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プロフィール

yuki
フォトグラファー 1990年生まれ、福島県出身。大学の写真サークル所属をきっかけに写真を始める。5年前からSNSにも投稿。写真を印刷して飾ることも好きで、グループ写真展などにも参加。簡単に飾れる額装写真を「かんたんフォトフレーム」と称して発売中。
愛用カメラ:Sony α6400、FUJIFILM X-E4、Leica C-LUX
愛用レンズ:E 18-135 mm F3.5-5.6 OSS、XF8mmF3.5 R WR
- Instagram @yuki_pht_arc @yuki_pht_bnw / Threads / X
ARTFULL LANDSCAPE
Urban Reflection

「新宿イーサイドスクエアのガラスに映った建物が幾何学的で、バラバラになっていくパズルのようでした。不連続な様子が変化し続ける都市を表しているようでもあります」。
連続物の中に模様・デザインを見出しシャッターを切っている

「麻布台ヒルズという高層ビルが近くに建ったことで、少し見えづらくなった東京タワー。そのビルに少しおぼろげながら映り込む様子が、東京タワーの状況を表しているよう。シンボルの違った一面を感じてもらえたら」。
「もともとモノクロフィルムでスナップやストリートフォトを撮影していましたが、都市自体、あるいは建物自体も好きであると気づき、建築写真にも裾野を広げました。一貫しているのは形や幾何学模様を写真に落とし込むこと。特に同じものが連続していると一種の模様・デザインのように見えてきて、ついシャッターを切ってしまいます」。
何気ない日常風景にこそ、切り取り方で違った表情が見つかる

「規則正しい縦線、横の曲線で映り込みが歪んで見えるところに惹かれて撮影。日頃からビルにどんな映り込みがあるか見ているので、この写真も銀座で買い物をしていた際に見つけた風景です」。
「中でも、連続するビルが大きな格子模様に見える景色や、鏡を広げたように広範囲にわたってリフレクションしている光景に惹かれます。何気ない日常風景ですが、切り取り方によって違った表情を見せてくれるからです。撮りたい風景はSNS等で情報収集することもありますが、先に写真で見てしまうと、その撮り方が正解のように思えてしまうためほどほどに。現地で被写体をじっくり観察すると自分らしい構図を見つけられたり、ふとした瞬間に出会える景色があります。いかに生活の中に写真を取り込めるかが重要なので、小さく軽い機材を愛用中。超望遠まで撮れるコンパクトデジタルカメラ(Leica C-LUX)は、家族と買い物に行くときでも持ち歩いています。建物を被写体とする写真を仕上げるときは、縦横の線がまっすぐになるように編集したり、抽象度を上げるために不要と思ったものを消しゴムツールで消すこともあります」。

「建物の規則正しさと雲の流動性が対照的な印象を与えてくれる1枚。無機質なビルに映る雲の様子はそれでもなお穏やかで落ち着いた時間の流れを感じさせてくれます」。
これから撮りたい眺めは?「運も味方に付けた『もう同じ写真は撮れない』と思えるような1枚が撮れたら嬉しいです」。

「遠くから見ると何気ない光景も、ガラスの映り込みに正対すると抽象絵画のキャンバスのよう。夕日の暖かいオレンジと空の青が混ざり、良いコントラストを作っていると感じています」。
GENIC vol.72【ARTFULL LANDSCAPE】
Edit:Megumi Toyosawa
GENIC vol.72

9月6日発売、GENIC10月号の特集は「Landscapes 私の眺め」。
「風景」を広義に捉えた、ランドスケープ号。自然がつくり出した美しい景色、心をつかまれる地元の情景、都会の景観、いつも視界の中にある暮らしの場面まで。大きな風景も、小さな景色も。すべて「私の眺め」です。