プロフィール
畠山直哉
1958年岩手県陸前高田市生まれ。筑波大学芸術専門学群にて大辻清司に師事。1984年に同大学院芸術研究科修士課程修了。以降、国内外の数々の個展・グループ展に参加。写真集『LIME WORKS』およびギャラリーNWハウスで開催された写真展「都市のマケット」で1997年第22回木村伊兵衛写真賞受賞。2001年第49回ヴェネチア・ビエンナーレに参加、第42回毎日芸術賞受賞。2012年、芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2012年第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展の日本館に参加し金獅子賞を受賞。2025年、日本芸術院会員に選出された。著書に『BLAST』(小学館)、『気仙川』(河出書房新社)、『陸前高田 2011-2014』(河出書房新社)など。テート、ニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、ヒューストン美術館、ヨーロッパ写真美術館、スイス写真財団、東京国立近代美術館、東京都写真美術館、国立国際美術館などのパブリック・コレクション多数収蔵されている。
収録作品の一部と解説
2006年に Taka Ishii Gallery より1000部限定で刊行され、長らく絶版となっていた「A BIRD BLAST #130」が、このたびroshin booksから復刊されます。 畠山直哉の代表作として知られる「BLAST」シリーズは、長年にわたり採石場の発破の瞬間を遠隔操作で撮影した作品群です。人が立ち入ることのできない危険地帯にカメラを設置し、爆発の刹那を記録するという独自の手法は、世界的に高い評価を得てきました。その制作過程のあるとき、畠山氏は撮影後のコンタクトプリントに、意図せず写り込んだ一羽の鳥を発見します。 この出来事について、氏は著書の中で次のように述べています。
フィルムが現像され、コンタクト・プリントの中に、小さな鳥の影を認めた時に、僕の「心」は大きく動きました。 撮影の時にカメラを覗いていませんでしたから、画面に鳥が写っているなんて思いもよらなかったのです。 僕は、このわずか数秒間の出来事を写真にできただけでも、二〇年以上も鉱山通い続けた甲斐があった、とさえ思いました。
――畠山直哉「話す写真――見えないものに向かって」小学館
「A BIRD」は、爆発の只中を飛び続ける鳥の、わずか数秒間の出来事のみで構成された希少な写真集です。偶然性と必然性が交差する象徴的な瞬間を捉えた作品として、BLAST シリーズにおける重要な位置づけを占めます。本書のブックデザインを手がけたのは脇田あすか。初版「BLAST」のデザインを担当した祖父江慎の愛弟子にあたり、時間を超えて BLAST の系譜に新たな造本が加わるかたちとなりました。石灰石鉱山を撮影し始めてからの20年の歳月と、わずか数秒の光景が一冊に結晶した「A BIRD BLAST #130」。本書が今回の復刊により、初めて手に取る方にも広く届き、作品への再評価や新たな視点との出会いのきっかけとなれば幸いです。
── 畠山直哉「A BIRD BLAST #130」プレスリリースより
畠山直哉 作品集「A BIRD Blast #130」情報
発売:2025年12月10日(水)
書名:A BIRD Blast #130
出版社:roshin books
著者:畠山直哉
大型本:36ページ
ISBN:978-4909742087
寸法:29.7×1.0×22.5cm
定価:6,050円(税込。本体5,500円)