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トロントで再会したのは少し前の自分/夏南の法則Vol.151

大屋夏南<連載コラム>第2月曜日更新
モデルの大屋夏南が
ありのままに自由でいるための
カナ的イズムを書き綴る♡

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トロントで再会したのは少し前の自分/夏南の法則Vol.151

先日、久しぶりに1人で海外出張に行ってきました。
結婚してからは夫婦で行く海外旅行や出張がほとんどで、今回横に見慣れた顔がいないことに私は少し寂しさを感じていました。

しかし、いつもは役割分担している出発前のルーティーンを1人で片付けていくうちに、長年してきた一人旅の感覚を体が覚えているのを感じました。

羽田空港でチェックインを済ませ、セキュリティーチェックを通過し、椅子に座った頃にはその感覚はすっかり体に馴染んでいて、これまで何度も経験してきた「これから違う世界を見に行くんだ」というワクワクした気持ちが込み上げてきました。

トロントに着いた夜、アンパッキングを済ませて部屋の窓の外に広がるいつもとは違う風景を眺めながら、長年会っていなかった旧友と再会したような感覚になりました。

誰とも話さず、誰にも気を使わず、ただ自分のペースで過ごす時間。
贅沢な静けさとその中に感じるうっすらとした孤独さえも懐かしく、愛おしく感じました。

翌朝は時差ボケで朝の4時頃に目が覚めました。

外はまだ暗く静まり返った街の中で、私はベッドにパソコンを持ち込んでメールの返信をしたり動画編集をしたりして仕事を片付けました。

気づけば空がうっすら明るくなり始め、ささっと準備をしてから歩いて10分のところにあるコーヒーショップに向かいました。

トロントの朝は空気が冷えていてシャキッとするような寒さ。まだ薄暗く、紫がかった空には月が浮かんでいます。

ランニングや犬の散歩、出勤など街の人々のそれぞれの朝のカタチを横目に、好きなアーティストの音楽を聴きながら1人で歩く。

出張ツアーのスケジュールが始まる前の贅沢なひとり時間。

コーヒーをオーダーしてから貸切状態の店内で席についてぼーっとする。
コーヒを一口飲んで、しばらくしてからジャーナリングのノートを開いてペンを走らせました。

自分の日常から離れると、いろいろな物事から解放されて、いつもよりも少し自由になったマインドは新しい“気づき”をたくさん与えてくれます。

ふと、昔よくしていた一人旅のことを思い出しました。
誰も知り合いのいない土地にぽっと降り立ち、ほとんど計画も立てず、気の向くままに旅をしていたあの頃。

1人で旅をしているからこその出会いや、行く先での見知らぬ人との小さなやり取りがいつも旅を豊かにしてくれました。

私は結婚して、誰かと共に歩む時間の尊さや物事を共有する素晴らしさを知りました。でも同時に、こうして1人で過ごす時間の中にしか見えない景色があることも、改めて思い出しました。

誰かと一緒にいる自分も、1人でいる自分も、どちらも本当の私です。

今回は仕事でしたが、たまには自分と対話する旅をするのもいいなと思いました。

初めて訪れたトロントの街は大事なことを思い出させてくれた気がします。

素敵な1ヶ月でありますように♡

プロフィール

大屋夏南

1987年生まれのブラジル出身。17歳でモデルデビュー、数々の人気雑誌やファッションイベントに出演。
また、私服、美容情報など彼女のライフスタイルがいち早くチェックできるインスタグラム、YouTubeなどのソーシャルメディアはもちろん、スタイルブックや旅エッセイガイドを出版するなど幅広く活躍中。

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