75年ぶりの休業、75日ぶりの再始動!
新型コロナウィルス感染拡大を受けて、オーストリア政府が2020年3月15日に発表した厳しい制限措置により、ウィーンの観光産業も実質的な一時停止状態となりました。
ウィーンのプラーター遊園地にある大観覧車は、街のシンボルであり、第二次世界大戦終戦以降休むことなく市民や観光客を乗せて回り続けてきましたが、75年ぶりの休業を余儀なくされていました。
欧州の中で、早い段階に感染拡大を止めることに成功したウィーン。
4月半ばから徐々に規制が緩和され、小規模店舗、サービス業、レストラン、博物館・美術館が順次営業を再開しました。
そして制限措置の導入から75日目にあたる、2020年5月29日、ついに市内の宿泊施設が営業再開することをもって、ウィーンの観光産業は本格的に復活!
この大観覧車の営業再開、および再始動セレモニーは、オーストリア国内外に向けて宣言するものです。
ウィーンの大観覧車をめぐる、10の豆知識
1:手動式の大観覧車
大観覧車を建造したイギリス人のウォルター・バセットとハリー・ヒッチンズは、停電の場合にも手動で回転できるよう設計しました。
2:地上64.75メートルへ上昇
19世紀末には世界的に大観覧車建設のブームがありました。ウィーンの大観覧車は、フランツ・ヨーゼフ皇帝の治世50周年を記念して建造されたもの。
1897年6月21日に始動したとき、ウィーンの大観覧車は高さ64.75メートルで、当時世界最高のものでした。
3:「歯っ欠け」の大観覧車
完成した当時、大観覧車には30のワゴンがありましたが、第二次世界大戦後、安全上の配慮から15ワゴンに減らされました。以前の外観に慣れたウィーン市民には歯が抜けたように見え、このため「歯っ欠け」と呼ばれました。
4:430トンの美形
大観覧車の全ての金属部分総重量は430トン。その重量にもかかわらず、大観覧車は優美で軽やかな印象です。
5:ランドマークとして
大観覧車は、精確に東西南北の地軸を指す位置にあり、南北軸上を回転しています。
ワゴンから市内を見渡せば、周囲のロケーションをしっかり確認できます。
6:名画のロケ地
プラーター遊園地は映画のロケ地としても知られ、とりわけ大観覧車は繰り返し映画に登場しています。
映画史上の名作「第三の男」(1949年)を始め、「007リビング・デイライツ」(1987年)、「 ビフォア・サンライズ恋人までの距離」(1995年)など多くの映画で、大観覧車は密かな主役を演じています。
7:即断即建
「007リビング・デイライツ」の1シーンのため、大観覧車の下にレストランが建てられました。これが大好評で、撮影終了後、同じ場所に本当のレストランがオープンしたのです。
8:眺めのいいディナー
大観覧車に乗ってキャンドル・ライト・ディナーはいかが?
一回転ごとに、地上の乗降プラットフォームで次の料理が供されます。
9:伝説的スタント
1914年には映画撮影のため、フランスの女性曲馬師が馬に乗って大観覧車で1回転しました。
驚いたことに、馬はワゴンの中ではなく、屋根の上に乗りました。
10:時速2.7km
快適さが重視されるウィーンでは、大観覧車も、この鉄則に従って運行されています。
時速2.7kmの大観覧車は、無停止なら約4分で1回転します。実際には乗り降りのための停止があるので、1回転の所要時間は約12〜15分。
大観覧車(Riesenrad) 情報
Prater, 1020 Wien, オーストリア
10:00~22:00
無休
ニュースの出典元:ウィーン市観光局