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あなたにぴったりの移住スタイルは?「5つの移住の種類」/伊佐知美の「旅するように移住」Vol.4

様々な移住者にインタビューした『移住女子』の著者であり、自身も現在、沖縄・読谷村に移住中の伊佐知美が送る連載コラム。移住に向いてる人、向いてない人、お金や仕事のことなど、気になる話を15回にわたってお届けします。
「"いま"この街で暮らしている意味って、なんだろう?」そんな疑問を持っている方の背中をポンッと押す、“最新の移住”コラム。
第4回は、「5つの移住の種類」を紹介します。あなたにぴったりの移住スタイルを探ってみてください。

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連載コラム:伊佐知美の「旅するように移住」

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あなたにぴったりの移住スタイルは?「5つの移住の種類」/伊佐知美の「旅するように移住」Vol.4

一昔前は、移住といえば、定年後の第二の人生、田舎でのスローライフ、両親世代以上の大人がするもの……というイメージが強かったけれど、2021年のいま、そんなイメージを持っている人は、古い!

たとえば、地方移住をサポートする移住相談センター「NPO法人ふるさと回帰支援センター」の、2008年時点での利用者の約7割は40代以上だった。けれど、年々若年層の利用者が増加し、近年は利用者の約半数が20~30代。2020年には、5割を超えたというデータがある。

もはや移住は、まさにGENIC読者にぴったりと当てはまる20〜30代の若者向けの、理想のライフスタイルの実現手段のひとつになったといっても過言ではない。

ただ、移住には、その仕方によっていくつかの種類があるのをご存じだろうか?

「移住する未来もいいなぁ」と考えている人は、どのパターンの移住が自分にはぴったりきそうか、移住の種類を知っておくと近道になるかも。ということで、今回はおもな移住の種類を5つ紹介します。

「Iターン」:新しい土地に移住

「Iターン(アイターン)」は、まったく知らない、地縁のない土地に移住すること。

たとえば、美しい海と南国の気候が大好きで、旅で通ううちに沖縄移住を決めた女性(私である)。

東京で働いていたけれど、東北の美しい景色と豊かな大地が育てた食物で保存食をつくる文化に感動して移住を決めた人。

震災復興のボランティアで九州に通ううち、下の名前で呼んでもらえる関係性の人が増えて、都会のアパートでの隣人の名前を知らない生活よりも、「ここで名前を呼び合って生きていきたいな」と移住を決めた女性。

お金を払えばなんでも買える暮らしではなくて、食べ物や衣類を自分の手で作り出しながら生きたい、と半農半X的な暮らし(半自給的な農業と、やりたい仕事を両立させる生き方のこと。塩見直紀さんが提唱するライフスタイル)を目指して福岡郊外に住居を移した人……。

「今まで暮らしたことがない、新しい土地で暮らす」Iターンは、移住パターンの中でももっともチャレンジングなそれだと思う。

経営コンサルタントの大前研一さんが、「自分を変えたいなら時間配分、住む場所、付き合う人の3つを変えることが重要」と説いたように、移住は、人生におけるさまざまな選択肢の中でも、その3要素を同時にガラリと変えてくれる稀有な存在。

Iターンはその移住の中でも、「私を、変える」に一番近い、素晴らしい選択なのだな、とたくさんのIターン移住実践者の方と接する中で感じている。

どこか心惹かれる土地がぼんやりとでも浮かび、かつ自分を変えたい!という人は、Iターンという選択を考えてみるといいかも。

(ちなみに、ものすごい本音としては、失恋をしたり、婚約破棄をしたり、「恋に破れた!」という人が心機一転、飛び込む傾向もある気がしている……! 私も同棲解消後に移住したなぁ、そういえば)

「Uターン」:地元に戻る移住

「Uターン(ユーターン)」は、読んで字のごとく「生まれ育った場所=地元に戻ること」。

大学進学や就職等で、一度は出身地以外の土地で暮らしたけれど、長い人生を考えた時に、やはり地元で暮らしたいな、と感じた人がこれを実行することが多い。

Iターンと違って、生まれ育った土地に「戻る」ので、メリットは親や親戚、幼少期からの友だちなど、頼れる人がそもそもたくさんいること。知り合いが多いと、暮らしも楽しいし、住居探しや再就職に関して工面してもらえることがあるなど、アドバンテージがあったとよく聞く。

土地勘も思い出もあるので、地元を愛している人にとっては、この上なく幸せな選択だろう。

ちなみに、これはあくまでも移住関連の仕事をしている私個人の所感なのだけれど、数種類ある移住の中で、Uターンはほかの移住とはまた違う喜びを地域にもたらすことが多い気がしている。

理由は、まずはやっぱり「一度県外に出た地元の人が戻ってきてくれることって、単純に嬉しいから」という点。あとは、自分の家族を含め、地域の年長者たちともともと顔なじみである人が多いので、地域のお祭りや行事などで、Iターン者と関係者間をつなぐ素晴らしい潤滑油のような存在になれるケースが多いという点が挙げられる。

地元での暮らしが心のどこかにずっと引っかかっている、という人は、Uターンを考えてみるとよさそう。

「Jターン」:出身県の地元以外へ戻る移住

「Jターン(ジェイターン)」は、聞いたことがない!という人もいるかもしれない。
これは、出身県へ戻る移住だけれど、出身地=地元以外の土地を選ぶ移住パターン。地図上で見ると、" U "を描くかと思いきや、別の場所で留まるので、その動きがまるでアルファベットの " J "のようだ、ということで名付けられた。

たとえば、私の出身地は新潟県見附市という人口4万人ほどの小さな町。その町を起点として考えて、「新潟には帰りたいけれど、普段はもっと都会感のある場所で暮らしたいな」と思い、人口80万人超の新潟最大の都市・新潟市を選んだり、逆に「もっと人口の少ない自給自足できる村で暮らしたいな」と思って、拠点を人口数千人の過疎地域に置いたりしたら、それらは「Jターン」と呼ばれる。

「出身県のことは好きだし、家族になにかあった時にすぐに駆けつけられる距離感で暮らしていたい。でも、地元だとちょっとピンとこなくて……」と感じる人は、出身県内でときめきポイントのある土地を探してみるといいかも。

「孫ターン」:祖父母が暮らした町に移住

「○○ターン」シリーズの中で、もっとも聞き馴染みがないかもしれないけれど、最近周りで「孫ターン」を実行する人が多いので、こちらも紹介。

これも読んで字のごとく、「祖父母が暮らしていた場所に、移住すること」を指す。

映画『サマーウォーズ』で描かれたような、幼い頃に夏休みで訪れた日々や風景が忘れられないという人や、祖父母と少しでも多くの時間を過ごしたいという人、祖父母の家が空き家となり、取り壊すくらいならリノベーションして自分が暮らしたいという人など、「生まれ育った土地ではないけれど、祖父母が関係している」という理由で、暮らす場所を選ぶことを「孫ターン」と呼んだりする。

昨今の古民家ブームも相まって、「古い家で暮らしたい」と考える人が、この方法を選ぶ例も散見される。

「二拠点居住」:二つの拠点を行き来して暮らす移住スタイル

「『二拠点居住』を移住の種類に含めていいのか論争」もありそうだけれど、移住関連のライフスタイルのひとつとして今や普通に成り立っているものだと私は考えるので、二拠点居住もこの連載ではカテゴリに含めます!

二つの拠点を持ち、そこを行き来するスタイルの移住が、『二拠点居住』。

「特別な別荘を持っている」という感覚よりも、「自分の部屋が二つある」という感覚。メイン・サブ拠点を決める人もいるし、どちらの拠点でも同じくらいの時間を過ごすという人もいるし、平日に片方、週末にもう片方、というスタイルで暮らす人もいる。

メリットは、違う地域のいいとこ取りで暮らせること。都会と大自然の二拠点、海と山の二拠点、雪国と南国の二拠点など、「どちらも好きすぎて選べない」という人にとって、これほどパラダイスな環境はない。

デメリットは、家賃も初期費用も、家具家電購入費も光熱費も、基本的には二拠点分発生すること。つまり費用がかさむ……!

抜け道として、家のサブスクサービスや、家具家電レンタルサービスを利用する手はあるけれど、拠点を行き来する交通費まで考え始めると、やっぱり当然ながら一拠点居住よりも費用はかさむ。

けれど、その費用問題を超えても実現したい理想のライフスタイル像がある人や、カップルがそれぞれ別拠点を守りながら行き来するスタイルが成立する人などにとっては、理想的な移住スタイルだ。

「自分にぴったり」な移住方法を探していこう

柴咲コウさんの北海道移住とファーム運営、松山ケンイチさんの雪山移住・都会と半々暮らし、など、著名人の移住ニュースも目立つ昨今。

この連載では、次回以降、移住に最適な自分にあわせた“都市レベル”と”スライド式移住”や、プレ移住のすすめ、移住にまつわるお金の話など、より実践的な話をしていけたらなぁ、と思います。では、また次回。

伊佐知美

これからの暮らしを考える『灯台もと暮らし』創刊編集長。日本一周、世界二周、語学留学しながらの多拠点居住など「旅×仕事」の移動暮らしを経て沖縄・読谷村に移住。移住体験者の声をまとめた『移住女子』の著者でもある。

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