【龍崎翔子のクリップボード Vol.27】ポップなアジアンカルチャー

龍崎翔子<連載コラム>

龍崎翔子<連載コラム>第1・第3木曜日更新
24歳にして5つのホテルを経営する
ホテルプロデューサー龍崎翔子が
ホテルの構想へ着地するまでを公開!

【龍崎翔子のクリップボード Vol.27】ポップなアジアンカルチャー

最近は自分が東アジア人なのだという自覚を強く持つようになった。アメリカで、ヨーロッパで、南米で、非日常に胸をときめかせても、街角のガラス窓に映り込む姿を目にするたびに、自分が背が低くて髪が黒い一重まぶたの人種だということをいつも思い知らされる。

ハリウッド映画を見ても、アジア人のキャラクターは変わり者として描かれていることが多い(そしてたいてい可愛くない)。いつか行ってみたいと思い描く国や街も、人種差別があるらしいよと聞くとためらってしまう。自分がアジア人だからという理由でないがしろにされるのは、想像するだけでつらすぎる。

だからというわけではないと思うけれど、最近は意識的に身の回りにアジアのカルチャーを取り入れることが増えた。ジャケットがわりにチャイナシャツを羽織ったり、ベトナムのアオザイにジャージを合わせたり。タイのクリエイターのイラストがバックプリントされたロンTに、香港ブランドのアクセサリー。ホテルでも、台湾のギャラリーとコラボして、HOTEL SHE, OSAKAでアジア各地のアーティストの作品を展示するプロジェクトが立ち上がっている。

今、新しくプロデュースしているホテルは、その土地の地名が中国に由来していることから、ジャポニズムとシノワズリが融合したようなオリエンタルなテイストにしたいと思っている。木と漆喰で作られた空間の中、漢方薬局のような薬棚に、陶磁器を飾り、茶の香りでもてなす。そんなアジアの文化が交錯し昇華したような、それでいて新しい宿泊体験を作りたいと思っている。

今、世界中が感染症の恐怖と戦う中で、特定の人種が危険な目にあっているという話にいつも心を痛める。社会の分断を埋めるのは文化理解であり、ホテルという『世界中から人が訪れる箱』がその一助になることを願うばかりだ。

龍崎翔子

2015年、大学1年生の頃に母とL&G GLOBAL BUSINESS, Inc.を立ち上げる。「ソーシャルホテル」をコンセプトに、北海道・富良野に『petit-hotel #MELON』をはじめとし、大阪・弁天町に『HOTEL SHE, OSAKA』、北海道・層雲峡で『HOTEL KUMOI』など、全国で計5軒をプロデュース。京都・九条にある『HOTEL SHE, KYOTO』はコンセプトを一新し、2019年3月21日にリニューアルオープン。

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