角田憲介
会社員 1968年生まれ、千葉県出身。ミニマル写真を日本人の手によりフィーチャーするInstagramアカウント@_indies_mini malの代表。#ザ壁部の副部長としても活動中。カメラ歴は17年ほど。
愛用カメラ:iPhone 11
Q.ミニマル写真を撮る時のポイントは?
A.「色」「形」「構図」にこだわり、写真を撮る目線で街を歩く
「外壁の市松模様のデザインに惹かれました。窓、通気口、雨といをポイントに、水平・垂直も意識」。
“調和”や“対比”、“破綻”などの目線で「色」を見つける
「まず、目につく“色”を探します。カラフルはもちろん、パステル調やモノトーン、単色であっても、調和していると美しいと感じます。調和とは逆に、反対色が並んだような対比や、派手で破綻しているような色の組み合わせがポイントになることもあります。撮影後は、写真の彩度をまず最大値まで上げます。そこから徐々に下げていき、シャッターを切った瞬間に自分が感じた彩度の近似値に持っていきます」。
「ビルの窓の規則的な並びと、窓それぞれの表情が面白かったので撮影。壁面に隣のビルの大きな影がかかり、明暗が昼と夜のように思えました」。
「形」の面白いものを、街で探す
「私にとって“形の面白いもの”とは、工業製品的(規則的)に同じ形状が繰り返された連続性があるものです。たとえば建物のフォルムや壁面には、そういったものがたくさんあるので好きです。また、“人間が作ったもの”の中に面白さを発見することも多いです。街歩きの際には、その場所の風合いの中で異質に見えるもの、一箇所だけ破綻しているものを探します。鋭角であったり、丸みがあったり...さまざまな形の面白さをポイントにして撮影します」。
「カラフルな壁にしては派手さがなく、逆に落ち着きと調和を感じました。上方の非常扉と屈曲した側面を入れて、右端に広告看板をあえて写して少しだけ破綻がある一枚に」。
水平・垂直を意識した「構図」で撮影
「水平・垂直を意識し、被写体に対してなるべく正対で撮ります。理由は、単純に気持ちが良いから(笑)というのもありますが、ミニマルを感じやすい構図だとも思っているからです。子供がビルを描くとき、大抵、地面から空に向かって四角く描き、そこに窓を並べます。遠近法を使って立体的には描きません。また、自動車は走っているところを見ているので、横からの形を描きます。子供にとって自動車は、横から見たものが正面です。このような純粋なものの見方にとても惹かれ、自分でも一番しっくりくる表現方法が水平・垂直の構図です。また、被写体が何であるか最低限わかれば、あとは余白で構わないと思っています。その余白があることで、最低限の被写体が逆に際立ちます」。
「新築と思しきまだ生活感のない、同じ形状の住宅の並びが面白く、空を広くした構図で撮影」。
GENIC vol.67【撮影と表現のQ&A】角田憲介/Q.ミニマル写真を撮る時のポイントは?
Edit:Satoko Takeda
GENIC vol.67
7月号の特集は「知ることは次の扉を開くこと ~撮影と表現のQ&A~」。表現において、“感覚”は大切。“自己流”も大切。でも「知る」ことは、前に進むためにすごく重要です。これまで知らずにいたことに目を向けて、“なんとなく”で過ぎてきた日々に終止符を打って。インプットから始まる、次の世界へ!
GENIC初のQ&A特集、写真家と表現者が答える81問、完全保存版です。