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色に恋して。デジタル写真をフィルム風に「FUJIFILM フィルムシミュレーションの魅力」vol.10 nao

デジタルカメラで撮影した写真を、フィルム写真のようなカラーに。そんな夢のような機能が、富士フイルムのデジタルカメラに搭載されています。その名も「フィルムシミュレーション」。フィルムを交換するような感覚で色再現を楽しめる機能で、その数なんと20種類。フィルム時代から90年以上にわたり、色の表現を研究してきた富士フイルムだからこそ作れる機能です。

「Xシリーズ」「GFXシリーズ」すべての機種で使用できるとあって、この機能に恋して、富士フイルムのデジタルカメラを愛用し続ける写真愛好家やフォトグラファーも多数。

そこで、本連載では「フィルムシミュレーション」の魅力を、全12回にわたってお届け。毎回1名のクリエイターがお気に入りのフィルムシミュレーションで撮影した作品とともにその魅力を語ります。

第10回は、普段は北海道で保育士として働きながら、熱心に写真を撮り続けるnaoさん。富士フイルムの「X-T50」で撮影した作品とともに、お気に入りのフィルムシミュレーションについて紹介します。

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目次

プロフィール

nao

保育士/写真愛好家 北海道出身。こどもが生まれたことをきっかけに携帯電話で写真を撮るように。SNSをはじめてから素敵な写真に出会い、ミラーレス一眼カメラを入手。以来ずっと、北海道の地で趣味として日常の写真を撮っている。

身近にある季節の移ろいや変化に惹かれて

私にとって写真は日常の一部。撮りたい瞬間が日常にはたくさん散らばっていて、それに気づいたとき、いいなと思ったときに写真を撮りたくなります。また、撮るという行為は自分と向き合うことのような気もしています。

私は北海道に住んでいて、撮影は主に、散歩をしながら近所ですることが多いです。季節の移り変わりを撮ることが好きで、花がつぼみから咲いて枯れるまでや、木の枝に葉が芽吹き、葉の色が変わり散るまでなどをよく撮影しています。海や空も、天気や時間によっていろいろな表情を見せてくれるところに惹かれます。日の出前や日没後はとくに好きです。

camera:X-T50 lens:XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS
フィルムシミュレーション: クラシックネガ

「風のない凍れた朝に、霜のついた枯草を撮りに行きました。どこを見ても霜で縁取られた枯草たちに感動し、たくさん撮影をしました。そのなかでも、いろいろな枯草が集まり、ブーケのように撮れたこの1枚が気に入っています。太陽が出たらキラキラしてきれいそうだと思い待っていましたが、太陽は雲に隠れてしまい出てこず…。でも、ほんのり色づいた空がやさしい色になったので、これもいいなと思いました。朝の美しい空の色を、クラシックネガがよりやさしくきれいに表現してくれました」。

写真をはじめて10年くらいですが、富士フイルムのカメラは、それ以前から気になっていました。どのカメラも一緒に見えていたけれど、富士フイルムだけはボディの見た目で見分けることができました。

それから写真をはじめ、持っていたカメラが壊れてしまったときに「カメラがない生活なんてあり得ない!」とすぐにお店に行き、「X-T3」に一目惚れ。手に持ってシャッターボタンを押した瞬間、即決でした。

いまも、その見た目が大好きです。見た目が好きだと、手に持っていてやる気が出ます。また、ダイヤルなどもわかりやすくて使いやすく、感覚的に撮ることができる点にも魅力を感じています。シャッター音が心地よく、写真の雰囲気や色も好みだと感じます。

camera:X-T50 lens:XF35mmF1.4 R
フィルムシミュレーション:クラシックネガ

「雪の降り始め、まだ落ちていない薔薇の花です。本格的に積もって雪に埋まってしまう前の、花に雪が積もったところを撮りたいと思いました。周りは雪深くて、ひざまで雪に埋まっていましたが、どうしても撮りたくて雪まみれになって撮った1枚です。時間は夕方の4時頃、曇りで日暮れも近く辺りは暗くなってきていたけれど、明るいレンズに助けられました。雪の白にほんのり残った赤の色がきれいで、クラシックネガによってアンティークのような写りにしたら、かっこいいなと感じました」。

以前からフィルム写真に憧れがありましたが、自分の性格上、フィルムで撮って現像に出して、という工程は現実的ではないと諦めていました。見た目が好きで手にしたX-T3は、撮った写真の色がフィルム写真に近く、使っていてどんどん好きになっていきました。はじめの頃は三脚を持っていなかったので、いろいろなところにカメラを置いて撮影をしていたためボディは傷だらけ。でもそれがまた、自分のカメラという感じがして、ますます愛着がわいています。

camera:X-T50 lens:XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS
フィルムシミュレーション: Velvia/ビビッド

「雪のあまり積もらないエリアにて。ツルウメモドキかと思って、よく見たらマユミで、黄色と橙色の実がかわいらしく、鮮やかできれいだと思いカメラを向けました。背景とのコントラストや枯れた実の雰囲気が気に入っています。Velvia/ビビッドのおかげで華やかな感じになりました。決してうるさくない落ち着いた華やかさで、好みの色になりました」。

今回使った「X-T50」は、まずそのコンパクトさに惹かれました。ここまでコンパクトでありながら、写真も本当にきれいに仕上がります。また、軍艦部にフィルムシミュレーションダイヤルが搭載されたことで、20種類のフィルムシミュレーションの変更がしやすく、より使いやすくなったと感じました。

My favorite フィルムシミュレーション

フィルムシミュレーションは日頃から、シーンによって使い分けをしています。植物や風景を、フィルムで撮ったような色合いやトーンで、穏やかな色にしてくれる「ETERNA/シネマ」の出番が多いのですが、今回は、「Velvia/ビビッド」と「クラシックネガ」を使った作品です。この2つも、とてもお気に入りのフィルムシミュレーションです。

1:Velvia/ビビッド

少し前までVelvia/ビビッドは、最も使わないフィルムシミュレーションでした。けれども、色の少ない冬の風景、枯れた花や赤い実、やさしすぎる空の色などに、Velvia/ビビッドはとても合うと感じるようになりました。モノクロのような冬の風景に少しだけ存在する色を、引き立たたせてくれる発色がきれいで素晴らしいと思います。

camera:X-T50 lens:XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro
フィルムシミュレーション: Velvia/ビビッド

「風のない冷えた朝に、近所の公園でしゃぼん玉を撮りました。しゃぼん玉が凍る瞬間に出る模様を撮りたいと思い、凍った模様がはっきり見える角度を探しながら、三脚を使って撮影しました。ちょっとした光の部分の色や影のトーンなど、Velvia/ビビッドを使ってよかったと思った1枚で、改めて富士フイルムの色が好きだと感じた写真でもあります」。

camera:X-T50 lens:XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro
フィルムシミュレーション: Velvia/ビビッド

「視界が悪くなるほど雪が降った日に『ナナカマドの道』にて。色が少なくなる冬の季節に、赤い実は心の支えと言っても過言ではありません。撮った後に都度確認する余裕がないほど雪が降っていたため、カメラが濡れないように傘をさしながら、内蔵フラッシュを使い、何度もシャッターを切りました。このときは、ナナカマドの実の赤がきれいに出ると思い、撮影する前からVelvia/ビビッドで撮ると決めていました。思った通り赤が映え、お気に入りです」。

camera:X-T50 lens:XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS
フィルムシミュレーション: Velvia/ビビッド

「雪がもさもさと降っている雪原で、フラッシュ撮影しました。何気なく撮りましたが、これこそが雪の日の日常をよく写し出していると感じた1枚です。Velvia/ビビッドによって降る雪と静かで寒い冬の静寂が、柔らかく表現できました」。

2:クラシックネガ

クラシックネガは、空の色がきれいな青になります。また、枯れ草をこっくりとした色で表現してくれて、アンティークのような美しさになるところも気に入っています。

camera:X-T50 lens:XF35mmF1.4 R
フィルムシミュレーション:クラシックネガ

「雪が降ったのでカメラを持って近所を散策。ノリウツギは冬でも残っていてくれる貴重な植物です。深い雪を漕ぐようにして近くまで行き、群生のどこを切り取ろうか迷いながらたくさん撮りました。メインの被写体の後ろや上のほうにもノリウツギがボケて写っていて、画面いっぱいにノリウツギが入っているところが気に入っています。いくつかのフィルムシミュレーションで撮ってみたのですが、撮った瞬間、クラシックネガが好きな色合いだと感じ、しっくりくるものがありました」。

camera:X-T50 lens:/XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS
フィルムシミュレーション: クラシックネガ

「白樺林にて。晴れた日は白樺の影がしましま模様に出て、すごくきれいで大好きな冬の景色です。雪が降りたてだともっとふわふわ感があっていいのですが、このときはタイミングが合わず、じつは残念にも感じていました。でも、太陽が出て影もきれいに見えてよかったと思います。自然を相手にすることは、思い通りにならないことを受け入れ、そのなかでもいいところを見つけていく子育てに近いものを感じます。クラシックネガは空の青をきれいに表現してくれますが、この写真では影にも青味がかかり、それがとても好きな感じでした。濃いところも淡いところも本当にやさしい色をしています」。

naoさんが愛するフィルムシミュレーションの特徴

1:Velvia/ビビッドとは?

特定の色が強調されるようなことがないよう色のバランスを保ちつつ、華やかな彩りでシャドウ部を引き締め強い印象を与えます。色と光の強いコントラストを表現するため、風景やネイチャーとの相性は抜群です。

camera:X-T50 lens:XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS
フィルムシミュレーション:Velvia/ビビッド

「朝のウトナイ湖にて。首を丸めて寝ていた白鳥たちが起きて毛づくろいをしたり、向き合ったり、泳ぎ出したりするたびにシャッターを切りました。並んで左を向いた動きがかわいくて、凍っていないキラキラとした湖に白鳥がいてくれたことをうれしく思いました。Velvia/ビビッドの表現する空色はとてもきれいだと感じた1枚です」。

2:クラシックネガとは?

スナップシューターに愛用されてきたネガフィルム「SUPERIA」がベース。メリハリのある階調と、彩度を抑えつつも明部と暗部の色味を変えることで深みを増した色で、立体的な表現が得られます。

camera:X-T50 lens:XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS
フィルムシミュレーション:クラシックネガ

「浜辺で、冬に生きる動物の足跡を撮りました。春夏秋冬、どの季節もここには撮影に来るのですが、ときどきキツネを見かけることがあります。この足跡もキツネかなと想像しつつ撮影しました。何もない風景でも足跡があるだけでさみしさを感じません。足跡がよくわかる手前にピントを合わせ、奥行きも意識しました。風速10メートルもある日で、ほんの短い時間でも手が凍りそうだったので、パシャッと撮ってすぐに車に退散。クラシックネガの、青すぎず、寒さまでも写るような雪の色がいいなと思います」。

naoさんが使用したカメラ

X-T50

軍艦部に「フィルムシミュレーションダイヤル」を新規搭載し、フィルムシミュレーションの選択がかつてないほど直感的に。ダイヤルを回すだけで最新の「REALA ACE」を含む、20種類のフィルムシミュレーションモードから選ぶことができる。表示倍率0.62倍で269万ドットの電子ビューファインダーは高い視認性に加え、色彩や明るさが調整されているので、仕上がりを確認しながらの撮影が可能。また、クラシカルなフィルムカメラを彷彿とさせるX-Tシリーズのデザインを継承しながらも、わずか438gへと軽量化(バッテリー・メモリーカード含む)。洗練されたデザインとボディのコンパクトさも相まって、持つ喜びを感じられる、どこへでも持ち歩ける理想的なカメラ。

FUJIFILM WEB

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