国家で多種多様なお料理が作られており“など、あいまいなお返事をせざるを得ませんでした。

州都パースからサンダルフォードのワイナリーへ

成田発の夜行便で向かい、現地に到着した初日。パースの町から約30分の位置にある、スワン地区の「サンダルフォード(Sandalford Wines)」というワイナリーへと向かいます。

まずは、お客様をお迎えするための施設のしつらえの素晴らしさに感激しました。ヴィンヤード(ぶどう畑)の美しさ、スタッフの温かいサービス、もちろんワインの出来の良さ、そしてもっとも驚いたのは、併設されているレストランでのお食事のレベルの高さでした。

ミシュラン三ツ星レストランのシェフソムリエも、その味に魅せられました。
そよ風の中、美しいヴィンヤードを眺めながら、美しく盛られた美味しい食事を堪能。そして、その料理たちとペアリングされたワインを楽しむ時間は早くも旅の醍醐味、至福の時でした。

バンバリー~グレート・サザンへと南下

午後にもうひとつ、海沿いの小さなワイナリーを訪問し心温まる歓迎を受けた後、バンバリーという町まで南下しました。暗くなって到着をしたバンバリー、翌朝目覚めると目の前にインド洋が!!
そして、そこには早朝に降った小雨のせいか、美しい虹がかかっていました。

初めて見るインド洋を満喫したいところでしたが、早々に車へと乗り込み、さらに南下。グレート・サザンに向かいます。

今回訪問したプランタジェネットは、グレート・サザンで最も歴史のあるワイナリー。そこで造られているワインは世界的に高い評価を受けています。このエリアは、実は地層が20億年以上も昔に形成されており、地球上でもっとも古い風景の一つです。つい最近まで全く手つかずであり、本当の意味での自然が豊かなエリアで、地中に流れる水はミネラルが豊富でブドウ栽培に最適な土地でした。ゆえにこの地で作られるワインは、おのずと素晴らしいワインができるのです。

ちょっとお疲れ気味で到着をしたプランタジェネットでしたが、そのワインを一口テイスティングすると皆様のお顔つきがすっかり変わり…。
エレガントで複雑な果実味、程よいタンニンが醸し出す長い余韻のワイン。ボルドー、ブルゴーニュが高騰する中、ここにこのように素晴らしいワインがあったのか!という感じです。

グレート・サザンにあるカステリワイナリー

翌日は、グレート・サザン地区にある、西オーストラリアでも数少ないスパークリングワインで有名なカステリワイナリーです。北向きに広がる美しいヴィンヤードは南氷洋からの心地よい風に吹かれ、ついお散歩をしたくなります。

ここのレストランで頂いたランチのレベルも高く、東京でもあまり出合えないのでは…と思えるほど。もちろんその地を取り巻く空気、風、太陽、そしてヴィンヤード、ワイン、お料理すべてがマッチして、そう感じさせるのでしょう。訪れなくては決してわからないアトモスフィア、東京の喧騒を忘れる夢見心地の時間でした。

この日はもう一つワイナリーを訪問後、マーガレット・リバーの端に位置するペンバートンのカリバリリゾートへ。
森の中にある、このホテルは湖に面しています。ユーカリの何とも言えない清涼感のある香りがみんなの疲れを癒します。思わず全員で深呼吸をしていました。

翌朝は鳥の声で目覚めます。テラスに出てみると肩にインコが留まります。全く人を恐れていないのです。
もう4日目、みんな移動疲れ、飲み疲れ、食べ疲れが出てきている頃なのですが、オーストラリアに持っていたイメージとは全く異なる森の中のリゾートで新たな旅ならではの異空間を満喫しました。

そして、ついにたどり着いたオーストラリア屈指のプレミアムワインの産地、マーガレット・リバー。今やボルドー、ブルゴーニュをも凌駕する世界を魅了する「マーガレット・リバー」!

世界で最も手付かずの自然が残る、地理的に隔絶している海岸性産地。つまり砂漠と海に囲まれ、他の地域と隔離されているのです。太古の大地、雄壮な森林、鉄分を含む土壌に恵まれた大自然は息をのむほど美しく、インド洋と南氷洋による海洋性の気候条件はワイン造りに最適なのです。この地のワインは秀逸な果実による酸の絶妙なバランス、優雅さと繊細さを兼ね備える最高級ワインとなりますが、その生産量はわずかなため全世界のワイン通の羨望の的となっているのです。

今回は、中でも今や世界をうならせるまでに成長したビオディナミ(農法)によるワイン造りを手掛けるワイナリー、マックヘンリーホーネンへ。

インド洋から吹く風は優しく、羊を畑に放し、コンポスト(堆肥)を自社で手掛け、農薬は絶対に使わない。このワイナリーのヴィンヤードは明らかに地面がふわふわと柔らかく、その違いを感じさせます。

ご自慢のワインはス~ッと喉を通過し、いくらでも飲めてしまいます。このワイナリーは食にも大変こだわり、多くの農産物を手掛けています。

訪問時にふるまってくれたランチは、その日海で獲れたロブスターのパスタでした。

この日、日本一のソムリエから出た言葉。「石田さん、これからは間違えなく西オーストラリアワインの時代です!!」

その後、マーガレット・リバー5大ファウンダーの一つといわれるウッドランズを訪問し、日の沈むインド洋へ。マーガレット・リバーの海は、サーフィンのメッカとしても世界的に有名な海です。紺碧に輝く海をと思ったのですがちょっとお天気が悪く…。しかし私たちを待っていたかのように雲が切れ、インド洋に沈む夕日を見ることができました。
その感動は言葉にするのも難しく、ただただみんなで立ちすくみ夕日が水平線に消えるまで言葉もなく見つめておりました。
世界中でも、インド洋に沈む夕日の絶景が見られる数少ない海岸線の一つです。

5日目、今回の旅で最大のトピックともいうべきカレンワイナリーへ。カレン・ワインズ(ワインメーカー名)は、ビオディナミ栽培において世界的な先駆者であり、その畑から生まれるワインは容易に手に入れることができません。プレパラート(畑に散布する調剤)、コンポストは自分たちで作ります。月齢カレンダーに従い、収穫を行い、ワイン造りを行っています。

ヴィンヤードの葡萄の木は生命力にあふれています。そこに流れる空気は明らかに他のワイナリーと違い、カレン・ワインズの植物はみんな生き生きしているのです。

ワイナリーに併設されたレストランで出てくるお野菜は、すべてカレン・ワインズの畑で作られたもの。その味わいは深く、野菜本来の味をしており、驚きを隠すことはできません。
ここでしか飲むことのできないワインとの最高のマリアージュ、誰もが"流石カレン!!"を感じる瞬間でした。

最終日は、パース市内で観光のためキングスパークを訪れました。メモリアルタワーの横に立ち、パース市内を一望。左側半分は高層建築が立ち並び、右側半分は住宅地を中心とするエリアに。その二つが見事なまでに共存している町「パース」。美しい景観、ユーカリの木から発せられる心地よい香り、インド洋からの風、治安の良さ…、パースには私たちを魅了する要素がたくさんあるのです。

何をするでもなく佇む…。みんなの口から出た言葉は「石田さん、もう一度連れてきてください!」

パースという町、マーガレット・リバー、グレート・サザンというワイン産地。
世界数十か国を旅した経験のある方たちがまた訪れたいと思う西オーストラリア。

今回の訪問では、ワインのみならず併設レストランの進化に驚きました。西オーストラリアの大自然とそれに育まれたワイナリーや都市の景観、とても快適な空気感の中での旅でした。本当は秘密にしたいほど素晴らしい西オーストラリアの名所ですが、その思いを共有してくださる方が増えることもまた心から望んでいます。
そして、ダイレクト便の就航により、多くの日本人が訪れてくださることを願っております。

石田千秋 プロフィール

1988年、1年間パースに居住し、その豊かな文化に魅了される。パースより帰国後、西オーストラリアの魅力を多くの人に伝えるため、同地の最大の魅力のひとつであり、日本未上陸であった西オーストラリアワインの輸入を、夫とともに開始。
ビジネスの拡大とともに、輸入元を西オーストラリアからオーストラリア全土に広げる。
2012年、オーストラリア大使館より、「オーストラリアワイン名誉スペシャリスト」を受賞。
その後オーストラリアの魅力に惹かれる中でオリーブオイル、ハーブティーに出合い、2013年オリーブオイルソムリエ、2021年ハーブティーソムリエを取得。
西オーストラリアよりワインと共に輸入、現在に至る。
オーストラリアワイン専門の輸入商社・ファームストン(株)取締役を務める。

ファームストンとは?

1991年、西オーストラリアワイン専門インポーターとしてスタート
1998年ファームストンインターナショナル(豪州現地法人)を設立。
過去6回にわたりジャパンワインチャレンジにてベストインポーター賞を受賞する。
多くの国のワイナリーから輸入販売のオファーが来るもかたくなにオーストラリアにこだわり、現在西オーストラリア11社を含むオーストラリア全土から約25のワイナリーと専売契約を結ぶ。

KEN's WINE CLUB

取材ご協力:西オーストラリア州政府観光局

のんびり〜ばぶる!パース【西オーストラリア州政府観光局】 公式サイト
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