junko
会社員、Shadow hunter 東京都出身、カリフォルニア在住。2012年、Instagramをきっかけに、写真で自己表現できたら楽しいなと思い”モバイルフォトグラフィー”を撮り始める。
愛用カメラ:iPhone12
影を追い求めて
影は生もの。いつだって変化し続けている
「ホームセンターの壁に出ていたカートの持ち手の影が、友達みたいに並んでじゃれあっているように見えたので、青春してるな!と思い撮影しました」。
影を生かしたミニマル写真にこだわって撮影をしているカリフォルニア在住のjunkoさん。
「Instagramを始めてしばらくして、自分が撮りたいもの、表現したいものは何か悩んだ時期がありました。そんなときに自分が「いいね」をする写真の多くがMinimalismだと気づき、撮りたいスタイルが見つかりました。私の住んでいるエリアの建物はアースカラーばかりでカラフルな写真が撮れない。自分は何が撮りたいのか、実験的にしばらく目に留まるものをいろいろ撮っていくと、ふと影に惹かれました。そこから影を追っていくうちに、その魅力に取りつかれ、今では影ばかり撮っています」。
「近所の薬局の壁に出ていた大きな影。横から見たランプの姿を映し出した影の形がかわいかったので、切り取りました」。
ショッピングモールの入口で。「影が作り出す世界が素敵だったから。大きなひさしと、壁についている小さなワンポイントの作り出す影の大きさが同じなのが面白かったので思わず撮りました」。
「住宅展示場の家のBBQエリアで見つけた影。お皿に映るお花が浮き上がって見えるのが、ただただかわいかったんです」。
少ない要素の中に、ちょっとしたスパイスを加えて
「私にとってミニマル写真は、シンプル且つなるべく少ない要素にちょっとしたスパイスを加えて瞬間を表現するもの。5分もすれば、形は変わり、影の出る方向も刻一刻と変わっていく。だから影は生ものだと思っています。季節によって、濃さや長さも変化する。その影のおいしい瞬間に巡り会えたら、とてもうれしいのです」。
「郵便局の階段のまっすぐな手すりが、影で見ると折れ曲がって見えました。見る方向によって、曲がる方向が変わるのが多面的で面白くて」。
「毎朝通勤途中に通る壁に出ていた木の影が、ちょうど壁のデザインのフレームに収まっていたんです。通勤時間が少しずれるだけで影の位置も変わってしまうし、春先で枝がどんどん伸びている時期で、もう少し枝が伸びるとフレームに収まらなくなってしまうので、今しかないと思いシャッターを切りました」。
影を撮ることで、物事の多面性を表現したい
遠くの壁に見つけた格子の影。「影がなければ壁に格子があることにも気づきませんでした。縦の影が左から右にだんだんと姿を現すのも面白いですよね」。
映画館の壁に出ていた影。「壁の濃淡の色合いと、もこもこの影がかわいくて。壁に映る影はもこもこなのに地面に映る影はギザギザ。多面的なところに惹かれました」。
GENIC VOL.60 【ミニマルに切り取る日常】
Edit:Izumi Hashimoto
GENIC VOL.60
特集は「とある私の日常写真」。
当たり前のようでかけがえがなく、同じ瞬間は二度とないからこそ留めておきたい日常を、表現者たちはどう切り取るのか。フォトグラファーが、クリエイターが、私たちが、それぞれの視点で捉えた日常写真と表現、そしてその想いに迫ります。