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【透明感を追い求めて:2】山口明宏

見る人の心にスッと寄り添う、透き通るような"素肌"の美しさ。
なぜ見る人の心を惹きつけるのか。そこに宿る"透明感"の正体とはいったい何なのか。
第一線で活躍する写真家たちが切り取った、一瞬のきらめきの先にあるそれぞれの透明感。そしてそこにある想いに迫りました。
2人目は、柔らかな空気をまとった幻想世界を写し出す写真家、山口明宏さんです。

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山口明宏

写真家 神奈川県生まれ。
東京を中心に活動中。主な被写体は花と人、そこに含まれる景色。自身が関わる全てを写真機で記録し、それらを元に作品を制作している。HP:https://yamaguchiakihiro.com
愛用カメラ:PENTAX SPOTMATIC SP
愛用レンズ:Helios44M 58mm/f2

秘密

「とても優しそうな角度だったから思わずシャッターを切りました。肌の透明感を撮りたいなら、技術的には、画角に沢山の色味を入れすぎないことや、曇りの日のような一定の明るさで撮影すべきだと思います」。

「手首にかかった影が美しかったので」。

「差し込む陽光に魅せられて」。

被写体が心地よくなければいい写真にはたどり着けない

「撮影場所のほとんどが自宅で、今回の写真もすべて自宅での作品です。技術的なことよりも、”のんびり撮る”という撮影環境のほうが大事かもしれない。被写体が心地よく感じる環境、そしてお互いに無理をしないことが透明感を引き出す最も重要なファクターかもしれません」。

被写体が秘めている何か。それが“透明感”の正体かもしれない

「退屈そうな感じが何だかよかったんです」。

見た目の単純な美しさよりも”優しい人”に魅了されシャッターを切ることが多いという山口さん。
「正直いうと僕は透明感というものを撮ろうとしたことがありません。ただ、改めて自分の写真を眺めてみると、その比喩表現が似合う写真を数枚見つけました。テクニックで撮れている写真もあると思いますが、実際のところ透明感の理由は被写体側にあるような気がしています。それぞれ被写体が秘めている何かが、透明感の正体かもしれない、そう思って今回の写真のテーマを”秘密”にしました」。

ただ好きだから撮ってる。それが伝われば嬉しい

「ひざにのせたみかんがただ可愛くて」。

素肌を撮ることの魅力、それは「心の在り方が、素直に出るところ。嘘がないですよね。そして素直な人が普段は隠している肌に魅力を感じます。透明感って意識して撮ることもできるし、偶然撮れることもあると思います。いずれにせよ、透明感が宿っている理由があるとしたら、被写体になってくれる方々が、どこか消えてなくなりそうな儚さを持っているからだと思います」。

「これはただ感覚的に捉えた1枚です」。

「リボンを巻いた足首、爪の色、なんだかすべてが可愛いなと思って撮りました」。

20代の頃、行きつけの雑貨屋でトイカメラを薦められて買ったのが写真を始めたきっかけだという山口さん。
「自分の写真は身近な人たちとの成長記録だと思っています。撮影してから数年後、積み重なった写真データが懐かしさに変わった時に写真を撮ることの喜びを感じます。僕にとって写真とは生き様なんです」。

だからこそ、ひとつひとつの写真で何かをあえて表現するということはしないという。
「ヌードについてもシンプルに好き。アートであるとか、美しいからという言葉に置き換えてしまうと、純粋さが薄れてしまうと思っています。ただ好きだから撮っている、それが伝われば嬉しいです」。

山口明宏 Instagram
山口明宏 Twitter

GENIC vol.62 【表現者たちのファインダーのその先に、透明感を追い求めて】
Edit:Megumi Toyosawa

GENIC vol.62

テーマは「素肌と素顔を写す」。
人の美しさを大切に写しとった「素肌」と「素顔」の世界をお届けします。「性」ではなく「生」を感じる、神秘的で美しい森に迷い込んでしまったような写真たちと、そこにある撮り手の想いに迫ります。

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