小見山峻「9876543210(Nine to Zero)」
「現実の出来事に対する視点を記録する」という写真の本質を突き詰め、コンピュータによる合成加工などに頼ることなく、グラフィカルな世界を表現、構築している、写真家/アーティストの小見山峻。
ストリートを映し出すことを出発点とし、これまで自身の周囲におけるリアリティを独自の視点で切り取ってきた小見山峻の作品は、東松照明や植田正治、森山大道といった日本の写真史に名を刻む写真家たちがそこに存在する空気やダイナミズムを切り取ったように、一貫して自らを取り巻く世界に存在する、あるがままの真実やその痕跡を映し出すことを重視しています。
そんな小見山峻の新作個展は、「数字」をモチーフに、「9876543210 ( Nine to Zero )」と題した展示です。
将来を通じて表現したいモチーフの一つとして『数字』という記号を見つけ出した、という小見山峻。街に存在する数多の記号(数字)を写真という行為で切り取り、内包する意味を昇華させ、新たな生命を宿す。
この行為こそが「現在の正統な写真表現」と捉える小見山峻の想いについて、本写真展「9876543210 ( Nine to Zero )」のプレスリリースより抜粋してお届けします。
本展は、「数字」という、全世界で共通の意味を持ち、人間だけが認識しえるモチーフを素材にすることで、数字が持つ寓意的な意味を探る。
人類は古くから数字を用いて、他者との関わりを築いてきた。現代においても同じく、数字は言葉が通じない状況でも意思を伝えるための強力な記号であり、概念である。
一方で、それら記号は、時に人々を縛り付けるという逆説的な意味を持ち合わせている。資本主義社会においても、記号として用いられることで価値を有していた数字が、ラベルとして意味づけされることで、本来持ち合わせている価値が埋没することもある。
現在の写真表現は、複製可能性や印刷等の特性に目が向けられ、写真が持つ本質的価値や表現が希薄化しているのではないか。そのような写真の存在を数字になぞらえて、写真が持つ本質的価値の再定義を試みる。
小見山峻個展 「9876543210 (Nine to Zero)」情報
開催日時
2023年4月14日(金)~5月14日(日)
水~日 12:00 – 19:00※月火曜休廊
オープニングレセプション
2023年4月14日(金) 18:00~21:00
会場
SOM GALLERY
〒103-0003 東京都中央区日本橋横山町4−9 birth 5F
行き方・アクセス
<電車>都営新宿線「馬喰横山駅」A1出口から徒歩で約1分
小見山峻 プロフィール
写真家。神奈川県横浜市出身。「現実の出来事に対する視点を記録する」という写真の本質を突き詰め、コンピュータによる合成加工などに頼ることなく、グラフィカルな世界を建築する。
2018年JWアンダーソン主催の"YOUR PICTURE / OUR FUTURE"にて日本人で唯一ファイナリストに選出されるなど、海外からの注目も集め、同年に初の写真集「hemoglobin」を出版。主な個展に同名の「hemoglobin」、「冴えない夜の処方箋」、KYOTO GRAPHIE KG+「なにものでもないものたちの名づけかた」など。2021年に渋谷PARCO 10F屋上スペースを全面的に使用した大規模インスタレーション展示「風が応える」を開催するなど、常に「写真」でありながら、そのアウトプットは多岐にわたる。