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【写真家が写し出す印象的な「肌」の世界:3】染谷かおり

人の素肌を美しく、印象的に切り取る写真家5名の作品をご紹介。
ヌードからパーツまで、それぞれの表現方法、さまざまな解釈、被写体との多様な向き合い方の中で写し出された、個性溢れる「肌」の世界へようこそ。
3人目は、空気感を重視しながら優しく人物を写し出す写真家、染谷かおりさんです。

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染谷かおり

写真家 1997年生まれ、埼玉県出身。日本写真芸術専門学校を卒業後、人物撮影を中心に、宣材写真・アーティスト写真・ジャケット写真の撮影など、活動の幅を広げている。2021年3月には初の写真展「憧憬」を開催。
愛用カメラ:CONTAX T2、Konica HEXAR Rhodium、PENTAX MX

空気まで抱きしめるように

Peau nue

フランス語で「素肌」を意味するデジタル写真集「Peau nue」。「ポニュと読むのですが、このタイトルに決めたのは、単純にかわいいと思ったからです(笑)」。

Model:payu

「身体の形の美しさと肌の中に起こるグラデーションのような立体感。肌から伝わる癒しを感じつつ、惹きつけるような優しいフェチ感も備えている作品、とはぱゆちゃんの言葉です」。
この写真がきっかけで、payuさんと一緒に写真集を作ることになったそう。

Model:payu

Model:payu

肌の写真を撮ることは身体を描くようなこと

もともと人物を撮ることを好み、“素肌”はその人の一部として、記録するような感覚で撮っていたという染谷さん。
「私は絵画を見ることが好きなのですが、ある時、全裸の女性の絵を見ながら、自分が撮る女性もこういうイメージに近づけられないだろうかと思いました。私自身、日常的に絵を描くわけでもなく、上手でもないのですが、絵画に対する憧れがあるからか、それからは女性の身体を撮る時は絵を描くように、と心がけています」。

そんな染谷さんが、顔が写らないモデルとして活躍するpayuさんと制作したのがデジタル写真集「Peau nue」。
「“肌を撮るのは描くようなこと”という私の言葉に、ハッとさせられたと言ってくれたのがぱゆちゃんで。この言葉をテーマに、素直に肌と向き合って、ふたりが好きなモチーフやシチュエーションで写真集を作ろうと誘ってくれました。被写体としての彼女は、顔を見せないということが第一にあり、顔を見せなくとも美しい表現を持っている人。肌面積が大きい作品が多いけれど、決して下品ではなく、素敵だなと感じさせる魅力があると思います。だから私は、絵を描くように美しい表現になればいいなと思いながら彼女を撮っていましたね。“素肌”を魅力的に写し出すためには、光や影、空気感が大事だと思っていますが、被写体に対する想いが深ければ深いほど、より魅力的に写る気がします」。

シルクのように柔らかく… 風景も空気も人物も抱きしめるように撮りたい

Model:中村更紗

Model:中村更紗

よく晴れた冬の日に。
「この2カットは同じ日に撮影したものです。冬の空気がとても好きで、空気感を大切にしようと思いながら撮りました」。

Model:重松りさ

「日常のことのような、ゆるい会話をしながら撮った写真。モノクロにすることによって、人物の魅力がさらに引き立つ気がします」。

今見ている景色も日常も、空気全部が”素肌”

「“素肌”とは人の肌だけでなく、植物や風景を包むその時の空気感も同じようなイメージなのかなと。今今見ている景色も日常も、空気全部が”素肌”だなと感じますね。だから写真を撮る時は、風景も空気も人物も抱きしめるように撮りたいなという気持ちがあります。心が温かくなるような、そんなものが撮れたらいいなって」。

“素肌”という言葉が人物以外にも当てはまることを見る人に伝えたいという染谷さん。
「“素肌”の美しさは直感的に生まれるものだと思いますが、自分らしい表現をするために心がけているのは編集。コントラストや色味などこうしたいという基準はあります。また、人の肌を撮る時は被写体とのコミュニケーションを大事にしていますね。場を和ませるようなイメージでしょうか。なんとなくですが、その人のことを全然知らないのに撮るのはダメかなって(笑)。ふたりで感じたものが合わさった時に感じるときめきや、その場の空気まで写るような感覚がとても好きです」。

染谷かおり Instagram
染谷かおり Twitter

GENIC vol.62 【印象的な「肌」の世界】
Edit:Yuka Higuchi

GENIC vol.62

テーマは「素肌と素顔を写す」。
人の美しさを大切に写しとった「素肌」と「素顔」の世界をお届けします。「性」ではなく「生」を感じる、神秘的で美しい森に迷い込んでしまったような写真たちと、そこにある撮り手の想いに迫ります。

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