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まち全体がアート。「奥能登国際芸術祭2023」が石川県珠洲市にて開催

石川県珠洲(すず)市全域を舞台に3年に1度開催される地域芸術祭「奥能登国際芸術祭2023」が、9月23日(土)~11月12日(日)に行われます。能登半島の先端に位置する珠洲市の美しい自然景観をはじめとする潜在力を活かした、国内外のアーティストの最先端のアート作品を数多く楽しめます。
「奥能登国際芸術祭2023」の詳細と、珠洲のエリア別に見どころと展示作品を紹介します。

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目次

「奥能登国際芸術祭2023」の10エリアの見どころと展示作品をご紹介

珠洲市には、市政施行前の3町6村(西海、三崎、蛸島、正院、直、飯田、上戸、宝立、若山)を基本に、外浦一帯に広がっていた旧西海村を大谷と日置に分けた10のエリアがあります。
それぞれ独自の歴史があり、祭りや食をはじめとする豊かな文化が残されています。各エリアの美しい自然や当時の面影を残したままの景観、その土地に根差したアート作品を、ぜひ五感で楽しんでみてください。

01. 大谷

耕作面積が少なく、日本海の荒波に侵食された岩礁が多く存在する外浦に位置する大谷エリア。
強い海風が吹く冬の日には、波が白い泡になって、雪のように舞う「波の花」や、滝が重力に逆らい空に向かって上る「垂水の滝」が見られます。また、日本で唯一の、揚げ浜式製塩が500年の間途切れることなく続き、角花家をはじめ複数の製塩業者が点在しています。道の駅「すず塩田村」に塩の資料館を併設するなど、製塩が特徴のひとつ。

<大谷エリア>スズ・シアター・ミュージアム

日本海を見下ろす大谷エリアの高台に位置する「スズ・シアター・ミュージアム」。
かつての珠洲市立西部小学校の体育館を全面的に改修し、珠洲の文化の保存と活用の拠点として、2021年9月にオープンしたミュージアムです。
珠洲市内の家々に眠っていた生活用具の数々を一堂に集め、民俗・人類学的視点から展示紹介するとともに、気鋭のアーティストたちがそれらの生活用具に新たな命を吹き込み、土地の物語の表現へと結晶化させています。
民具等を題材に、アーティストが制作した作品を楽しむことができます。

阿部海太郎<日本>

「光の方舟」の音楽は、阿部海太郎が手がける。作家は、「大蔵ざらえ」で各家庭から集まったたくさんの民具、風、波、民謡、祭囃子など、珠洲に暮らす人々のあらゆる風土と営みから音を収集し、それらが音風景となって珠洲という土地に新しい眼差しを向ける作品となった。

Photo:Keizo Kioku

KIGI<日本>

スズ・シアター・ミュージアムのロゴやグッズのデザインを手がけるKIGI。今回のロゴデザインのコンセプトには、珠洲の三方を見渡す海の灯台のような存在でありたいと考え、ミュージアムの作品のイメージから、光の動きを意識しながら線を走らせるようなロゴが完成した。

「カフェ・レストラン」坂茂<日本>

建築家・坂茂は、世界中で大規模な建築を設計する一方、災害やパンデミックに対する支援として紙管を構造体に使った仮設住居などを各地で提案している作家。今回は杉の木を圧縮し、鉄骨のような形状をした構造体を主軸にしたスズ・シアター・ミュージアムのレストラン・ショップを建築設計した。

※イメージ画像

<大谷エリア>旧清水保育所

「時を運ぶ船」塩田千春<日本/ドイツ>

日本で唯一、古代から連綿と続く珠洲の揚げ浜式製塩は、これまで何度か消滅の危機に瀕してきた。塩田に敷きつめる良質な砂を運ぶのに使われた砂取舟から空間いっぱいに赤い糸を張り巡らせ、塩づくりの技術を今に守り伝えてきた人びとの歴史と記憶を紡ぐ。

©JASPAR,Tokyo,2023 and Chiharu Shiota
Photo:Kichiro Okamura

<大谷エリア>旧西部小学校

「余光の海」南条嘉毅<日本>

珠洲の古代の地層から掘り出した砂を敷き詰め、木造船、古いピアノなどを据えて映像を照射する。時代と状況が変化してもずっと変わらない景色や思いを手掛かりに、土や旧いモノがはらむ記憶の残照を浮かびあがらせる。

Photo:Keizo Kioku

「ドリフターズ」OBI<日本>

大蔵ざらえでは、珠洲の風習「ヨバレ」で使われてきた赤御膳など、大量の生活民具が収集された。時代を越えてスズ・シアター・ミュージアムに流れ着いたドリフターズ(漂着物)たちが一堂に会する。

「待ち合わせの森」大川友希<日本>

珠洲の祭りにふれた作家は、祭りとは人々が会いたい人に会える約束の場所であると考えた。役目を終えたキリコと古着を裂いて結びなおした紐を用いて、数多の記憶で埋め尽くされた約束の場所をつくる。

Photo:Keizo Kioku

「母音/海鳴り」「海雲」橋本雅也<日本>

瓦産業や珠洲焼、珪藻土など、珠洲では歴史が土と共にあることに注目し、粘土に触れた時に覚えた深い懐かしさ、海や呼吸、胸を打つ鼓動、波の揺らぎ、波に洗われた小石や星々などの繋がりを探りながら展開する。

Photo:Keizo Kioku

「覗いて、眺めて、」竹中美幸<日本>

ある人物の日記越しに覗いた珠洲の現在と過去。どことも知れず漂う物語を半透明なガラス小屋の中に作る。
SNSやブログとは異なる、ささやかな日記に綴られていたリアルな生活。本来なら書き手だけが唯一の読者である記録に介入し、日常を掬いあげる試み。

Photo:Keizo Kioku

「The missing shade 59-1」「Seascape(Suzu)」「Untitled」三宅砂織<日本>

大蔵ざらえをした家の舟小屋に眠っていた木造船の部材と写真を起点に、珠洲の海と船のイメージをめぐる作品。
船の古材を配した空間に、過去と現在を見渡すかのような海景や塩の結晶の映像と、フォトグラムを組み合わせたインスタレーションを展開。

Photo:Keizo Kioku

「静かに佇む」久野彩子<日本>

朽ちた農機具や使い古された農具の欠けや割れ目に、かつて北前船の寄港地として栄えた街の風景に見立てられた、細密な金属の造形物を接着する。少しずつ変化しながら堆積し、受け継がれてきた街の歴史や過去の姿を重ね合わせ、まだ見ぬ新たな風景を現出させる。

Photo:Keizo Kioku

「Soilstory -つちがたり-」bacilli / 旧世界土協会<日本&シンガポール>

土の記憶にまつわる地元の人たちとの対話をもとに、大蔵ざらえで得た「モノ・証拠」を素材として展開する。
パンデミックで生じた人の距離感を念頭に、共に有する願いを物語りとして、未来の社会のあり方を問う。

Photo:Keizo Kioku

「石の卓球台第3号」浅葉克己<日本>

奥能登国際芸術祭のクリエイティブディレクターを務める作家は、卓球の名手としても名高い。卓球をコミュニケーションを活発にする絶好のツールと考える作家は、これまでにも一枚の石からつくった卓球台をデザインして各地で展開してきた。

Photo:Kichiro Okamura

「松雲海風艀雲」牛嶋均<日本>

強い海風に耐えしっかりと根を生やし、美しい立ち姿を見せている。強い風によって伸びた枝葉、雲のようで船のよう。
船ではなく艀、大地と繋がっている。広大なスズ・シアター・ミュージアムのグラウンドに子どもが遊ぶことができる作品。

※イメージ画像

「場踊り」田中泯<日本>

「場踊り」とは、「踊りの起源」への絶え間ない調査と堅固なこだわりを追求する田中泯が、日常に存在するあらゆる場で固有の踊りを即興で踊るという実践的アプローチである。
踊り=田中泯、音=石原淋

撮影:平間至
《村のドン・キホーテ》(東京)2020年

<大谷エリア>寄揚の浜

「自身への扉」ファイグ・アフメッド<アゼルバイジャン>

この作品は日本の神道や禅の修行における、「門」の神聖で比喩的な意味に基づいています。作品は日の出と日の入りの間に立ち、それは人生の両側面です。門をくぐると、風の音と門の表面の波が起こります。この作品には鑑賞者自身が通過することで、禅の時を挙行する儀式そのものも含まれています。それは、あなた自身が門であるのです。

<大谷エリア>鰐崎海岸(わんざきかいがん)

「風と波」奥村浩之<日本/メキシコ>

作家の石彫を特徴づける「割戻し」による、白く輝く石素材の持つテクスチャーと、うねった形の表現は、陽光の当たり方や、手と目で感じる触感から、時には優しく、時には荒々しい、珠洲の波や風の表情にシンクロする。

※イメージ画像

<大谷エリア>笹波海岸

「太古の響き」アナ・ラウラ・アラエズ<スペイン[バスク地方]>

珠洲の独特な里山里海の風景を望める海岸から突き出た岩場の上が舞台。そこに人類の経験を反映したかのような「知恵の木」のような形をイメージした作家。過去からの力の根源となる木が別の未来を指し示し、あらゆる世代、若者たち、お年寄りが集まる場を作り上げる。

※イメージ画像

02. 日置

能登半島の最先端に位置する、日置エリア。
白亜の灯台「禄剛埼灯台(ろっこうさきとうだい)」は、日の出・日の入りが見られることでも有名。灯台のふもとにある道の駅「狼煙(のろし)」では、地元住民が再興した大浜大豆を使った特産品が販売されています。
灯台から大谷エリアの椿展望台へと続く全長約10kmの岬遊歩道は日置エリアをほぼ横断しており、最果ての景観を楽しめます。山間部では炭づくりを核とした里山の管理が進められています。

<日置エリア>木ノ浦岬自然遊歩道

「プレイス・ビヨンド」弓指寛治<日本>

木ノ浦岬自然歩道のコースの一部に、珠洲に移り住んだ人たちのものがたりと、かつて珠洲から満州へと渡った開拓団のものがたりを絵にし、数点設置する。作家自ら珠洲に移り住んだ人たちや満蒙開拓団のご遺族を訪ね、話を伺い、移り住むとは何かを問う作品を制作する。

※イメージ画像

<日置エリア>木ノ浦野営場

「TENGAI」アレクサンドル・ポノマリョフ<旧ソ連[ドニプロ]/ロシア>

古いパーゴラ(東屋の支柱)のある場所に、地元の酒造で使われなくなった酒タンクを利用し、帆柱、帆桁、帆綱を駆使して船がモチーフのインスタレーションを制作する。風が吹くことによって帆綱の一部が振動し、酒タンクが共鳴器となって風の音が鳴る機能も併せ持つ。

※イメージ画像

<日置エリア>木ノ浦海岸

「Infinity 41.42.43」リチャード・ディーコン<イギリス>

本州から突き出した能登半島とその先端に位置する珠洲の特異性に関心を抱いた作家は、45度の角度で空からの光を集め反射する送受信機のような彫刻作品「Infinity」を木ノ浦海岸に3点設置する。「Infinity」は作家が制作しているシリーズ作品で、今作で41、42、43作目。

※イメージ画像

<日置エリア>狼煙漁港(のろしぎょこう)

「アイオロスの広場」小野龍一<日本>

ピアノから空間へとナイロン糸を引き伸ばし、離れた場所で糸に「触れる」ことで演奏するこの作品は、一台のピアノで複数人のセッションを可能にする。作品は人同士、そして人と自然の「協奏」のための触媒となる。

※イメージ画像

03. 三崎

日本海の守護神とされる「須須神社(すずじんじゃ)」が鎮座する三崎エリア。漁師や船乗りの信仰を集める三崎エリアでは、現在でも貴重な舟小屋群が残されています。
須須神社の祭礼である寺家の秋祭りでは、高さ16.5mにもなる大型のキリコが夜を徹して町内を巡行します。また、三崎エリアの海岸では、かつてこの地域で栄えた瓦産業の名残として、波に削られて角が丸くなった瓦の破片も多く見つかります。

<三崎エリア>旧粟津保育所

「Autonomo」「図書室:カールステン・ニコライが推薦する子供の本」カールステン・ニコライ<ドイツ>

会場は旧粟津保育所。遊戯室には大きな金属の円盤が吊られ、テニスボール送球機が置かれる。飛ばされたボールが円盤や壁に跳ね返る音で、偶然に音が生まれる。

Photo:Kichiro Okamura

「おもちゃ」杉谷一考<日本>

カラフルなオブジェを積み木遊びのように鑑賞者が自由に配置して構成する参加型のインスタレーションを展開する。作品が作者から手放され、誰かの手によって自由に広がり、形を変えながら変化し続け、いずれ消えて無くなってしまう作品。

※イメージ画像

<三崎エリア>内方の倉庫

「遠のく」梅田哲也<日本>

空間の表と裏、手前と奥、遠くから聞こえる音にしか混ざらないざらざらした光、物と人とがときどき入れ子になって区別がつかなくなるようなところで、私と、うちから同行する頼もしい一度は不要とされたようなものたちが、かつて養蚕がおこなわれた工場と、付随する機能や資材、自立した桑の木、周囲の人に影響され、今を刻みながら染みになっていく過程をそのまま残していくことにします。

※イメージ画像

<三崎エリア>旧本小学校体育館

「みえないエネルギー 天と地と海との間に」植松奎二<日本>

11月半ばから12月に掛けて北陸では猛烈な風が吹き荒れ、雷が激しく鳴り響く日があり、この天候のことを石川や富山では「鰤おこし」と呼ぶ。長年珠洲の地に根をはったのちに倒木した御神木も組み込まれ、膨大な時空の重なりが体感されるインスタレーション。

※イメージ画像

<三崎エリア>旧小泊保育所

「記憶への回廊」山本基<日本>

時をさかのぼるようなトンネルに、これまでモチーフにしてきた「迷宮」が描かれ、その奥には「塩の塔」が築かれた部屋が広がる。保育所らしさの空間とドローイングエリアが共存し、かつての活気と静謐さが交わり合う。

Photo:Kichiro Okamura

04. 蛸島

石川県屈指の漁港を持つ漁師町の蛸島エリア。風情を残す白壁と下見板張りのまち並みは、1996年に「いしかわ景観賞」を受賞しています。
「高倉彦神社(たかくらひこじんじゃ)」の祭礼である蛸島の秋祭りでは、豪華絢爛な総漆塗りのキリコが巡行され、県指定無形民俗文化財指定の「早船狂言」が上演されます。珠洲焼に関する施設も多く集まっており、県内有数の透明度を誇る遠浅の海が続く鉢ヶ崎海水浴場は、日本の渚・百選に選定されています。

<蛸島エリア>珠洲焼資料館

「漂移する風景」リュウ・ジャンファ[劉建華]<中国>

中国の第一の陶都・景徳鎮の磁器と中世日本を代表する焼き物だった珠洲焼を混在させ、大陸との交流や文化のあり方を問う作品。2017年の第一回芸術祭では、海から流れ着いたかのように見附島近くの海岸に並べられ、現在は珠洲焼資料館に場所を移して恒久設置されている。

Photo:Kichiro Okamura

<蛸島エリア>旧番匠邸

「4K」OBI<日本>

かつて珠洲にあった「蛸島劇場」は、エンターテイメントとしての映画鑑賞だけでなく、ニュース映画、老若男女が集い情報交換する、まちの情報ステーションでもあった。旧番匠邸を映画館と見立て、4つの部屋を使い各映像テーマに基づいた体感型スクリーンを制作する。

<蛸島エリア>旧島崎家

「触生」田中信行<日本>

作家は漆から喚起される、器、触覚、皮膚、身体、血、生命、原初などのイメージを、乾漆技法を用いて制作する。縄文時代の遥か昔から漆が受け継がれている奥能登で作品を発表することは、そこに暮らしていた人々や場の記憶を呼び覚まし、鑑賞者に静かに働きかける漆の場を創る。

※イメージ画像

<蛸島エリア>旧蛸島駅周辺

「Something Else is Possible/なにか他にできる」トビアス・レーベルガー<ドイツ>

道路で断ち切られた線路跡に設置され、色を変えながらうねるような空間。鑑賞者がなかを進み、行きついたところから双眼鏡を覗くと、のと鉄道の終点だった旧蛸島駅の先に、作家からのメッセージが見える。鉄道軌道跡から、かつての終着点とその風景の先にある未来を望む。

Photo:Kichiro Okamura
エレン・エスコベード作「coatl」[1980年メキシコ国立自治大学文化センターに恒久設置]を参照

05. 正院

古代珠洲の中心地であった正院エリア。冬になると白鳥が飛来し、かつて海の底にいたことがよくわかる「平床貝層」や、上杉謙信が家臣を在城させた「正院川尻城跡」があります。
「須受八幡宮(すずはちまんぐう)」には、能舞台と28の能面が残っており、正院の秋祭りでは、花模様のドテラ姿に鈴をつけ、化粧前掛けをした若者たちが、威勢のいい掛け声で、シャンガと呼ばれる毛やりを振り回しながら町中を練り歩く「奴振り」が行われます。

<正院エリア>旧正院駅

「植木鉢」大岩オスカール<ブラジル/アメリカ>

のと鉄道旧正院駅の線路跡地に据えられた巨大な植木鉢。植えられた植物は秋に色づくものが選ばれた。春は桜が美しいこの場所を、秋には紅葉狩りの名所とする試み。鉢の側面には作家が珠洲に関連した絵を描いた。

Photo:Kichiro Okamura

<正院エリア>旧飯塚保育所

「コスチューム×身体×スズズカ」ひびのこづえ<日本>

2023年は、より多くの人がパフォーマンスに参加できるよう、地域の方々に声をかけ、スズズカの庭に芝生を敷き詰め屋外舞台を作ります。スズズカが、コスチュームを媒介として、人と人、人と場所をつなぎ、常に変化を続け、日常的に集える場所となることを目指しています。

<正院エリア>飯塚の旧事務所

「あかるい家」中島伽耶子<日本>

日中は穴から太陽光を取りこんで室内の偽の電灯を光らせ、夜間は室内の照明の光が穴からもれだす。幾多の盛衰を重ねてきたさいはての地・珠洲で、生活の「豊かさ」とは何かを静かに考える場所。

Photo:Kichiro Okamura

06. 直

珠洲の文教地区である直エリア。観光案内所が併設される道の駅すずなりは、市のコミュニティバスや珠洲特急などの交通ターミナル機能も有しており、多くの人に利用されています。2019年には、子どもセンター「すずキッズランド」を併設した「珠洲市民図書館」がオープン。近隣には「珠洲市総合病院」「石川県立飯田高等学校」「珠洲市立緑丘中学校」があります。また、2023年には、市内5 カ所の保育所が統合した「珠洲市立つばき保育園」がオープンしました。

<直エリア>旧珠洲駅

「おはなしや 語りと話のホーム」佐藤 悠<日本>

道の駅すずなり旧珠洲駅ホームにて、語りと話をテーマにした展示とパフォーマンスを行う。元駅員・駅関係者、利用者などに旧珠洲駅の記憶に関するインタビューを実施し、会期中は、即興物語作りパフォーマンス「いちまいばなし」をホームにて来場者に向けて行う。

※イメージ画像

07. 飯田

海と山を結ぶ道の分岐点となっている飯田エリア。かつて飯田港には、多くの物資が運搬され、商売の町として賑わいを見せました。その名残として、今でも飯田の夜の町には多くの飲み屋が残っています。江戸時代から続き、7月に行われる春日神社の祭礼「飯田町燈籠山祭り」は、祭りの盛んな珠洲の中でもとりわけユニークで、「燈籠山」といわれる巨大な山車を曳きます。

<飯田エリア>まえのブティック

ソル・カレロ<ベネズエラ/ドイツ>

かつて商店だったところの壁面や床、柱、天井にペインティングを施し、賑わっていた息吹を吹き返させる作品。

※イメージ画像

<飯田エリア>モードおやま

「物語るテーブルランナーin 珠洲2」弓指寛治<日本>

地元住民から小さな物語を聞き取りし、それを基に作家が下絵を描き、地元住民がこれまでの裁縫技術を生かしてテーブルランナーを作り上げる。その人しか知らない、記憶、珠洲の景色が作家の絵と地元住民の裁縫によって、新しくも懐かしい記憶へと生まれ変わる。

※イメージ画像

<飯田エリア>旧スズ交通2階

「能登はやさしや土までも」栗田宏一<日本>

かつてのタクシー会社営業所の2階で奥能登の土をテーマにした作品を展開する。珠洲の土がきっかけで作品を制作するようになった作家。すでに多くの土を採取しており、その色は虹色だと言う。各所で獲れた土を地図に落とし込み、奥能登、珠洲が持つ地中の色を浮かび上がらせる。

※イメージ画像

<飯田エリア>飯田商店街

「いいよ、いいまち、いいだまち。」のらもじ発見プロジェクト<日本>

飯田エリアには個性的な文字を使った看板を掲げた商店がたくさんあります。この看板から書体を作り、これを使ったスタンプを制作します。専用のポストカードを持って、飯田エリアの商店街をめぐってスタンプを押していくと、思いがけない文章が完成するかもしれません。

※イメージ画像

<飯田エリア>旧飯田駅

「小さい忘れもの美術館」河口龍夫<日本>

忘れられた鉄道、駅、プラットホーム。作家は忘れられることの意味を問い、のと鉄道旧飯田駅を、どこの駅でも見られるような「忘れもの」で満たした。ホームに停車している貨物車の内部は黒板になっていて、鑑賞者はそこに未来への言葉を書き遺す。

Photo:Kichiro Okamura

08. 上戸

かつて塩田が並んだ上戸エリア。困窮した能登の製塩業者を救うべく対策を練った医師・藻寄行蔵を顕彰し、製塩業者らが中心となって能登塩田再興碑がこの地に建てられました。
真言宗の古刹「高照寺」には、石川県の天然記念物に指定されている樹齢900年の老杉があります。杉の枝が地面を這うようにして、逆さに垂れていることから「倒さスギ」(別名:能登の一本杉)と呼ばれています。

<上戸エリア>上戸の民家

「回遊の果て」吉野央子<日本>

作品の多くは海洋生物、魚の木彫作品。多種多様の魚類、海洋生物が一団となって回遊する。多くは食卓に上がる馴染みのある魚種、珠洲で水揚げされる魚種で、海流をイメージした複数の方向性、進行性を構成する。世界を巡る旅の最終目的地が今回の作品「回遊の果て」となる。

※イメージ画像

<上戸エリア>上戸の船小屋

「海の上の幻」城保奈美<日本>

色とりどりの糸の重なりの中に舟のかたちが浮かび上がる。空っぽになった船小屋から臨む海と空の境目に、まるで幻のように珠洲の風景が現れる。

※イメージ画像

<上戸エリア>旧上戸駅

「うつしみ」ラックス・メディア・コレクティブ<インド>

のと鉄道旧上戸駅の駅舎のシルエットをなぞった骨組みだけの構造物を、駅舎の上部に角度を変えて重ねた。昼間は周囲の風景になじむその構造物は、夜になると重力から解き放たれたかのように青白く光りだす。それは駅舎の亡霊なのか、それとも未来の映像なのか。場所や物がもつ記憶、非物質的なものの存在を問いかける作品。

Photo:Kichiro Okamura

<上戸エリア>柳田児童公園

「なぜここにいるのだろう」N.S.ハーシャ<インド>

どこかの海岸へと辿り着く漂着ゴミと、インドの動物園で起きたキリンの交換プログラムの出来事とを重ねた作家。故郷や地域性がなくなってきている現代に、「迷子のキリン」の親子を制作する。

Artist and Victoria

「Blowin’ In The Wind」SIDE CORE<日本>

本作は風力発電所に実際に訪れて鑑賞するインスタレー
ション作品で、土木やインフラをめぐる「空間や時間の
スケール感」を体験し、居住区の生活圏から想像できな
い「もう一つの珠洲」を模索する試み。

※イメージ画像

09. 宝立

数々の弘法大師の伝説が残る宝立エリア。弘法大師が布教のために、佐渡から能登へと渡る際に見つけたことに由来して名づけられたとされる「見附島」。別名「軍艦島」とも呼ばれており、夜になるとライトアップもされています。また、8月の宝立七夕キリコ祭りでは、担ぐキリコとしては最大級の高さ14mのキリコを約100人で担いで巡行します。海中で乱舞するキリコと、その真後ろにあがる花火が見所の迫力ある祭りとなっています。

<宝立エリア>春日野の蔵

「流転」シリン・アベディニラッド<イラン/アメリカ>

海岸に落ちているシーグラスに目を付けた作家。漁網を蔵の天井に張り、その上にシーグラスや日本酒の酒瓶を散らす。そこに光を当て、まるでシャンデリアのように輝く空間を制作する。

<宝立エリア>旧鵜飼駅

「秘境」コウ・シュンミン[高凌明]<オーストラリア/香港>

地元住民から聞き取り調査を行い、観光ガイドブックには載っていない地元住民しか知らない風景や記憶を写真やスケッチで捉え、ホーム上に列車をモチーフにした構造物に、距離に応じて大小を変えて展示。駅舎では、聞き取った風景や記憶を電車の切符に見立てて展示する。

※イメージ画像

<宝立エリア>旧柏原保育所

「人間は赤ちゃんから生まれる」北山善夫<日本>

古代エジプトでは墓の埋蔵品の中に幼児が遊ぶ手押し車も含まれ、これは墓の主人が生まれ変わるとき、もう一度赤ちゃんから生涯をスタートさせることを意味する。
今作品は、人が赤ちゃんからその生を始めることをテーマとし、この世界、宇宙、歴史の事象を考える。

※イメージ画像

<宝立エリア>見附島周辺

「運動場」シュー・ジェン[徐震]<中国>

作品は白い砂利石と植物を利用し、歩く道が交差するガーデンを作る。表面上の平和、実用的、美しいという見え方には隠された現実の歴史がある。作品に隠された意味を白い道を歩きながら考えさせる作品。

2015年 上海ドラゴン美術館

<宝立エリア>旧鵜島保育所

「種のタイムカプセル」マリア・フェルナンダ・カルドーゾ<コロンビア/オーストラリア>

地元住民の協力の下、植物を収集し、珠洲に自生する椿や、菱の実、松ぼっくりを素材にして、作品へと変える。

※イメージ画像

10. 若山

珠洲市内で唯一海がない若山エリア。稲の病害虫を松明の火で追い払いその年の豊作を祈願する「虫送り」や、田の神様を招いて一年の収穫の感謝と、翌年の豊作を祈願する農耕儀礼「あえのこと」などが今も行われています。
また、山間部はゲンジボタルの群生地として、無数のホタルが美しい里山の原風景を舞う姿が楽しめる場所として知られています。

<若山エリア>旧上黒丸小中学校

「あかりのありか《のと》」泰然+きみきみよ<日本>

童話作家のきみきみよが書いた、あかりの行事や光に関係する現象を目撃しながら紙飛行機の「こーき」が能登を旅する童話。積み木と光によって、子どもたちの造形教育の研究を重ねる泰然が、珠洲の子どもたちと一緒に作り上げ、「あかり」の美しさを探求し、その感動を見る者へと伝える、コミュニケーション活動でもある。

※イメージ画像

<若山エリア>旧上黒丸小中学校

「祈りのかたち」嘉春佳<日本>

珠洲は、船という「器-うつわ」に乗って海からやってきた文化や技術を受け入れ、人々は儀礼において、大漁豊作の祈りや感謝をご馳走を詰めた器に託してきた。人々の生活の痕跡を残す古着を用いて、器をモチーフとして、人が土地で暮らすということについて考える。

※イメージ画像

<若山エリア>旧上黒丸小中学校

「音蔵庫」鈴木泰人<日本>

珠洲の多様な風景にマイクを向け、光と結びつけられこの「音蔵庫」に収められる。古くから人の流れを受け入れてきた珠洲の新たな風景を、大蔵ざらえで集められた民具や旧上黒丸小中学校に残された物たちに乗せて、語り聞かせてくれるサウンドインスタレーション。

※イメージ画像

<若山エリア>吉ヶ池の古民家

「Future Past」原嶋亮輔<日本>

吉ヶ池の人々との交流を通して出会う寂れ朽ちた道具たち。人が作り、人に使われた、営みに寄り添った痕跡。長い時を経た道具には魂が宿り変化(へんげ)するという「付喪神信仰」になぞらへ、それらの古い道具に手足が生えるごとくフレームをしつらえた家具へと変容させる。

※イメージ画像

<若山エリア>北山の空地

「ボトルシップ」小山真徳<日本>

マムシの入った酒瓶が漂着しているのを発見し、粟津集落から高波集落までの海岸に動物の骨が流れ着き野晒しになっていたことから、この場所が動物たちの遺骸が寄り集まってくる場所と考え、風葬地に流れ寄ってくる動物たちの遺骸を慰め、あるいは救済するような作品にする。

広域エリア

笹波口バス停、能登洲崎バス停、珠洲川尻バス停、正院バス停

「珠洲海道五十三次」アレクサンドル・コンスタンチーノフ<ロシア>

珠洲の風景の特徴のひとつである屋根つきのバス停。数学者でもある作家は、4カ所のバス停を垂直平行を基本構造とするアルミニウムのパイプで包みこみ、作品化した。立地に応じて異なるテーマでデザインされた造形は、周囲の風景と呼応してさまざまな表情を見せる。

Photo:Kichiro Okamura

「奥能登国際芸術祭2023」情報

会期

2023年9月23日(土)~11月12日(日)

チケット情報

料金

【作品鑑賞パスポート】
会期中すべての作品を1回ずつ鑑賞できます(イベント除く)
[前売り]一般:2,750円/大学生:1,320円/小中高生:550円
[当日]一般:3,300円/大学生:1,650円/小中高生:550円
<特典>
・スタンプを全て集めた方には、インフォメーションセンターにてコンプリート賞をプレゼント。
・パスポート提示で、飲食店、宿泊施設などの割引。

【電子パスポート】
作品鑑賞パスポートの電子版。専用のQRコードを各会場で読み取って入場するので、非接触形式の電子パスポートとして利用可能。

【個別鑑賞券】
作品会場(主に屋内作品)ごとに鑑賞できます
一般・大学生:330円/小中高校生:220円
[スズ・シアター・ミュージアム]一般:800円/大学生:600円/小中高生:400円

会場

石川県珠洲市全域

奥能登国際芸術祭2023 アクセス

行き方・アクセス

<電車>JR西日本「金沢駅」から特急バスで珠洲市内まで約3時間
<車>「富山きときと空港」から北陸自動車道経由で約2時間40分
「のと里山空港」から約40分
東京方面から関越・北陸自動車道、のと里山海道経由で約8時間20分
名古屋方面から東海北陸・北陸自動車道、のと里山海道経由で約5時間20分
大阪方面から名神・北陸自動車道、のと里山海道経由で約5時間50分
<飛行機・タクシー>「のと里山空港」からふるさとタクシー(乗り合い)で約40分

オフィシャルツアー「すずアートバス」

全てのコースに現地ガイドが搭乗し、芸術祭情報はもちろんのこと、地域情報や作品制作秘話などが楽しめるツアーです。
全4コース(午前・午後、各2コース運行)を回れば、市の中心部である直・飯田エリア以外の作品が鑑賞できます。

発着:道の駅すずなり

料金

[各コースチケット]一般:2,750円/小中高生:1,100円
[全コースに乗車できる通し券]一般:7,700円/小中高生:2,750円

公式インフォメーションセンター

作品の案内のほか、奥能登国際芸術祭のグッズ販売も行います。
<会場>
ラポルトすず 9:30~18:00(会期中無休)
スズ・シアター・ミュージアム 9:30~18:00(会期中無休)

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