山根悠太郎
写真家 1998年生まれ、島根県出身。高校生の時に先輩から撮ることの楽しさを教わり、写真に興味を持つ。東京祐氏に師事し、2021年4月に独立。ポートレートやファッションなど、ジャンルを問わず活動中。
愛用カメラ:FUJIFILMX-Pro2、RICOH GRIII
愛用レンズ:XF35mmF1.4 R
僕だけに見せる顔
プライベートの写真は、下手くそでいい。気持ちで撮る
「壁面いっぱいに広がる花たちを発見。野花が好きな僕たちは、思わずパチリ。表情と景色がリンクしてその日のことを鮮明に思い出せるので、その時の風景も撮影します」。
「いちばん大切な人」だというモデルの松木育未さんを撮った山根さんの写真には、彼にしか捉えることができない“すがお”が写っている。
「今回の写真は、彼女と一緒に散歩した先で撮影したものなど、3年にわたる日常の一コマたち。日々の写真なので、互いに気持ちが伝わっていればそれで十分。何も考えず思うままに、ピンが合わなくてもいい、下手くそでいい。そんな気持ちで撮っています」。
表情と景色はリンクしているから、その時の風景も撮る
「海に行った日。久しぶりに休みが合って少し遠くにお出かけしたので、ご満悦の様子。僕も笑っています」。
当たり前の毎日の中に、幸せがたくさん転がっていることに気が付ける一枚を撮りたい
「僕にとって人物撮影とは、相手とのキャッチボールのようなもの。特に“大切な人を撮る”ことは、自分なりの愛情表現です。撮ることを目的とせず、自己中心的にならないことが大切。たとえば一緒に散歩する時は、大体、ポケットに入るサイズのコンデジを持ち歩いているけれど、撮る時もあれば撮らない時もあります。
大切なのは撮ることよりも、一緒に過ごす時間。星空を眺めて、結局写真より肉眼で見た時の方が良かったみたいなこと、あるじゃないですか。そんな感じです。自分の目でちゃんと彼女を見ていたい。それぞれ“撮ること” “撮られること”が職業ですが、撮影を目的とした作品撮りのようなことは滅多にしません。彼女のことをモデルとしてではなく、女性として見ているため、作品として撮れないのかもしれません。
いつか見返した時、こうだったねああだったねって言いながら笑いあえる一枚を撮り続けたいと思っています。当たり前のように過ごす毎日の中に、幸せがたくさん転がっていることに気付けるように」。
撮ることが目的ではない。彼女との日常の一コマたち
「一昨年と今年の写真で、ピンが甘々なんだけど好きな二枚。彼女のふにゃ~って感じの表情が、個人的にツボです。偶然同じコートを着ていることにも、クスっとしちゃいます」。
「なかなか休みもなく帰りも遅かった、まだアシスタントだった頃。休みが合った時などは近所のお花屋さんによく二人で行き、部屋で花の写真を撮りました。その時間がすごく楽しかった」。
「お弁当を買って、公園でランチピクニック。ベンチでいないいないばあをやっているお父さんが素敵だった。慣れない手つきで僕のカメラを持っている姿が愛おしくて、お気に入りの一枚」。
GENIC vol.62 【大切な「あの人」のすがお】
Edit:Satoko Takeda
GENIC vol.62
テーマは「素肌と素顔を写す」。
人の美しさを大切に写しとった「素肌」と「素顔」の世界をお届けします。「性」ではなく「生」を感じる、神秘的で美しい森に迷い込んでしまったような写真たちと、そこにある撮り手の想いに迫ります。